| 舞台はアジア太平洋 |
| 平松 立命館アジア太平洋大学の開学もいよいよあと1年に迫りましたね。
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| 大南 おかげさまで、教育の中身づくり、国内外のネットワークの構築、キャンパス建設など、あらゆる面で順調に進展しています。文部省の第1次審査も無事通過しました。
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| アジア太平洋学の構築 |
| 平松 この大学の構想は、アジア太平洋地域はもちろん、世界に通用する人材の育成をめざす立命館大学と、アジアとの共生を進める大分県との考えが一致したところに生まれたわけです。詳しくお話いただけますか。 |
大南 私が総長に就任した1991年以来、21世紀の大学はどうあるべきかについて議論をしてきました。
アジア太平洋地域というのは、西洋文明、イスラム文明、東洋文明が融合し、お互いに認めあっている地域です。このアジアが21世紀の文明のルネサンスの中心になるだろうと予想しています。そこで、アジア太平洋の時代を担う人材育成の拠点をつくり、「アジア太平洋学」という新しい学問を興し、アジア太平洋地域の振興をめざしています。 |
| 平松 大分県でも21世紀において一番問題になるのは、少子・高齢化です。その対策として、企業の誘致や第1次産業の後継者を育てていますが、同時に、多くの若者が勉強する大学が大分県内に必要です。県内には立派な大学がありますが、その数が少ないことから相当の若者が県外の大学に進学しています。看護科学大学や工科短期大学校を開校したり、芸術文化短期大学の充実も行っています。
しかし、県の財政からすると、積極的に増やそうとしても限界があります。そこで、大分に開学したいという大学があれば、応援したいと考えていたのです。
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| 大南 大分県はアジアとの交流の実績をどんどん進め、アジア太平洋の時代を切り拓いています。アジア太平洋の社会ネットワークの核となる大学は、大分県でこそ実現できると感じたのです。
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| 平松 「アジアとの共生」を掲げて行政を進めているのは、アジアとの共存がなければ、21世紀の大分県の生きる道がないと考えているからです。これまで、一村一品運動を通じて、いろんな国と地域活性化や人づくりの交流を進めてきましたが、これからはアジアの優秀な学生にも来ていただいて、日本の学生と一緒に学んでもらう。私のやりたかったことです。
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| 国際的人材の育成
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| 大南 大分県と別府市にご協力いただいて大学をつくるわけですから、しっかりとした大学をつくり、意欲ある人材を集め、県や市のステータスを高めることが重要だと思います。それは、経済効果としても表れてきますが、それ以上にその地域の文化、学術の拠点をつくるという点で非常に大きいと思いますね。 |
| 平松 以前、立命館大学で講演しましたときに、学生たちが真剣に聞いてくれて、積極的な質問もたくさん出ました。自由な学風がうかがわれました。
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| 大南 1994年に滋賀県の草津市に開学した「びわこ・くさつキャンパス」には、理工学部の拡充移転に加え、経済学部と経営学部も移転しました。そこではそれらの学部が融合した「インスティテュート」という新しいシステムをつくりました。理工学部に籍を置きながら経済学部で学んだり、その逆の学生などが生まれるわけです。ここで、県民や市民の皆さんから受けたご協力は絶大なものでした。
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| 平松 大学の経営は大学当局でやっていただけるのですから、大分県としても大変感謝しています。
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| 大南 アジア太平洋大学は、編入学生も含めると全学生3,560人のうち、半数は外国からの留学生です。日本の学生にも留学生にも魅力ある大学をつくらなければなりません。
国際的水準の教育研究の内容と方法を確立するということです。 |
| 平松 スタッフの半数に外国からのエキスパートを招くのも特徴になりますね。 |
| 大南 授業内容も、日本らしい『理論中心』では、アジア太平洋の若者のニーズには応えられない。現在の日本の産業政策や経済発展の経験則から何が学べるかに関心があるのです。
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| 平松 大分のテクノポリス企業は、アジアに工場や支店を持つ多国籍企業になっています。アジア太平洋大学で学んだ大分県人がアジアの企業の中堅幹部となる。あるいは、現地で雇った人が、この大学で日本式経営を勉強して、ゆくゆくは社長になっていく。日本に来て、商店の経営者や工場長になるかもしれない。広くアジア太平洋地域で活躍できる人材が育っていくことが必要です。 |
| 大南 言語の問題も大きな問題です。これまで日本への留学の壁のひとつはやはり日本語にあったと思います。ある程度の日本語の力がなければ、日本の大学にいきなり入学するのは難しい。この大学では、授業は英語と日本語で行います。大学に入学してから、日本語を学べばよいのです。このほかにも、中国語や韓国語、インドネシア語などアジアの各言語も学べるようになっています。
力添えがいただけますね。 |
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| 留学生の受入体制の整備 |
| 平松 留学生と日本人学生が半分半分で構成することが国際水準の一つの条件ですから、留学生の確保は重要な課題ですね。
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| 大南 その通りです。すでに、韓国のソウルとインドネシアのジャカルタに現地事務所を開設して、高校・大学などの教育機関や企業、政府機関とネットワークを組んでいます。
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| 平松 アジア各地に積極的にミッションも送られていますね。
