vol.14 2001年1月発行

特集1 21世紀は「アジアの世紀」「環境の時代」

県政フラッシュ
地域からのメッセージ

21世紀は「アジアの世紀」「環境の時代」

21世紀のアジアのリーダーを目指す立命館アジア太平洋大学の
留学生たち
  いよいよ21世紀の幕が開けた。
  21世紀は「アジアの世紀」「環境の時代」。「アジアと共生する大分」に向けて、アジア初の日韓共催2002年FIFAワールドカップの成功をめざす。また「環境にやさしい大分」に向けて、アジアグリーンネットワークによる植林や廃棄物対策を積極的に進める。
  「夢」と「情熱」をキーワードに、新世紀の活力ある大分県を創造していく。
 

三浦 いよいよ21世紀がスタート しました。ご感想はいかがでしょうか。
平松 世紀をまたぐ県政の最高責任者として新世紀を迎えたことは 大変光栄です。21世紀の新たな「坂の上の雲」を目指し、今年を行財政改革、経済の新生、教育改革を行い、新しい日本を創っていく第一歩の年にしたいと思います。

TOS報道制作局長 三浦 尚
大分県知事     平松 守彦
着々と進む高速交通体系、 情報通信基盤などの整備
高速交通体系図クリックで拡大
三浦 昨年は、不況のあおりで大型企業倒産が相次ぐ厳しい年でしたが、年末にはうれしいニュースがありました。
平松 まず、大分と熊本を結ぶ中九州横断道の竹田市〜荻町間 (8Km)が調査区間に格上げされ、全線開通に向け一歩前進しました。 東九州自動車道も大分宮河内〜津久見間が2002年W杯までに開通し、大分空港道路と大分自動車道をつなぐ日出バイパス(11.5Km )も13年度中に完成することが決まりました。
  また、16年度のダイハツ工業の操業開始に向け、中津港の岸壁(水深8メートル)が着工します。別府港も北浜から上人ヶ浜までの約 2Kmの海岸を整備し、熱海やブラジルのコパカパーナのように旅館の宿泊客が海水浴姿で砂浜に行けるような海岸になります。
  鉄道では、大分〜佐伯間の高速化で所要時間が8分短縮されることが決まり、日豊本線から新幹線へそのまま乗り入れができるフリーゲージトレインの走行実験も始まります。
三浦 最近、「IT革命」という言葉をよく耳にしますが、大分県は情報先進県を目指し、いち早く県南地域への情報通信ネットワークの整備を進めていますし、県民を対象にした「豊の国IT塾」も今年から始まりますね。
平松 今年を「IT元年」と位置づけ、情報基盤の整備を積極的に進めます。将来は県内の7方向に高速・大容量の光ファイバーを延ばします。今年度は、県南に加えて、大分〜竹田大野地区間を整備します。高齢者や主婦の方など6万8千人を対象に、公民館などで初心者向けのパソコン講座「豊の国IT塾」も開きます。
16年度ダイハツ工業の操業開始にむけ、整備が着々と進む中津港
大分宮河内ICから県南へ延びる東九州自動車道
3月に完成するスポーツ文化の殿堂
「ビッグアイ」
三浦 さて、いよいよワールドカップも間近となり、そのメインスタジアムの「ビッグアイ」も完成するということで、たいへん楽しみですね。
知事 そうですね。21世紀のアジアの世紀を飾る最初で最大のイベ ント、2002年の日韓共催ワールドカップサッカーの会場となる 大分スタジアム「ビッグアイ」は3月末に完成します。2003年 の第20回全国都市緑化おおいたフェア、2008年の第63回国民体育大会の会場にもなります。県民の生涯スポーツの場だけでなく、 コンサートなど多目的に利用できる施設です。
三浦 「ビッグアイ」で大分トリニータの活躍を早く見たいですね。
平松 昨年は惜しくもJ1昇格を逃しましたが、今年はぜひ三度目の正直でJ1に昇格して、県民の皆さんに「ビッグアイ」でJリーグの試合を見ていただきたいですね。
 
