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  あすへの話題-人間知恵の輪 
 コミュニケーションにおいて言葉が果たす役割は意外に小さく、声のトーンや表情などの役割が圧倒的に大きいという調査結果があるそうだ。携帯メールやインターネットを楽しむ子どもがはまりがちな落とし穴もここにある。言葉だけのやりとりだから良いこと悪いこと言葉が激しくなる、一人歩きする。現実世界の経験に乏しいから現実とバーチャルな世界との境界を見失う。中間試験が悪かった、友達づきあいに失敗した、さあやり直しだと携帯電話やパソコンを取り換える子どもが多いという。
 だからと言ってITに無縁ではいられない。大事なことはバーチャルな世界を見誤らない人格形成だ。素人なりに考えるに、一つは心の問題。本を読み、自分や他人を見つめて自分を律し他人を思う良心を身につけることが必要だ。「思想、信条は個人の自由でありそこに入り込むなと言われながら、出てきた結果には責任を問われる」と嘆く教育関係者の述懐は重い。
 社会性を育(はぐく)むことも大切だ。子どもの自己表現力や対人関係能力が余りに低いという指摘は多い。親子、長幼の秩序も大事なテーマだ。知り合いの医師は、子どもを診断して感染症だから学校を休ませるよう指示したら、子どもに「どうする」と相談する母親がいると言う。相談された子どもも困ることだろう。
 社会性を育む、あまり難しく考えることではない。体をぶつけあう「おしくらまんじゅう」でも、手を握り合って遊ぶ「人間知恵の輪」でもいい。ぶつかれば痛いし、触れれば温かい。そしてこうした遊びを通して友達どうし助け合うよろこびも自然と身につくのではなかろうか。

日本経済新聞6月16日夕刊掲載

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