里イモは丸くて大玉が市場で高値が付くため、三宮さんたちも「大玉・丸イモ」作りに精を出す。私たちが訪ねたときは、里イモの収穫にはまだ早かったが、三宮さんは1株掘り起こしてくれた。真っ黒な土からころころした丸イモが鈴なりになって出てくる。「まだちょっと小さいけど旨いよ」と、三宮さんは自慢の里イモを箱いっぱいわけてくれた。
野仲地区に住む合沢伸彦さんは、4年前に50歳で会社を早期退職し、お父さんの五美さん、奥さんの洋子さんと共に農業を営んでいる。五美さんは今から21年前、緒方町が減反対策の切り札として里イモに力を入れ始めた当初から、里イモ作りに
取り組んできたひとりだ。
合沢さんは、畜産農家から分けてもらう 堆肥と、米ぬかを使って作るボカシを併用している。「化学肥料や農薬をできるだけ使わず、地球と人間環境にやさしい低コストの農業を心がけています」。退職後から本格的に農業を始めた合沢さんは、今、自らめざす農業に燃えている。「手入れしていい物ができた時は本当にうれしい」とにっこり。思い入れのこもった里イモを私たちも分けていただいた。
三宮さんと合沢さんにいただいた里イモを煮付けにしてみた。どちらもむっちりと粘りがあって、とろけるように柔らかい。あまりの美味しさに、思わず周囲に手当たり次第おすそ分けしてしまった。
祖母・傾と九重の山々に抱かれた緒方町は伏流水に恵まれ、昔から「緒方に水涸れなし」と言われた所。この豊かな水と牛の堆肥を使った土が、いい里イモを育ててきた。ところが最近は、中国産の安い野菜が出回ったり消費の減退で単価が低迷し、農家の高齢化問題にも悩んでいる。今年からは従来のエグイモに加えて、早く出荷でき「大玉・丸イモ」率が高いブンゴサトイモにも取り組み始めた。
11月下旬には、里イモをはじめ地元の野菜やシシ肉を入れた「さぶろう鍋」を河原で囲む「さといも交流大会」が恒例だ。緒方の里イモは、これからが最盛期。あのとびきりの美味をたっぷりと味わいたいものだ。
|
| レストラン白滝のアイデアあふれる里イモ料理の数々。 |
|