vol.6 1999年9月発行
特集1 21世紀の扉を開く平成11年度県予算
県政フラッシュ
地域からのメッセージ

21世紀の扉を開く
平成11年度予算 7,088億円
7月の県議会において、肉付け予算が承認され、21世紀の生活大県づくりに向けて、歩み始めました。
現在は平成不況の真只中にあり、社会経済情勢は大きく変動しており、厳しい状況です。
地方分権や行財政改革を推進する一方、景気の回復と経済再生、環境にやさしく安心して暮らせる社会の構築、21世紀を担う人づくりに重点を置きながら、各般の施策を積極的に推進します。

景気回復と行財政改革に全力を尽くします

 県政の執行にあたっては、まず第一に、県民の皆様が真に豊かさを実感でき、21世紀を安心して迎えられる「生活優県」の実現を目指します。経済企画庁から毎年発表される生活の“豊かさ指数”は今年、県独自の試算で、全国11位(九州でトップ)と毎年順位を上げており、今後は5位以内を目指します。

 第二は地方分権と行財政改革の推進です。国において地方分権一括法が成立しましたが、権限の移譲とあわせ、中央から財源を移す「分財」、地方に有為な人材を確保する「分人」が必要です。地方としても、分権の受け皿づくりとして、広域連合などによる広域行政を推進します。また、行財政の効率化・健全化、特に事務事業の徹底した見直しなど、中長期的な視点に立った行財政改革を積極的に推進します。

 第三は、7月の補正予算において、景気の回復、環境と福祉、教育・人づくりの「3つのK」を重点に、農林水産業、商工業・観光の振興に取り組むなど、健全財政の枠組みを堅持する中で、積極的な県政を推進します。特に、景気対策については、景気を下支えする公共事業を積極的に確保するほか、中小企業活性化資金の新規事業枠の拡大や緊急雇用対策を実施します。  21世紀を目前に控え、国も地方も大きな転換期を迎えており、極めて難しい時期ですが、勇気、元気、チャレンジ精神で、夢のある新世紀の大分県を創造します。

景気・雇用対策

 景気回復を図るため、公共事業費を、前年度当初予算より実質で8.2%増額し、高速交通体系等の道路整備をはじめ、河川、生活道路、下水道など幅広い基盤整備を行います。

特に地域経済緊急対策として、県単独の道路改良事業を拡充するほか、中小企業活性化資金の新規融資枠の拡大、離転職者を訓練する緊急雇用対策事業などを実施します。

 新たな雇用を生み出すベンチャー企業育成のため、支援資金の保証料率を引き下げるほか、中小企業の新事業創出や研究開発を産業創造機構を通じて支援します。また、企業誘致を積極的に進めます。

県南へ延びる東九州自動車道とスポーツ公園

一次産業の振興

  園芸粗生産額の拡大のため、ハウス施設などの整備に対し助成するとともに、高齢農家のいちごの高設栽培など省力化施設の導入を促進します。 また、野菜産地の経営強化を図るため、価格変動の激しい品目の価格保証の基準価格を引き上げます。

 中山間地域は、環境や国土の保全など多様な役割も果たしており、市町村農業公社が実施する農作業受託へ助成し、農地保全を図るほか、棚田地域保全のため基金を新たに積み立てます。

 豊後牛の繁殖から肥育まで県内での一貫生産確立のため、県内産黒毛和種を導入する肥育農家に低利の貸付資金と保証制度を創設します。

 林業では、椎茸生産技術向上をめざす若手生産者グループの研究活動に対し助成を行うほか、ほだ木の造成に対する助成を大幅に拡大します。

 水産業では、漁業者の経営安定のため緊急融資制度を創設し、利子補給を行うほか、一漁協一ブランド化推進事業として東国東地域などでたちうおやかれいなどの広域共同出荷体制を整備します。


施設園芸に取り組む青年業者

地域の振興

 過疎市町村において、快適で住みやすい地域社会をつくるため、県職員による巡回研究チームを派遣し、活性化戦略の策定を支援します。

  また、適正共生社会づくりのモデルを具体化するため、真玉町、緒方町、荻町が行う、豊かな自然、個性あふれる文化・歴史などの地域資源を活かした都市地域との交流を支援します。

 地方への定住促進のため、特定優良賃貸住宅をグレードアップする過疎市町村などに対し助成を行うほか、新しい生活が始まっているハイテクニュータウン向陽台(武蔵・安岐町)は電柱の地中化、ケーブルテレビの導入など情報先進の街として、整備します。


過疎化歯止めに一役 グレードアップ住宅

子どもを生み育てやすい環境づくり

 子どもを生み育てやすい環境づくりに向け、まず第一に乳幼児医療費助成の現物給付方式への移行に向けた準備事業を実施します。本県では、3歳未満児の医療費に加え、未就学児の入院費までを無料化し、全国でもトップレベルの水準になっています。

 現行の保護者が一旦医療機関で支払う方式を改め、利用者の利便性を向上させます。
また、ゼロ歳児の受け入れの促進や休日保育、延長保育など保育サービスの充実を推進します。

