1999・7 Vol.33

特集2 県経済を支える中小企業
 不況が長期化するなか、今日の県政の課題は景気回復である。 既存産業の成熟、情報化の進展、金融システムの国際化などに より、中小企業を取り巻く経済環境が大きく変化するなか、迅 速な意思決定や機動性を生かして業績を伸ばしている中小企 業に注目が集まっている。いずれも研究開発に力を注いだり、 新分野へ進出したり、異業種との共同開発などに積極的に取り 組んでいる。
 
元気印の中小企業

 新技術・製品の開発や企業間ネットワークの構築等による新分野進出など、創造的な事業活動に取り組む中小企業が増えている。県としてもこのような中小企業を経営革新の担い手として位置付け積極的に支援している。現在、ハイテク、生活環境、一村一品などの分野で、「中小企業創造活動促進法」の認定企業として55社が登録され、補助や融資などの支援を受けている。また、(財)大分県産業創造機構の大分ベンチャーWebのホームページでは、これらの企業の独創的で高い技術力を紹介している。
投資家・ビジネスパートナーとの出会い支援

 平成10年11月、福岡市で初めて「ベンチャープラザ大分」を開催し、県内企業と県外の投資家・ビジネスパートナーとの出会いの場を設けた。  県内から84社121名が参加し、県外の 投資家やビジネスパートナー(144社184名)に対して、自社製品の説明や、個別商談を行ったほか、法律、特許、技術、経営全般に関する専門家のアドバイスを受けた。  現在、四社で商談が成立し、数社が商談中である

ベンチャープラザ大分の参加企業

(有)ダイニチ工芸社(大分市・竹下健太社長)

 西日本に二三か所の支店、営業所を持つ福岡の会社と販売代理店契約を結んだ。営業は全面的に提携会社が行うことになり、製品をインターネットを通じ、絵などで確認出来るシステムを作成中である。同社は、FRP樹脂造形技術で、看板や橋の親柱の造形装飾に独自技術を持っている。観光看板、道路沿いの大型の神楽人形、プールのすべり台、商店の外観など、日ごろ目に触れるものを多く手がけている。「物を造ることには自信があるが、販路の開拓は苦手だった。今回の参加で販売提携先が見つかり、県外へも販路が広がり新しい展開を期待している。」(竹下社長)

FRP樹脂造詣作品
ベンチャープラザ大分の参加企業

(有)日本建装工業(大分市・池邊和壽社長)

 初めての展示参加ながら三社と販売代理店契約を結び、全国展開の目途がたった。小型、軽量で省エネルギータイプの電子瞬間湯沸器エマックスや、給湯のほか温水床暖房などができるアトムズシリーズが販売の中心である。超小型、超軽量、超高性能そしてクリーンをセールスポイントにしており、給湯、床暖房のほか、北国の融雪、ビニールハウスの暖房など、用途の拡大を期待している。  「今までの自社努力では営業に限界があった。販路拡大のきっかけにしたい。」(池邊社長)
超小型、超軽量安全、低価格、 低維持費の電子給油器・循環 システムの"アトムス"


総合的な中小企業支援

 平成11年4月1日に大分県技術振興財団と大分県中小企業振興公社が再編・統合し、財団法人大分県産業創造機構として新しくスタートした。
 産業構造が大きく変化し、厳しい経営環境が続くなか、中小企業に対する支援窓口を一本化し、迅速かつきめ細かい総合的な支援をする。具体的には、総合コーディネーター・技術アドバイザーの配置や支援チームの派遣により、研究開発、起業化支援、技術交流支援、販路開拓支援、人材育成、生産支援、情報収集提供などを効率的に実施する。
 この他にも、大分県立工科短期大学校による実践的技術者の養成や、中小企業と大分県産業科学技術センターや大分大学との共同研究なども支援する。






九州における小さな大企業を紹介します。

技術と金剛やる気塾

金剛(株)・熊本市

大分県立図書館の書架システム
 移動棚を中心にオフィスシステムで全国展開を図っている金剛(株)。 社員約450人、資本金6千万円。主力商品の移動棚「スペースムーバー」は全国シェア50%を超す。100%リサイクル可能で、グッドデザイン金賞を受賞、三年連続の受賞は全国で二社目だ。移動棚メーカーでは初めて、ISO9001も取得した。県立大分図書館の書架システムも手掛けている。
 不況期だからこそ、新しい技術、新しい経営展開が求められる。
 「当社でもかなりの数の共同研究がある。移動棚もそのなかから生まれたものです」と、宮  雄社長は”産学官共同研究”の活性化に期待を寄せる。
 不況のなかでも元気のいい企業は、”グローバルスタンダード”で勝負し、高いシェアを確保しているようだ。同社のデザイン力は定評があり、マーケティングにも力を入れている。
 一方、人づくりも活発だ。「多くの人が少しずつ変わろう」と、「100人研修」を始め、平成六年からはマネージャークラスを対象に、「金剛やる気塾」を開講。マネージャーのもとで部下が育ち、会社全体が活性化した。社内情報誌『PASSION』も役立った。企業の元気の源は人づくりにある。

ユーザーがつくる多品種商品

(株)筑水キャニコム・福岡県吉井町

小型特殊自動車"ライガー"
 農林業用運搬機械の製作では、全国シェア45%を占める。社員約200人、資本金3億5千万円。戦後鍬、鎌などの農業用具の製作から始まり、昭和50年代にキャタピラ式小型運搬車「ライガー」(ライオンとトラの力強さを訴えた)が大ヒット。「地方からの挑戦」が始まった。
 昭和60年頃、地元の林業組合との共同開発の末に「やまびこ」(全国へ広げたいとの願いを込めた)を完成させ、61年に林野庁長官賞を受賞。「職人気質の製作所」から、「全国にシェアを持つ機械メーカー」への転機になった。
 農林業用運搬機械は作物により、地域により、異なる仕様が求められる。従って、多品種少量生産品が基本だ。大分県内でも、椎茸づくりに適した運搬車が多く使われている。建設業、漁港での魚運搬、小型特殊自動車を霊柩車に使いたいという申し出もあった。基本車種を元に、ユーザーの意見を徹底的に取り入れた「改造車」をつくる――これがキャニコムの精神だ。 「異分野にも進出したい。作業用機械に取り組みたいし、医療・福祉の分野も魅力があります。一人ひとりを考えた製品づくり。キャニコムの挑戦は続きます」(包行良人社長)

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