vol.17 2001年7月発行

特集1 子育て応援団はあなたの近くにいます

特集2 「なんで市町村合併かえ?」
地域の風だより

 

表紙:シリーズ「男女共生」

 ONE STEP(ワン ステップ)代表 河室 順子さん  
 穏やかな笑顔の中にも、しっかりとした意志を感じさせる河室順子さんは、「ONE STEP」の代表です。「ONE STEP」は、平成12年から緒方町とその周辺に住む20〜30代を中心とした男女20人で結成。アメリカ・イギリス人の女性も参加して国際的な視野で活動しています。結婚、育児、親の介護など家庭での出来事を演劇にして、夫婦のパートナーとしてのあり方などを伝えています。また、河室さんは、今年4月から児童クラブを緒方町の支援を受け旧緒方中学校でスタートさせ、月曜日から土曜日までの毎日午後2時30分から6時まで、小学校1、2年生を中心に約20人の子どもたちと遊んだり勉強を教えたりと3人の仲間と奮戦中。子どもがいても安心して働ける環境づくりを進めることで、女性の活躍の場をつくっています。  
 「女性が自分を表現しながら地域で生きていく方法を見出せるようにお手伝いしたい。女性がいきいきと暮らせるまちにしていきたい」と新しい風を吹かせています。

 

核家族化や都市化の進行を背景に、家庭や地域の子育て機能が低下しています。また、児童虐待、いじめ、不登校、青少年の非行や凶悪犯罪など子どもについての問題が表面化し、子育てをどうしたらよいか悩む人が増えています。  
 今回は、子どもたちを心身ともに健やかに育てようと取り組んでいる人たちを紹介し、どのように子どもに関わっていけばよいかについて考えていきます。


子育ての負担感を少しでも軽く ―武蔵町母親クラブ
   
「なかよし館で子どもたちと遊ぶ母親クラブのみなさん」

 武蔵町児童館「なかよし館」には、学校が終わって遊びに来た武蔵東小学校の子どもたちの元気な声が響き渡ります。ここに通う子どもたちの母親や子育てを経験してきた母親67人が一緒になって母親クラブをつくり、カルタ会、料理や手芸の教室などを開いて子どもたちとふれあい、母親同士の交流の場にもなっています。「最近のお母さんたちは、子育てについて話をする機会が少ないようです。クラブの活動をしながら、母親同士が知り合えて子育てについての話ができるので、少しでも気持ちが楽になるようです」と会長の高木美恵子さん。周りの人たちも積極的に子育てに関わろうと呼びかけています。
※母親クラブ地域の中で子どもをもつ親たちが集ま り、児童館などの児童施設を拠点に活動 するグループ。県内では44市町村に1 14のグループがあります。

心が健康になろうとする力を引き出す ―スクールカウンセラー
   
小野 貴美子さん

 臨床心理士の小野貴美子さんは、スクールカウンセラーとして、平成7年度から活動し、今年度は別府市内の中学校6校と山香町内の中学校1校に定期的に赴き、1日8時間の間、生徒、保護者、先生のカウンセリングをしています。「相談の内容は、生徒の場合は友人関係などの人間関係について、保護者の場合は不登校についてが多いです。保護者や先生の中には、カウンセリングを受ければ解決すると誤解している方もいますが、一緒に考えていかなければよくなりません。不登校の場合、生徒本人と相談しなくても、周りが変わることで子どもも変わることがあります」と、保護者、先生、カウンセラーとの協力関係の必要性を話します。「最近は子どもを取り巻く環境が変わり、子ども同士で遊ぶなど集団の中での経験が少ないため、人とのつきあい方がわからない子どもが増えていて人間関係に悩むようです。
カウンセリングは何か起こったときだけではなく、『子どもがいままでと変わってきたな』と感じた時に早めの対応をすることも大切です」と専門家の視線で子どもたちを見つめています。
※スクールカウンセラー  学校でのいじめ、不登校などの問題に対応するため、臨床心理士、精神科医など「心」の専門家が学校に配置されています。県内には、今年度、小学校1校、中学校34校、高等学校16校に配置され、児童・生徒、保護者などのカウンセリングにあたっています。

地域の子どもは地域で育てる ―安心院地域子ども教室実行委員会
   
上鶴 養正さん
地元の人が講師になった竹細工教室
 「子どもと一緒に何かすることが好き」という会長の上鶴養正さんは、昨年、安心院小学校校長で定年退職後、子どもたちが地域でさまざまな体験をして、心豊かでたくましい子どもに育ってほしいと、「安心院地域子ども教室」を開きました。地域内の小学校1年生から6年生まで延べ236人が農業体験、キャンプ、合宿、竹細工教室などに参加し、それぞれの教室では、地域の人が講師になるなどボランティアとして協力しました。  
 「合宿で『さあ、夕飯だ』と言うと、子どもたちは箸とお皿を持ったままでボーっとしています。『自分たちで作るんだよ』と3回ほど言って、やっと動き始めました。子どもたちは家での手伝いなど何もしてないし、親もさせてないんだろうなと思いました。でも、合宿が終わるころには、いろんなことができるようになっていましたね。子どもでも自分で考えて行動させることが大切です」と教えてくれました。   
 「これからは、親や地域の人も巻き込んで、教室を支えるスタッフも育てていきたい。子どもたちがいつでも遊びに来られるように自分の家で、名前にちなんで『鶴塾』を開きたい」と語る上鶴さんは、子どもへの愛情が原動力になっています。


計画ができました
●おおいた子ども育成プラン21  
 少子化に対応した子育て環境整備のための総合的な計画です。多様な保育サービスの充実のほか、地域における子育て支援の充実や男女が共に子育てをしながら働くことのできる就労環境の整備などを進めます。
問 県子育て支援課  TEL 097−536−1111内線2711


●豊の国青少年プラン21とSCH001シンフォニープラン21  
 良い子が育つ大分県、人の命を大切にする心が育つ大分県づくりを目指し、学校(School)、地域(Community)、家庭(Home)がそれぞれの役割を果たしながら、三位一体となって青少年の健全育成・非行防止に取り組んでいきます。
問 県女性青少年課  TEL 097−536−1111内線3045


主な相談窓口

●養育上の悩みや非行・虐待など児童の福祉
大分県中央児童相談所  TEL 097−544−2016
大分県中津児童相談所  TEL 0979−22−2025
光の園子ども家庭支援センター  TEL 0977−27−0874
家庭児童相談室  (日出、大分、佐伯、三重、日田、宇佐の県福祉事務所、各市福祉事務所〔豊後高田市を除く〕)
子ども・家庭110番(午後8時まで) TEL 097−545−0110


●家庭教育やしつけ
乳幼児すこやかテレフォンサービス  TEL 0977−21−2500

●学校教育、いじめ、不登校など
いじめ・不登校対策相談室  (中津、別府、大分、佐伯、竹田、日田の各教育事務所)
大分県教育センター教育相談部  TEL 097−503−8987


●いじめの被害や少年の非行問題
大分っ子フレンドリーサポートセンター     TEL 097−532−3741
   メールアドレス s65300@pref.oita.jp  
大分っ子フレンドリー県北サポートセンター  TEL 0979−24−3741
大分っ子フレンドリー県西サポートセンター  TEL 0973−24−3711


●精神保健をめぐる悩み
心の電話(大分県精神保健福祉センター)  TEL 097−542−0878


特集2 「なんで市町村合併かえ?」
地域の風だより