1、はじめに
去る7月10日未明、大分県西部を襲った局地的な集中豪雨により、日田市や九重町などで土砂災害や床上浸水などの被害が相次ぎました。深緑と清流に囲まれた筋湯温泉、湯坪温泉、天ヶ瀬温泉なども甚大な被害を受けましたが、「災害に負けてなるものか」と地元の皆さんも懸命の努力をして、殆どが一週間程度で片付けを終え、通常どおりの営業を行っています。
被災時には、全国より多くの激励を賜り、誠にありがとうございました。この場を借りて厚くお礼申し上げます。
2、社会資本の整備について
さて、大分県は山あり川あり海あり温泉ありと、豊かな天然自然に恵まれています。また、関アジ、関サバ、しいたけ、豊後牛に代表されるような全国に誇れるおいしい食材もたくさん有ります。しかし、自然が豊かで地形が複雑な分、道路トンネル数は日本一の481箇所もあり、これはそれだけ道路などの整備に費用と時間がかかることを示すもので、結果として本県の社会資本整備は全般的に遅れた状況となっています。
特に、高速道路については、福岡市に繋がる大分自動車道がこの3月に全線が4車線となったものの、北九州市から大分県・宮崎県を経て鹿児島市までを結ぶ東九州自動車道は未だ2割も開通していません。九州経済産業局と九州地方整備局の試算によると、東九州自動車道が全線開通すれば年間3兆8千6百億円の経済波及効果があると分析しています。九州縦貫道などとともに高速ネットワークを形成し、九州地方の一体的な産業、経済、文化の交流発展に欠かせない路線であり、一日も早い開通に向け、頑張っているところです。
災害対策に関しては、ハード整備と共にソフト対策が重要です。大分県では災害想定区域情報提供事業に取り組みました。県下4,200箇所の集会所毎に土砂災害、洪水、津波などの災害想定区域を明示した防災マップを作成し、6月始めに全市町村に配布し、各集会所に掲示しました。常日頃から災害時の対応を考えて貰いたいとの思いからです。先の豪雨でも、改めて災害に強い基盤整備を進める必要性を痛感したところであり、県民の危機管理意識の向上を図り、「備えあれば憂いなし」の暮らしづくりに取り組んでいきます。
ところで、大分県の有効求人倍率はここ数年、九州ではトップを続けています。これは既存の企業に加え、キヤノンやダイハツ車体など新たな企業立地が進んだことによるものですが、ダイハツ車体の進出は中津港の整備抜きには考えられません。また、キヤノンの立地も道路や港湾、工業用水道等の社会資本整備と迅速な行政対応が決め手となったものです。今後とも、産業経済振興のための基盤整備には果敢に取り組みたいと思っています。
市町村合併については、平成18年3月には県内の58市町村が18市町村になります。これに伴い、新市と周辺部を結ぶ道路などのインフラ整備なども急がなければなりません。
このように大分県に関しては「公共事業不要論」など論外で、公共事業はいくらでも行いたいという気持ちです。しかし、一昨年、将来の県財政の見通しを試算したところ、このままでは数年後には財政再建団体に転落するとの結果が得られました。現在、緊急行財政改革を断行し、あらゆる経費や制度、組織についてゼロベースから見直しています。残念ながら公共事業だけを例外にする訳にはいきませんので、県民にとって必要な公共事業は何かを考え、事業の再評価や事前評価は勿論、構想段階からの住民参加や事業スケジュールの公表などにより、効率的で透明性の高いインフラ整備を進めていきたいと思います。
3、将来の大分県のために
私は、常に「県民中心の県政」を心がけ、職員にも徹底しています。そのためには、道路などの社会資本整備も、国の省庁による縦割りにとらわれず、県として効率的、効果的に機能する組織が必要と考え、昨年度から、農道、林道等を含む道路事業の企画調整を一本化しました。また、下水道その他の生活排水処理施設の担当課も一元化しました。このように、組織や仕組みも時代の要請に合わせて変えていきたいと思います。
また、少子・高齢化の進行や市町村の再編など、変化の激しい社会経済情勢の中、夢と希望の持てる新しい県長期総合計画の策定も進めています。多くの県民の意見を反映させることに心がけ、各分野の第一線で活躍している実務者や学識経験者等からなる県民会議を立ち上げ、度重なる議論をいただきました。パブリックコメントによる一般県民の意見募集や市町村長との意見交換、さらに県民会議での議論を重ねて、本年9月頃には公表したいと考えています。
最後に、職員には、どんどん外に出て「時代の風」、「現場の風」を県庁に持ち込むようにと言っています。私自身も県内各地に出向き、県民の様々な意見を県政に反映させています。
これからも「安心」「活力」「発展」の理念のもと、県民の将来のために全力を尽くす所存です。
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