 さらに、平成7年度に策定したおおいた子ども育成計画の見直しに着手するとともに、児童館を積極的に整備し、小規模な児童クラブ運営に対し県単独で助成します。


乳幼児医療費の現物給付で利便向上

来年4月の介護保険制度の実施に向けて

 全ての市町村が一定の介護サービス水準を確保するため、市町村の介護保険事業計画のガイドラインとなる県全体の目標数値を設定し、計画の策定や保険料格差の是正指導を行います。

 また、10月からの要介護者の認定審査に備え、介護認定審査会委員等の研修を行い、市町村や広域連合などを支援するとともに、サービス基盤の効率的活用を図るため、事業の広域化、共同化を検討します。

さらに、介護保険制度を補うボランティアを養成するため、「県福祉ボランティア大学校」を開設し、地域での配食やふれあいなどの活動を促進します。


福祉ボランティアの育成

環境対策の推進

 「環境基本条例」、「環境影響評価条例」、「環境保全条例」を本年度中に整備し、環境保全制度の体系化を図ります。

  全国の都道府県に先駆けて取得した環境マネジメント国際規格ISO14001の確実な運用に努めるとともに、この環境保全の動きを全県域に広げるため、市町村への助成や中小企業へのコンサルタント派遣などの支援をします。

また、環境ホルモンに関する調査研究の実施や、ダイオキシンの測定体制を整えるとともに、ゴミのリサイクルによる循環型社会の構築を目指します。


ダイオキシンを厳しくチェック

主な新規事業 (単位=万円)

健やかで心やすらぐ社会の構築
・大分県福祉ボランティア大学校開設事業
506
・介護サービス等広域化支援事業
1,463
・県立病院総合周産期センター調査事業
121
・乳幼児医療費現物給付制度移行準備事業
122
・男女共生おおいた推進事業 (男女共生参画社会づくり)
717
豊かな自然と共生し
    安全な生活環境の創出
・エコおおいた推進事業 (環境大県の実現)
1,616
・環境保全県営林特別対策事業
989
・高齢者交通安全特別対策事業
685
・防災情報システム整備事業
11,694
連携と交流による
    活力ある地域の創造

・公共交通機関利用促進対策事業 (共通バスカード)
578
・地域ふれあい交流支援事業 (過疎地域と都市の交流)
1,590
・おおいたバーチャル国際見本市開催事業
1,442
競争と共生の時代を
    生き抜く産業の振興
・大分の茶産業新生事業
3,350
・施設園芸省力化対策事業
3,100
・豊後牛県内一貫生産確立資金貸付事業
23,031
・棚田地域保全対策事業
15,090
・O,Wood流通促進対策事業
509
・大分しいたけステップアップ推進事業
7,628
・一漁協一ブランド化推進事業
459
・中心市街地街づくり推進事業
145
・緊急雇用対策事業
950
新世紀を拓く
    多彩な文化と人づくりの推進
・豊の国商い未来塾開設事業
300
・豊の国観光カレッジ開設事業
427
・次代を担う青年農業者就農促進事業
295
・エコフォレスター養成事業 (環境型林業リーダー)
327
・明日を拓く浜の人材育成事業
133
・広域学習サービス体制整備事業
304
・心の教育推進事業 (体験活動の推進)
800
・新時代一村一文化事業
1,655
・県民芸術文化祭開催事業
3,850

ハーブで地域活性化

  第8回全国ハーブサミットが7月2日、野津原町で開催された。 ハーブを生かした町づくりを進める全国の45の自治体と11の企業など600人が情報交換をした。
  平松知事の「地域活性化と香りの文化」と題する講演のあと、来場者は「全国ハーブネットワーク展」と「香りののつはる展」でのパネルや特産品、香りの作品について熱心に研究をしていた。香りの森博物館でもアロマテラピーや調香を体験した。



県産乾椎茸が全国第1位

  6月24・25日、第47回全国乾椎茸品評会が静岡県で開催され、大分県は団体の部で4年ぶり、33回目の全国優勝を果たした。乾椎茸は生産量全国一を誇り、一村一品の代表格だが、平成8年から3年間、優勝を岩手県に奪われた。奪還は県も振興に力を入れ、品質の向上に努めた結果だ。

  今回は230点を出品、155点が入賞。なかでも、三重町の麻生光生さんと朝地町の小野九州男さんは最高の農林水産大臣賞を獲得、県民栄誉賞を受けた。


6億円突破の大分べっぴんねぎ

  大分べっぴんねぎ出荷協議会(会員数17名6農協)は、6月24日、別府市で共販額6億円達成記念大会を開催した。
  平成3年に会員数4名、3農協での広域共販で出荷を開始。初年度の売り上げは8千万円。以後、販売額をのばし、平成10年に6億1千万円を達成した。「農協と生産者が一体となって取り組んだ成果。次の目標は平成15年に10億円を突破すること。
  魅力のある農業にしたい」と神品正志会長(三重町)は力強く語った。きらりと光る一村一品として期待がかかる。


