| 着物と韓服、風の出会い |
平 松 いよいよワールドカップサッカーが六月に大分で開催されます。私は、これを契機に日本と韓国の文化の交流が盛んになることを期待しています。
今回、紬織りの人間国宝志村さんと、民族衣装の現代風のアレンジなどで国際的に活躍されている韓国のトップデザイナーのイヨンヒさんが、大分の地で共同展覧会を開かれました。お二人の出会いや展覧会開催のいきさつをお聞かせください。 |
| 志 村 二年半前に、ソウルで着物の展覧会をしないかというお誘いがありました。それまでは、韓国では、日本文化を持ち込むことはタブー視されていたのですが、着物のすばらしさを伝えたい一心で全力をあげて取り組みました。そうしたら、思いがけず多くの皆さんが大歓迎してくださいました。その時に初めてイヨンヒさんにお会いし、お話をするうちに素晴らしい芸術家であると同時に、時代を認識した新しい仕事を未来に向けて進めておられる方だと思いました。 |
| イ 今、ヨーロッパを中心に東洋文化が注目を集めています。私は、十年前から韓国の文化を西洋に知らせるためいろいろな活動を行ってきました。その中で、志村さんというすばらしい方にお会いできました。今回、ワールドカップサッカー共催をきっかけに一緒に仕事をしないかというお話があり、喜んでお引き受けしました。 |
| 平 松 志村さんには、以前、大分の豊後梅を使って染めていただきました。また、一つの茎に情け有るという、『一茎有情(いっきょううじょう)』という著書もありますが、日本と韓国、育った風土が違うと同じ植物で染めても色が違いますか。 |
イ ヨンヒ作 貴族の外出着
|
| 志 村 韓国で実際に染めて欲しいと要望がありましたので、ソウルの山で、色々な植物を採取して、染めてみました。日本と同じ植物もありましたが、思いがけない色が出ました。この試みは評判を呼び、互いに布や染料を交換するなど大変盛り上がりました。色には風土が深く関わっているのだと実感する出来事でした。 |
| 平 松 イヨンヒさんは、十年前からパリコレクションに出品されていますが、韓国の鮮やかな原色から、色の取り合わせか方が徐々に変わってきたのではないですか。 |
| イ パリなどに出品する時は、その時代の流行に合わせた色を出さなければなりません。一方で祖国の色、伝統の色をパリの皆さんにも知ってもらいたいという思いもありますので、組み合わせを工夫します。 |
| 平 松 なかなか難しいところですね。今ヨーロッパは、欧州連合(EU)で一つの通貨に統合されつつあり、また、文化も例外ではありません。そのヨーロッパで東洋の色とか、東洋の草木染めの文化が通用するというのは素晴らしいことですね。 |