県政の今年の重点目標
 
三浦 知事のご努力で県政が順調に推移していることがよくわかりましたが、不況の長期化や環境問題、国際化の進展など県政をとりまく環境には依然厳しいものがあります。今年の県政の重点目標は何でしょうか。
平松 まず第一が、生活者に優しく暮らしやすい「生活優県・おおいた」の実現です。経済企画庁の「 ゆたかさ指標」を県で独自に試算しました。一昨年が全国で11位、 昨年は10位へと上昇しました。これを将来は5位ぐらいにしたいと思います。
  第二は「環境の時代」です。アジア全体の空がきれいにならないと、日本の空もきれいにならない。 第51回全国植樹祭では「グリーンネットワーク宣言」でアジア各地域の森林づくりを呼びかけました。 また大分県は11年1月に全国の都道府県に先駆けてISO14001 の認証を取得し、以後、市町村 や企業へのISOの認証取得を促進し、環境への負荷を低減する取り組みが広がっています。ダイオキシン・産業廃棄物などのごみ対策も広域処理を原則に進めます。
 第三は「アジアとの共生」です。 昨年開学した立命館アジア太平洋大学では、日本人学生の他、46の国・地域からの留学生が入学しました。県内各地のイベントにも参加して、地域の人との交流も盛んです。また一村一品運動を通じてお互いの地域の活性化を目指す「アジア九州地域交流サミット」は 来年、カンボジアで開催される予定です。アジアとの人や物の交流が盛んになれば、貿易摩擦や産業面での棲み分けなど、アジアと共生していくことが大切になります。
三浦 8月の野津町での少年による事件は、美しい田園が広がる平和な町で起きたということで、県民にとても大きな衝撃を与えました。青少年の健全育成のために、 教育現場、家庭、地域がどう取り組まなければならないかを改めて考えさせられる事件でしたね。
平松 非行防止のための緊急ア ピールとして、チラシや新聞で、 教育現場・家庭・地域が一体となって子どもたちの健全な心と身体を育てる必要性を訴えました。 学校にカウンセラーを配置し、家庭でのしつけのあり方をみんなで考える必要があります。「育材・ 育心」をスローガンに、青少年の健全育成、非行防止が今年の一番の目標です。
 
キーワードは「夢と情熱」
三浦 21世紀の大きな夢として、 瀬戸内海を囲む環瀬戸内経済圏構想が提唱され、かつて別府湾で洋上サミットが行なわれたこともありましたが、この構想の実現に向けて、今年、新しい取り組みがあるでしょうか。
平松 夢のある21世紀にするために、「環瀬戸内ガーデンアイラン ド構想」を提唱します。瀬戸内海を囲む13の都道府県知事のほか、 関西、中国、四国、九州の4つの経済連合会、国土交通省の4つの地方整備局をあわせた21の団体と連携して「環瀬戸内フォーラム21協議会」を立ち上げます。地中海の貿易や交流がかつてのローマ帝国の繁栄をもたらしたように、美 しい自然が残る環瀬戸内経済圏で 環境保護、観光ルート、物流の活性化などに取り組んでいきます。
三浦 最後に、知事は毎年、県政運営に当たってのキーワードを発表されていますが、今年のキー ワードをお聞かせください。
環瀬戸内フォーラム21
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平松 バブル崩壊以降、日本は不況の長期化に加えて、成長神話や官僚神話も崩壊しました。もう一度新しい日本を創っていかないといけません。新しい夢をもち、その実現に情熱をもって取り組んでいくことが大切です。「ドリーム・アンド・パッション(夢と情熱)」。 これが21世紀のキーワードです。 県民の皆さんとともに、情熱をもって夢を追いかけ、新しい21世紀の県政の扉を開いていきたいと思います。
(1月2日(火)放送 TOS新春知事対談要旨)



 
 
 
 
 

感動をありがとう
 11月12日、「第20回記念大分国際車いすマラソン2000」が 仁親王殿下のご臨席のもと大分市で開かれた。世界30の国・地域から出場した417人の選手に沿道から熱い声援が送られた。1981年の国際障害者年を記念して始まったこの大会も20回。回を重ねるごとに充実し、規模、記録、認知度ともに世界トップレベルの大会へと成長している。  
 フルマラソンの部では、ハインツ・フライ選手(スイス)が、1時間22分3秒で8年連続、通算10回目の優勝を飾り、外国人名誉大分県民証を受証。県内では、廣道純選手(日出町)が4位に入賞した。

知事サンタからプレゼント
 12月13日、知事が、栄光園(別府市)と小百合ホーム(大分市)の児童福祉施設を訪ねた。栄光園では、サンタクロースに扮した知事が「風邪をひかないように元気でがんばって」と一人ひとりに声をかけながら、積み木セット、お菓子などのプレゼントを手渡した。子どもたちの代表が「いつもありがとう」と手作りの首飾りを知事に贈り、みんなで「きよしこの夜」を合唱した。

地域住民の声を県政に
 「県南地域エコーメンバーの集い」が、11月30日、県佐伯総合庁舎で開かれた。これは、ハガキで県政に対する意見・提案をしていただいているモニター(エコーメンバー)と行政が直接意見交換をするもので、まず、県から2002年ワールドカップサッカーや広域行政について説明した後、話し合いを行った。メンバーから「市町村合併の動きについてもっと知らせてほしい」など率直な要望、質問などが出された。
 この集いは平成2年度から開かれており、今年度は県南地域を含め県内6地域で開催した。

