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  風紋-「たかくんの通学路」 
 宇目町の観光大使、役場職員にして県南落語組合の一員である矢野大和(たいわ)さんの咄(はなし)の一つに「たかくんの通学路」というのがあります。
 学校まで20分の距離なのに、たかくんが家を出るのは1時間前。というのも、途中にいくつもの関所があるからです。その一つは子どもたちにお神楽を教えている名人のおじいさん。「復習だ」と言って朝の特訓をしてくれます。さんざん舞わせて「学校に遅るんな(遅れるな)」と言って送り出します。「おはよう」と声をかけ、たかくんの自慢話を喜んで聞き、褒めてくれるおじいさんもいます。
 名人にかかると抱腹絶倒の落語なのですが、ふと、これぞ子育て支援ネットワークのお手本ではと思いました。
 虐待などの心痛む事件を防ぐためには、学校、住民、医療機関、保育所、市町村、県などを結ぶ地域のネットワークづくりが大事です。
 この問題に取り組む医師は「最初から虐待と決めつけず、むしろ不適切な扱いとして取り上げる」と言います。子どもの発達に対する知識が不十分で扱い方がわからない、また自分の感情をうまくコントロールできない親はたくさんいます。この人たちが安心して相談に来やすいようにしておくことが、多くの親や子どもを助けることになるのだそうです。地域のボランティア活動もありがたいものです。育児に悩む親の相談相手として、また、保健師や医師などと連携して頭の下がるような手助けをしてもらっています。
 そして、ネットワークのかなめにいる保健師や児童福祉司、心理判定員などの専門家は学校・住民・医師からの連絡で親や子どもに会い、適切な診断をし、時には一時保護などの措置を取ります。大事なことは、できるだけきめ細かなネットワークをつくり、地域全体で子どもの健全育成を支えていくことだと思います。
 「たかくんの通学路」にいるお年寄りのように、地域の子どもたちを見守り、励ますことで元気を分けてもらい、子どもたちも見守られていることを誇りに思う。そんな社会はいいですね。
県政だより新時代おおいたvol.35 2004年7月発行
 
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