vol.9 2000年3月発行

特集1 2010年度目標 豊の国・生活優県づくり宣言
県政フラッシュ
地域からのメッセージ

2010年度目標 豊の国・生活優県づくり宣言
 21世紀初頭に向けての豊の国づくりが始まる。4月には分権社会への転換を図る地方分権一括法が、また、介護保険制度が施行されるなど、今年は明治以来の中央集権型の行政システムが大きく変わろうとする節目の年である。変革の波は確実に地域づくりにも及んでくる。
 これからは新しい認識のもと、地域自らの行動で地域の潜在力を活用していかなければならない。新しい長期総合計画は、地方分権と文化、観(光)交(流)、環境の視点から地域戦略を展開する。

 多くの県民の皆様のご意見を聴いて、2010年度(平成22年度)を目標にした「おおいた新世紀創造計画」を昨年末に策定しました。県民の主体的な参加や積極的な協力のもと、高齢化や過疎化、農林水産業や中小企業の振興などの課題に取り組みます。

 本県では、この10年間を地域構築の時代と位置づけ、物も豊か心も豊かな「GNS(県民総満足度)型社会」の実現に向けて取り組んできた。この結果、道路の整備をはじめ、保健福祉施設・生活環境の整備などについて、ほぼ目標を達成。特に、豊かさ指標においては平成5年の全国21位から11位(平成11年)まで上昇しました。

 来る21世紀は、右肩上がり経済の終えん、少子・高齢化の進行、経済のグローバル化や情報化の進展、環境問題の顕在化、さらには人々の価値観・生活様式の多様化、地方分権・広域行政化の進展などにより、大きく変わろうとしている。  

 新計画では、@人が育つ Growth、A人が行き交う Network、B人が安心できる Securityの3つの視点から、生活者に優しく暮らしやすい、優れた自然・産業・文化を持った“生活優県・新GNSおおいた”の実現をめざします。

 なお、237項目の具体的な指標を設定し、その達成に向けて、施策の効果を最大限に引き出すため、@地方分権の推進と文化立県の実現、A観交立県の実現、B環境立県の実現の3つの戦略を積極的に展開します。

1 健やかで心やすらぐ社会の構築
 少子・高齢化時代に県民一人ひとりが夢を持って、子どもを生み育て、安心して豊かな老後を送れる社会を構築する。
 そのため、保健・医療・福祉サービスの一層の充実と総合化を図るとともに、子育て環境の整備や高齢者、障害者をはじめ誰もが活躍できる環境づくりを県民すべての参加のもとに進めていく。

2 豊かな自然と共生し安全な生活環境の創出
 美しい自然環境と安全で質の高い生活環境のもと、真に豊かな県民生活を創出する。
 そのため、すべての分野で環境に配慮した取組みを進めるとともに、身近な生活面においても、ゆとりと快適さを感じられる環境を築いていく。また、災害や犯罪、交通事故などからの安全を確保していく。
 

3 連携と交流による活力ある地域の創造
 日常生活や生産活動を営む基盤としての地域の機能を向上させ、個性あふれる地域を創造する。
 そのため、一村一品運動をさらに進め、誇りと自信に満ちた自立的な地域づくりをする。また、県内60分・圏域内30分広域交通網の整備などにより広域生活圏の形成や、都市と農山漁村、河川上下流域、アジア諸地域などとの多彩な交流・協力を進めていく。
 

4 競争と共生の時代を生きぬく産業の振興
 各産業の競争力を高めるとともに、産業間の連携や複合によって新しい産業を造りだすなど、内発的で創造的な産業を振興する。
 そのため、農業・林業・水産業の担い手の育成・確保と生産基盤を整備し、さらに環境に配慮した生産を推進していく。また、地域商業の振興や高度な技術開発力をもった創造的な中小企業を育成していく。地域の新しい観光の顔・魅力づくりも進めていく。
 

5 新世紀を拓く多彩な文化と人づくりの推進
 長寿化や価値観の多様化に対応して、県民一人ひとりが生きがいを持ち、自己実現のできる環境づくりを推進する。
 そのため、地域づくりのリーダーの育成や自由に学べる学習環境の整備、将来を担う子どもたちの社会参加、生活にゆとりと活力を生み出す文化・スポーツの振興を進めていく。
 

いよいよ着工 中九州横断道路

  1月30日、大野町の大野インターチェンジ(仮称)予定地内で、犬飼〜大野間(13km)の起工式が行われ、平松知事が全線開通に向けての決意を述べた。大分から竹田、熊本を結ぶ総延長120km(県内区間56km)の地域高規格道路。大野〜竹田間も昨年末に整備区間に格上げになっており、全線が開通すると、大分〜熊本間が1時間短縮され、2時間で行ける。豊肥地域の地域間の交流、連携が一層進む。

おおいたバーチャル国際見本市開設!

