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| 上海を訪問する機会を得た。WTO(世界貿易機関)加盟を果たし、北京五輪、上海万博を控えて沸き立つような活況を呈している。最近はさすがに過熱ぎみで政府も引き締めを考えているという見方もある。 かつて中国経済のあまりの勢いに日本経済はのみ込まれるのではないかという、いわゆる中国脅威論が巻き起こった。しかし、実際には互恵互利の経済関係が深化していることもあり、中国のWTO加盟で貿易や投資に関する法の支配への信頼も拡大していることもあって、ようやく普通の競争と協調の関係が醸成されつつあるようだ。 日本の製造業も付加価値の高い、従って人件費比率の小さいものは日本で、そうでないものは中国で造るといった住み分けもできてきた。かつてセーフガードと報復関税で応酬した農産物貿易にも一定の秩序が生まれてきた。最近は高くても安全、安心な日本の農産品の輸出も始まった。 中国との付き合いの中で人材が育っているのも頼もしい。かつて中国で働く日本人ビジネスマンの間に「中華スープ」という言葉が流行したそうだ。不平等、不合理など彼らが苦労した「四不」(スウー・プ)の意味だそうだ。そんな時代をしぶとく堪えてきた彼らには中国に処する冷徹な感性と知恵がある。7月7日は盧溝橋事件、9月18日は柳条湖事件と手帳に書き込んで、この日にはパーティーなど派手な行事は慎んでいるという人もいた。外国で仕事をする人の自己管理、自己責任というものだろう。中国論者も育っている。かつてのステレオタイプの中国論から事実を積み重ねて奥行きある論議を展開している。津上俊哉氏の『中国台頭』は読ませる。 |
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日本経済新聞4月28日夕刊掲載
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