| W杯開催が近づいたころ、大分市中心部のビルに、突然オレンジとブルーの色鮮やかなデコレーションが出現して、市民の話題をさらった。お堅いイメージのオフィスビルに、オレンジとブルーのテープを交互に垂らした華やかな飾り付けをしたのは、まず日本銀行大分支店。それからJR大分駅、大分銀行と続き、県庁、市役所、銀行、商店街、タクシーまでもが次々にオレンジとブルーに染まっていった。
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この「おもてなしカラー」でW杯を盛り上げよう、という試みを提案したのは宮崎和恵さん(『シティ情報おおいた』発行人)。宮崎さんは三年前オランダを旅行し、女王様の誕生日に街じゅうの人がロイヤルカラーのオレンジを身につけてお祭り騒ぎをしているのに遭遇した。彼女もオレンジのスプレーを髪に吹きかけてもらい、みんながひとつの色になることでお祭り気分を共有できる楽しさを味わったという。 |
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| おもてなしカラー仕掛け人の宮崎和恵さんと川崎裕一さん。 |
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この経験が忘れられず、「街のイメージカラーをウェルカムカラーとして、建物を色で包もう」と提案したところ、最初に賛同してくれたのが川崎裕一さん(佐伯建設社長)。二人で相談を始めるうち、「面白そうやないか」と中小企業や商店の経営者らが集まり、計七人でおおいたカラープロジェクト実行委員会が発足した。 |
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| 「色」は世界の共通語。街をひとつの色に染め、集う人がひとつの色を身につけることで、会場に足を運べなくてもW杯を楽しみ、外国語が話せなくても歓迎の気持ちを表そう。そう呼びかけて、二〇〇一年六月、「おもてなしカラー」を県民から公募。集まった約一万票を集計すると、一位オレンジ、二位ブルー。その差わずか六〇票だったため、この二色をおもてなしカラーに決定した。 |
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| カラー・ポロシャツが大好評だった大分駅の駅員さんたち。 |
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それからは実際にフラッグでビルを包んで実験したり、議論を繰り返して、建物を包む素材を検討。最終的にはフィルムを使用、撤収後はゴミ袋としてリサイクルし、市の清掃課に寄附することに決めた。
こうしておもてなしカラープロジェクトは動き出したが、五月初めになっても市民や企業の反応はイマイチ。「広がりは難しいかなぁと思ってた」と宮崎さん。ところが、日銀大分支店や大分銀行、大分駅に鮮やかなカラーが登場したとたん、「ウチもウチもと、怒とうのように問い合わせが相次いだ」。あっという間に、参加企業や店舗は三百近くに。二色のフィルムで飾る以外にも、それぞれの創意工夫で、銀行員や駅員がおもてなしカラーのポロシャツを着たり、商店街のオブジェを二色で飾ったり、二色の風船を飾り付けたりと、みんなが「色」で遊び、「色」を楽しみ始めた。おもてなしカラーを身につけた建物も、人も、みんながW杯の”サポーター“気分になった。
「最初は自分たちが楽しみたくて始めたけれど、みんながあんなに楽しんでくれたのが嬉しかった。街の人たちが面白ければ、来る人も面白いはず。まずはW杯を十分に楽しんで、その後のことはそれから考えればいい。楽しまないといいアイデアは浮かばないものね」と宮崎さん。みんなを楽しませ、自らも存分に楽しんだ人たちの頭には、この経験を生かした次なるアイデアが生まれているかも。 |
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| 市中心部にもオリジナリティあふれる飾り付けが続々。色があるだけでこんなにも楽しい! |
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