 
1月31日、国内で初の国際見本市が、インターネット上に開設された。平松知事がパソコン画面でテープカットし、「大分から海外に情報を発信し、海外とのビジネスネットワークを拡大してほしい」と県内企業を激励した。14年3月31まで、県内企業109社、外国企業125社の会社概要、商品説明、連絡先などを日本語、英語、中国語で紹介。日本貿易振興会大分、県貿易協会とも連携し、企業の海外取引などを支援する。 (http://vtrade.pref.oita.jp)

大分キヤノンマテリアル初出荷

 1月18日、昨年暮れから杵築市で本格生産を始めたプリンター用カートリッジ5760個が、大在コンテナターミナルからアメリカに初出荷された。

 世界の市場を視野に入れ、月産100万個の生産体制をめざす。大分港大在コンテナターミナルの取扱量が大幅に増加するなど、流通面での波及効果にも期待がかかる。今年中に従業員300人を1000人程度にまで増やす。

竣工!立命館アジア太平洋大学

 1月14日、別府市十文字原の大学キャンパスで500人が出席し竣工式が行われた。「アジア太平洋地域のリーダーとなる人材を育成する。日本が世界に誇れる大学にしたい」と学坂本和一初代学長が決意を表した。帯刀副知事や樋口廣太朗アドバイザリーコミッティ名誉委員らが「別府市はアジア太平洋地域の交流拠点として確実に飛躍する」と期待を寄せた。2月の入学試験、4月の開学をめざし準備が進んでいる。
グリーンネットワーク宣言inタイ

 1月21日、帯刀副知事を団長とする訪問団がタイのソンクラ県を訪れ、ジャンセーナ知事と豊かな森林づくり宣言書を交換した。地元の小中学生など約400名が見守るなか、訪問団は2004年完成予定のソーンタレ公園に松の木などを記念植樹した。昨年のマレーシア・サラワク州、中国・南京市に続くもので、今後フィリピン、韓国でも予定されている。

津江の新“一村一品”

木製トレー (上津江村)

 日本初の木製トレーの本格的製造工場が上津江村に完成し、村民9人による企業組合「ウッドトレー」が運営を始めた。

 トレーは0.3〜0.5ミリにスライスした板を3枚重ねた丸形と長方形の2種類。年間360万枚の生産が目標。特殊な接着剤を使用しているため、廃棄しても土になる。

 「村の主産業である杉の間伐材の有効利用となり、環境にやさしい商品なので、キャンプやイベント時に使ってほしい」と井上揚佑副組合長は語る。

特産ゆずの「黄金のしずく」! (中津江村)

 地底博物館・鯛生金山が昨年11月から販売を開始し、売れ行きは好調だ。
 津江特産の無農薬ゆずを使用しており、うっすらとした黄金色。ゆずの香りが漂う、やや甘口のさっぱりしたリキュール。アルコール分は16%、300ml入りで650円。

 「ビタミンCをたっぷり含んだヘルシーな飲み物」と森本久宣所長は期待を寄せる。
(鯛生金山 TEL/0973−56−5316)

「真玉歌舞伎」で地域文化おこし

大分県一村一品21推進顕彰受賞(真玉町)

 大正期から戦前まで栄え、戦後途絶えていた真玉歌舞伎(町無形文化財)が昭和54年に真玉歌舞伎保存会(会長 藤延 光)によって復興した。伝統を守りながら、毎年、外題(テーマ)を変え、町内外の敬老会や文化祭などで公演を続け、地域文化の振興と地域の活性化に貢献している。

 役者は11人の会員。松竹歌舞伎出身の益田孝吉(国見町)さんの指導で、口写しによるせりふと実演により、会員が台本を作り、約2ヶ月かけてせりふをおぼえる。その後、立ち回りを練習し、本番に備える。

「師匠の厳しく、熱心な指導に加え、会員の真剣な取り組みでできあがる。稽古はつらいが、観客の拍手は何ものにも代え難い喜び」と安藤忠昭事務局長は語る。


新しいイベントの仕掛け集団(佐伯市)

 昨年2月に発足した「CORE(コア)」の提言が、佐伯市のイベントや町のあり方に新風を吹き込んでいる。

 会員は自営業や会社員、公務員など若手市民30人。毎週木曜日の会合では自由な意見を出し合い、その成果といえる提言書は約80ページにおよんだ。

 春祭りでは「なしか」を切り口にしたトークショーで佐伯の魅力を再認識した。また、夏の「マリンフェスタ」ではコンサートや花火鑑賞などを盛り込んだトワイライトクルージング「洋上フェスタ」を提案し、成功に導いた。

 「今年は昨年の提言や経験を踏まえ、高齢者の知恵や力を引き出し、若者の夢とパワーが集まる町にしたい」と会長の東律江さんは目を輝かせる。


地熱ミュージアムタウンをめざして(九重町)

 九重町は平成4年に構想を策定し、地熱の温泉、観光、発電、農業、生活などへの多面的な利用をすすめている。

 泉水ローズガーデン(田野)は、バラのハウス栽培の売り上げが年間2億円に迫る。同じ田野の時松義俊さんは9年からコチョウランの栽培に取り組み、年間1万鉢を出荷する。また、九重バイオセンターではカスミソウなどの苗を生産し、町内外に供給している。

 年間2万人が訪れる“小松地獄”には遊歩道を整備し、生きた地熱博物館として活用を図っている。

 「多分野での利用は全国でも珍しい。町全体が地熱博物館」と町担当者。5月28日から開催される“世界地熱会議”(別府ビーコンプラザ)で取り組み状況を展示紹介する。


手づくり活動で地域活性化

平成11年度豊の国づくり活動選奨受賞
(荻町)


 南河内自治会(世帯数34戸)は、平成2年の大水害で、家屋や道路、河川、水田などに大きな被害を受け、数戸が転出。過疎化が急激に進んだものの、ホタルの里づくりをはじめ、花いっぱいなどの環境保全、文化財保護活動などで地区の活性化に取り組んできた。

 各戸で養殖した蛍を地区を流れる滝水川に放流。数え切れないほどのホタルが乱舞する。「ホタル祭り」では、婦人会の出店やソーメン流し、金魚すくいなどに取り組み、町内外から200人以上が訪れた。

 「自らが考えた、手作りイベントは地域に一体感を生んでいる。一人暮らしの高齢者へも気軽に声をかけ、誰もが住みやすい地区にしたい」と後藤昭一会長は意欲を燃やす。