世界で活躍するピアニストを育てる
 11月26日、「第16回園田高弘賞ピアノコンクール」の本選会が大分市のオアシスひろば21で行われた。同コンクールは、園田さんの父・清秀さんの郷里大分で若手ピアニストを発掘・育成する目的で昭和63年に始まった。
 本選では、42人の応募者の中から、第3次予選を勝ち抜いた4人が、九州交響楽団と共演。田山正之さん(ロンドン在住)が園田高弘賞の栄誉に輝いた。

豊かな海は森林づくりから
 漁業関係者や林業関係者ら約200人が参加して「豊かな漁場を育てる森づくり大会」が11月25日、臼杵市で開かれた。
 宮城県唐桑町でかき養殖業を営む畠山重篤さんが「海は森の恋人」と題し講演。昭和63年から続けている広葉樹の植樹活動について話した。広葉樹の落ち葉でできる腐葉土は、山の岩石や土の鉄分を水に溶ける性質に変え、その鉄分が川から海に流れ込んで魚介類の餌となる植物プランクトンを増やすなど森林と海の関係が深いことなどを紹介した。講演会終了後、参加者は市内野田の市有林0.42haにカエデ、ケヤキなど広葉樹1000本を植樹した。


      
仲間づくりで楽しく農業

 中津下毛地域の20代から30代後半の青年農業者14人が結束した「にこにこ百姓倶楽部」。平成3年に結成され、昨年は会員を9人増やし勢いづいている。畜産、ぶどうや梨などの果樹、お茶、花きなどを生産する会員は、個性あふれる愉快な仲間たちだ。月1回集まり近況や農業の情報を交換する。農業に対する理解を深めてもらうため、年3回、太宰府市など都市の消費者と農業体験を通して交流する。また、宇佐市や豊後高田市など近隣地域の農業青年とも情報交換している。
 会長の梶原吾一さんは「いろいろな農業者と出会えて刺激になります。みんなでワイワイと楽しく続けていきたい」といきいきと語る。


      
大野川に感謝する思いを伝えたい

 母なる大野川とその流域の自然保全、地域の活性化を目指して、流域の13市町村で川に関心のある地域づくりグループなど45団体が緩やかに連携したのが「大野川流域ネットワーキング(ORN)(代表世話人 羽田野 力)」。平成10年に結成され、河川シンポジウム、清掃活動を続けるほか、11年から源流の木や石でつくった碑を自然の大切さを訴えながら河口から源流までリレーで運んでいる。11年は、大野川本流の源流に当たる荻町の陽目渓谷と宮崎県高千穂町に、昨年は、緒方町の奥岳川と三重町の白山川の源流に源流碑を建てた。
 「他の地域で川づくりに取り組む人たちとも連携していきたい」と事務局長の幸野敏治さんの夢は広がる。


      
オルゴールの音色にうっとり

 久住町牧の元、国道442号沿いに久住町美術館「久住さやか」が11月オープンした。館内には、ダンスミュージックを演奏する高さ5メートルのオルゴール(1913年ベルギー製)がメーンに置かれている。展示は、くじゅうなどの山を描き続けた白壁康の絵画、町を訪れた与謝野鉄幹・晶子の直筆の書などが並び、コーヒーを飲みながらゆったりとした時間をすごすことができる。
 館長の加藤ちあきさんは「ここから文化を発信して訪れた人が楽しくなるような空間にしていきたい」と話す。
 来年度以降、農産物直売所やレストランなどが設けられる。
開館:9:00〜16:00
休館日:水曜日(祝日の場合は開館)
入館料:高校生以上600円、中学生以下400円(いずれも飲み物付き) T0974−76−1600


      
みんなで手をつないでいこう

 精神障害者の社会復帰を目的とした通所授産施設「とよみ園」で、昨年4月の開所以来、通所者と一緒に料理を作るボランティアを続けているのが「あすなろの会」だ。会員は、4年前から市内の臼津関あけぼの会作業所で作業を手伝っていた徳浦婦人会の有志6人。地域ぐるみで通所者を支えてきた。月1回、旬のものを生かした料理を通所者2〜3人に教えながら作り、通所者、会員、施設の職員と食事をして交流する。
 代表の亀井恒子さんは「一緒に料理することで親しみがもて、一人ひとりのよい面が見えてくるんです」とやさしい笑顔で話す。


      
国内最大のウィンドサーフィン大会

 「国東半島安岐ボードセーリング大会梅園カップ2000」が、11月2日から5日までの4日間、安岐町塩屋海岸で開かれ、プロからアマチュアまでの選手およそ250人が参加した。地域づくりグループ、漁業関係団体など町内外の団体が実行委員会を組織し運営にあたった。
 3回目となる今回は全日本選手権の誘致に成功。12月にタイで開かれる世界選手権の出場者を選ぶレースを兼ねるとあって、選手たちは最高時速70qにも及ぶスピードで海面を帆走し熱戦を繰り広げた。
 大会事務局長の穴見和彦さんは「今年はウインドサーフィン世界選手権を誘致し国東半島で広域開催したい」と意気込んでいる。