県政だより 新時代おおいた
表紙

vol.19 2001年11月発行

県内の各世帯に配布(奇数月に発行)しています。 ご意見・ご感想をお聞かせください。
メール a10400@pref.oita.lg.jp
特集 県産木材の家で快適な暮らし
特集 進んでいます県内の情報化
地域の風だより

表紙:シリーズ「男女共生」

 立川 敏則さん(たつかわ としのり)   看護士  
 立川さんは、障害児教育の専門学校を平成6年に卒業しましたが、医療の現場で働きたいという思いが強くなり、別府市の医療法人社団 仁泉会 畑病院で看護助手をしながら准看護士免許を取得後、別府市医師会立看護専門学校で学び12年に看護士免許を取りました。
 尊い命を守るために看護に従事する看護婦(士)は、県内で8,106人(平成12年末現在)。そのうち看護士は203人で全体のわずか2.5%です。
 「看護することでみんなが元気になっていく姿を見るとやりがいを感じます」と立川さん。現在は、整形外科の一般病棟で患者さんのお世話をしたり手術の助手を務めるなど、仕事に立ち向かう責任ある姿に信頼が寄せられています。
 同じ病棟では22人の看護婦(士)のうち2人が男性です。病院側も「病院内は小さくてもひとつの社会。看護士もいることでバランスがとれた社会で患者さんが療養できます」と看護士が入ることに積極的です。
 立川さんは「看護婦さんも悩みごとの相談にのってくれてあまり性別を意識することはありませんが、患者さんに対する考え方で看護婦さんとの視点の違いに気づかされ学ぶこともあります」とそれぞれの役割を実感しています。
 「とにかくやさしい」と評判の立川さん。そのやさしさが患者さんにとって何よりの薬なのかもしれません。(看護士という名称は、保健婦助産婦看護婦法で昭和43年に定められました。)

 

特集1 県産木材の家で快適な暮らし
 最近、健康や環境についての関心の高まりとともに、木造住宅の良さが見直されるようになっています。木材は、その地域の風土や気候の中で、家の柱に使えるようになるまで50年程度の年をかけてゆっくりと成長します。伐採されて家の柱になってからも住む人とともに生きています。
 今回は、大分の木材について、また木の家の魅力について紹介します。


 森林の役割 
 
 森林は、木材やきのこ、山菜などを生産するだけでなく、地球温暖化の主な原因である二酸化炭素を吸収するほか、大雨のときには水を蓄えるなど国土の保全や水資源のかん養などいろいろな役割を果たしています。
 しかし、近年、過疎化や担い手の高齢化などで労働力が不足し、木材価格の低迷で採算がとれないことなどから管理が行き届かない森林が増え、森林の荒廃が心配されています。
 
 大分県は林業県 
 
 大分県の森林面積は、45万7千ヘクタール、県全体の面積の72%を占めています。中でも民有林に占めるスギの人工林の蓄積(利用できる幹材部分の量)は全国で1位、スギの生産量は宮崎県に次いで2位を誇っています。
 県の製材品出荷量は57万7千m3(平成11年)で、そのうち94%が建築用材です。県産木材を使った住宅の需要が高まれば、大分県の林業・木材産業に活力が出てきます。
 
 乾燥材の供給 
 
 大分県は、これまで生材(乾燥していない木材)の製材品を主に出荷してきました。しかし、住宅の品質確保などを図るため、平成12年4月に住宅の品質確保の促進等に関する法律が施行され、住宅の完成引き渡しから10年間の瑕疵担保責任が義務づけられました。これをきっかけに、市場では、曲がったり歪んだりしない乾燥材が求められるようになっています。また、昔と比べて短期間で家を建てるようになりその傾向はますます強くなっています。
 県では、今年度、佐伯広域森林組合と日田木材流通センターに乾燥施設を導入するほか、「木材乾燥推進シンポジウム」で乾燥材の生産の推進に向けた課題や取り組みを話し合うなど乾燥材の供給体制を整えています。
 
 良質材の出荷 
 
 スギ材については、これまで良質材や曲り材などを選別せずに出荷してきましたが、それが市場でのスギ材の価格下落の一因となっていました。このため、スギの伐採時(主伐)における山元での選別作業にかかる経費を助成し、原木市場が求める良質材の出荷を進めています。
 