大分の元気は若者から

 6月30日、「職欲モリモリふれあいトーク・中央大会」が大分市で開かれ、就職戦線に立ち向かう大分市内の高校生850人が参加し、会場は熱気であふれた。
  参加者は、今年就職したばかりの先輩からのメッセージビデや模擬就職面接などに熱心に見入っていた。平松知事は大分県の魅力を語り、「大分県を支えるのは若い人の力。You can do it! なせばなるの精神で立ち向かってほしい」と激励した。
  同大会は別府、中津、日田、臼杵、佐伯、宇佐、三重でも開催された。

中国返還間近 マカオ総督来県

 7月27日、マカオのヴァスコ・ロッシャ・ヴィエイラ総督一行が県を訪れた。
 マカオは人口42万人のポルトガル統治の中国領。今年12月20日に主権が中国に返還される。
  ポルトガルとは16世紀に豊後の盟主大友宗麟が宣教師フランシスコ・ザビエルを招いたことにはじまり、医師ルイス・アルメイダが日本で初めての西洋外科手術をするなど深い関係。平成5年には友好450年記念行事を行い大統領も訪れた。
  一行は県庁で平松知を訪問したほか、ゆかりのある臼杵市や大分市のアルメイダ病院を訪れ、交流を深めた。

新名所・あぜ道水族館

 県庁1階に開設されている。
 フナ、ドジョウ、ゲンゴロウ、アメリカザリガニなど水辺の生物に来庁者は子どもの頃へ思いをはせている。8月末まで展示。






廃棄物の循環型社会をめざして (中津市)

 中津市クリーンプラザが4月にオープン。 施設は最先端の技術と最新の管理で、焼却灰の発生低減をめざす。
  併設のリサイクルプラザは、有価ごみなどをすべて資源化するシステムを確立し、本県では先進的な取り組みだ。施設見学や不要品の交換コーナー、研修室で、分別収集や再利用の大切さを訴え、減量化へ向け市民意識の変革を図る。
 「夏休みには小学生を対象に牛乳パックの紙すきなどの体験学習を行った。高齢者学級などでも訴えていきたい」と、市清掃第一課の落合課長は力強く語る。


地域おこしの活動拠点 (犬飼町)

 6月、地域おこしグループ「犬飼KENKO塾」は、活動拠点“Area99”を3年がかりで完成させた。
 塾生の手づくりによるもので、水害による流出など2回の苦難を乗り越えての完成に、喜びも格別のようだ。
  塾は豊の国づくり塾生が中心となって、昭和60年に設立。三ノ岳元旦祭の開催や各地のイベントへの参加など、交流の輪を広げてきた。 情報発信と交流活動の拠点として、新たな取り組みがはじまった。施設は他のグループにも開放する。


"しいたけのり"を一村一品にしたい (竹田市)

 竹田市神原で農林業に従事する鑓水惟臣・ケサ子さん夫婦は、5月、祖母山の麓に神原山水加工所をオープンした。
  数年前、椎茸に付加価値を付けようと、椎茸をのり状にした「しいたけのり」を考案した。
  加工所ではしいたけのりを使った巻きずしやしいたけパンを製造し、市内3か所の農業公社のアンテナショップで販売。 しいたけのりの歯切れの良さとほのかな香りが受け、連日売り切れ状態。ケサ子さんは、昨年、県の「ふるさと生活技術一番さん」にも認定された。
  「将来は県の一村一品にしたい」と意欲を燃やしている。

神原山水加工所рO974−67−2566


リサイクルで花いっぱい運動 (臼杵市)

 臼杵市祇園西区の主婦ら16人でつくる「祇園西をよくする会」は、資源ごみの回収活動で得た益金を元手に花いっぱい運動に取り組んでいる。
 きっかけは「家の前に花があったら気持ちいいね」の一言。その後、「市を訪れる人にきれいな花を」を合い言葉に、市街地の入り口に、マリーゴールドなどの花を咲かせた。「活動の継続は区民の協力のおかげ。
  来年4月の日蘭友好400周年の行事にはチューリップを咲かせたい」と、会員たちの計画は尽きない。県のフラワートピア運動にも参加し活動の飛躍をめざす。


25年間継続の広報紙 (日田市)

 日田市田島1丁目壮年団(70人)は、区画整理事業で町が誕生した翌年の昭和48年に結成された。
 近隣がふれあい助け合う、青少年が健全に育つ、お年寄りが大事にされるなどを目標にしてきた。
 月1回のおはよう掃除や盆踊り大会、子どもみこしなど、団員が中心となり、町民ふれあいの場づくりに努めてきた。
  広報紙「万年青」は50年に創刊。25年間、毎月発行で1度の休みもない。「広報紙は団活動の活性化につながっている。来年には300号に達し、役員はすでに記念行事へ向け意欲満々」と創刊以来編集長を努める津江治士さんは語る。継続は力の実践だ。