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| 大南 夏休みの時期を利用して、各国の大使館や教育機関などを訪問しました。幅広い提携関係をつくり、留学生派遣に対する協力をお願いしています。
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| 平松 なかなかそこまで出向くところは少ないのではないですか。
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大南 ええ。非常に歓迎されました。ほぼ予定の留学生数を確保できる見通しがたちました。
加えて私たちがやるべきことは、受け入れ条件の整備。スカラシップ(奨学金)の充実と住居対策です。スカラシップは経済的援助よりも、意欲のある学生に出していくという方針を取りたいと考えています。住居対策は、キャンパス内に500人規模の寮を建設しますが、さらに地元の別府市や関係の各方面からもご協力をいただかなければなりません。 |
平松 1年間は寮に居ても、あとの3年間は「一村一留学生制度」として、大分県内の市町村にホームステイしてもらいたい。大分の農家のことや商店街のことなどいろいろ見て感じてほしいのです。青春のもっとも多感な時期ですから、本当の日本の良さを知ってもらうには最適だと思いますね。
また、県内には留学生の受け入れにすでに実績のある大学があります。それらの大学と一緒になって、単位互換システムをつくるとか共同研究を行うなど、地域に共生する大学になることを期待しています。 |
| 大南 それについては、ぜひやりましょうと各学長さんとも話したところです。
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| アジア太平洋地域への架け橋 |
| 大南 日本人学生も半数を占めますので、アジア太平洋地域の持続的な発展に自分も貢献しようという気持ちのある人に来てほしいですね。
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| 平松 1対1の関係で受けるインパクトは、かなり大きなものがありますから、四年間のうちに意欲は高まっていくでしょうね。
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| 大南 21世紀は仕事の質と量がずいぶん変わっていくだろうと思います。学生にはこの大学に来ることにより、もっと国際社会に出て活躍するような仕事を見い出してほしいのです。国際社会といわれながら、日本の学生には国際社会で働くという意欲が少ないですね。
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| 平松 青春期に机を並べ、話をすることは、映画やテレビでしか知らなかった国の人と、お互いに文化や人間関係を理解するもっとも有効な手段です。
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| 大南 自分自身を相対化して見ることができます。そうすると、言葉の壁や価値観の違いが見えてきます。価値観の違いは、ともすれば密接な関係づくりを避ける口実に使われる場合もありますが、そうではなくて、価値観の違いをお互いが理解し合い、そして共通部分をどう広げていくのか。それが実現できる場所の1つが大学なのです。 |
| 平松 同化する必要はないですね。お互いが全然違う国民であるということが分かってはじめて、本当の理解や仕事ができるのだと思いますよ。
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| 大南 地域に及ぼす影響も、学生と教職員を合わせて約4,000人がいるわけですから、かなり大きなものになりますね。
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| 平松 これからは、頭のなかでの国際化から肌で知る国際化の時代になるわけです。4,000人の消費者人口、しかも消費形態がみな違うわけですから、本当に住みやすい町づくりが必要です。新しい経験を県民もすることとなり、本当の国際化が促進すると思います。そして、別府の町が活性化されて、大分県全体へと広がっていく。21世紀の新しい大分県の原動力となるでしょう。
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| 大南 大学自体も市民に開かれたキャンパスにしたいと思っています。立命館ではすでに図書館の日曜開館とか市民講座などずいぶんいろんな活動をやってきました。別府でも「立命館おおいた講座」を開催していますが、大変好評です。「BEPPUドリームバル」や「クリスマスHanabiファンタジア」など地元のイベントにも参加させていただいています。
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平松 別府市民が気軽に行けるような雰囲気をつくっていただきたいですね。
スポーツ界では、外国人が日本代表として活躍しています。どの国の人であっても、みなお互いに協力して日本の経済発展のために努力する、そういう社会がくると思います。アジア太平洋大学がアジア太平洋地域の架け橋となるよう期待しています。 |
| 大南 正瑛(おおなみ まさてる) |
| 立命館理事・前総長 |
| 昭和6年京都府生まれ。立命館大学理工学部卒業。昭和42年立命館大学理工学部教授、昭和63年同大学理工学部長就任。平成3年から
平成10年まで学校法人立命館総長・立命館大学学長を務める。平成7年には米国アメリカン大学より国際関係学名誉博士の学位を受ける。
日本材料強度学会理事・評議員、文部省大学設置・学校法人審議会大学設置分科会常任委員など要職を兼務。趣味は、油絵、読書。
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| 立命館アジア太平洋大学 |
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| 所在地 別府市十文字原 |
| 学部・学生数
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アジア太平洋学部
400人×4学年=1,600人
2・3年次編入学定員
20人×3学年
60人×2学年
=180人 |
アジア太平洋マネジメント学部
400人×4学年=1,600人
2・3年次編入学定員
20人×三学年
60人×2学年
=180人 |
| 両学部合計3,560人 2000年4月開学予定
(文部省設置認可申請中) |
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