 大分の住宅事情 
 
 県内の新設住宅の木造率は48.3%(平成12年)で平成8年から微増傾向にありますが、最近では、輸入材を使ったツーバイフォー工法の住宅の増加が見られます。また、スギ・ヒノキなどの国産材を使った伝統的な木造住宅(在来軸組工法)の着工戸数は、平成元年と比べて大幅に減少しています。  (下記グラフ)

<グラフ>
大分県の新設住宅着工数の推移
[建築着工統計]
 
 心やすらぐ県産木材の家 
<< おおいたの家21 >>
 
瀬口さんのお宅

 県産木材を80%程度使って、主な柱を12p以上にすることなどで耐久性・耐震性を高め、バリアフリーや省エネの高品質・低コストを実現したのが「おおいたの家21」です。県内の工務店、製材業者で構成されたおおいたの家21協同組合が開発しました。現在、県内に11のモデルハウスがあり、大分の気候・風土に合った家づくりを提案しています。

 大分市中判田にお住まいの瀬口正人さんは、平成11年7月におおいたの家21のモデル住宅(敷地面積/約110坪、延床面積/約40坪、住宅の価格/1,800万円)を購入しました。家族構成は、瀬口さんご夫婦、娘さんご夫婦、お孫さん2人。27p角の大黒柱を2本使い、リビングルームの天井を吹き抜けにして開放感を持たせています。また、吹き抜け部分の梁に床を張れば、2階の部屋を増やすことができます。そこに住む人の成長に合わせて増改築できるのが、木造住宅の魅力です。「木の家は安心感があります。壁にも土を使っているので、湿気の調節が自然にできて快適です」とうれしそうに話していました。
天井を吹き抜けにしたリビングルームでくつろぐ瀬口さん一家
 
<< 安心・健康住宅、環境共生住宅 >>
 
内装にスギやヒノキを使ったおおいたの家21モデルハウス
 新築の家に行った時に、目がチカチカしたり、頭が痛くなったり、吐き気をもよおすことがありませんか。これは、「シックハウス(病気の家)症候群」と言われ、新建材、合板、クロスなどに使われている接着剤や塗料などの化学物質が原因です。そこで、安心・健康で快適な暮らしのためにスギやヒノキなどの天然素材を使おうという動きがあります。
 木の家には、調湿効果のほか、木材に含まれる成分がダニを寄せ付けない効果もあります。
 県では、すべての柱に12cm角以上の県産木材を使うこと、押入、壁、床などの内装やウッドデッキなどの外構施設などに県産木材を使うことなどを条件に建築費の一部を助成し、安心・健康住宅、環境共生住宅といった優良な住宅の普及を進めています。
 
<< 共同住宅にも県産木材 >>
 
とても気に入ってます
 
県営住宅(津久見市)の入居者
東 基予さん

  木の香りが落ち着きます。集合住宅に住むのは初めてで「音がうるさいのでは」と心配していましたが、音はほとんど気になりません。今年の夏は、ほとんど冷房を使わないでも涼しく快適に過ごせました。
木造3階建ての県営住宅(津久見市)

 平成13年4月、県産材をふんだんに使った県内初の木造3階建て県営住宅が津久見市に完成しました。県産木材の利用促進で林業の振興を目指すほか、居住者に木の家ならではの安らぎの空間を提供するためです。また、市町村や賃貸住宅を建設しようとする土地所有者などにとってモデルになることを期待しています。    
 かつては木造3階建ての家は一般住宅に限られていましたが、平成5年の建築基準法の改正で、耐火性などを確保すれば一定の地域では木造3階建ての共同住宅が建設できるようになりました。
 県産の人工乾燥させた太いスギ材を柱、梁、桁に大胆に使い、また特定の部材は防火材で覆い、頑丈で火に強い構造にしています。1つの階に6戸、合計18戸で、スロープ、手摺りを設けるなど高齢者対応型になっています。各戸の間に設けた吹抜け空間により、採光・換気に優れ、騒音・震動対策にもなります。
 居住者の評判がよいため、平成13年度から14年度にかけて安心院町にも同様の県営住宅の建設を予定しています。
 


住 宅 相 談
 

家づくりについて知りたい方は気軽にご相談ください。
◇月曜日〜金曜日 9時〜17時

【おおいたの家21協同組合】
大分市王子港町1番17号
大分県木材協同組合連合会内
TEL 097(532)7151(代表)

 
 
 

 

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