県政だより 新時代おおいた
表紙

vol.20 2002年1月発行

県内の各世帯に配布(奇数月に発行)しています。 ご意見・ご感想をお聞かせください。
メール a10400@pref.oita.lg.jp
特集1 「交流」で世界平和を
特集2 雇用を支える技術と資格
地域の風だより
大人が変われば・・・

表紙:シリーズ「男女共生」

 仲町 きよかさん(なかまち きよか)   建設機械オペレーター  
 小柄な身体で大型のバックホウを軽々と操る仲町さん。映画「トラック野郎」に憧れて、「いつかはトラックの運転手になりたい」と大型自動車運転免許を取得し、平成8年、トラックの運転手として日邦産業有限会社(津久見市)に入社しました。そして、半年後、会社の勧めで車両系建設機械運転技能講習を修了し、今では浄化槽や上下水道の配管を埋設するための掘削作業などに従事しています。
 「作業をしていると、周囲の人から好奇の目で見られたり、拍手を送られることもあります。『女で大丈夫か』と思われているかもしれません。でも、思い切って、失敗を恐れずにやっています」と現場で働く仲町さん。社内で唯一の建設機械オペレーターとして自信にあふれています。オペレーターは、体力がいる仕事です。岩盤など固い場所を掘るときは、つい歯を食いしばってしまうので、肩こりが大変だそうです。「家族がマッサージをしてくれたり、家の中のことも協力してくれて助かります」と話す仲町さんは、家庭では、妻であり、高校2年生と中学2年生の女の子の母親でもあります。
 「他の仕事だったら続いてないだろうと思います。将来は、長距離トラックに乗りたい」と、明るく元気に夢に向かってばく進しています。



Hope(ホープ)・・・希望     
「希望あるところ道あり」
Hospitality(ホスピタリティー)・・・おもてなしの心
「ワールドカップにはおもてなしの心で」
Heart(ハート)・・・愛の心
「愛の心で大分の自然・故郷を大切に」


基盤整備で生活者にやさしい大分の実現
三浦 昨年は、景気がなかなか好転しませんでした。公共事業関係費の10%削減など、厳しい予算編成となっていますが、県の予算はいかがでしょうか。
平松 大変厳しい国の予算編成の中、本県が要望していた予算については、おおむね確保され、ほぼ満足のいく結果となりました。  
 東九州自動車道の宮河内IC〜津久見IC間が昨年末に開通し、今年度はいよいよ津久見から蒲江まで(32q)の整備を進めていきます。また、W杯までに日出バイパス(11.5q)が完成します。中九州横断道路や中津日田道路の整備も進み、また、ダイハツ工業(株)が16年度に操業を開始する中津港の整備、日豊本線の大分〜佐伯間の高速化も順調に進みます。
昨年末に開通した東九州自動車道津久見IC
 IT関連では、県内全域を大容量高速ネットワークで結ぶ見通しがつき、ITを利用した新産業が生まれ、福祉や生活面でのIT活用も促進されます。
 特に今年の大きな問題は、失業・雇用対策です。離職者が、学校の先生になったり、間伐をするなど、緊急地域雇用創出特別基金事業を行い万全を期したいと考えています。
 
ワールドカップで交流を促進
三浦 去年は暗いニュースが多くありました。しかし、12月1日には明るい話題が2つありましたね。
平松 内親王・敬宮愛子様のご誕生で、日本中が喜びに沸きました。また、韓国の釜山で行われたワールドカップの組み合わせ抽選会では、ベルギー、チュニジア、イタリア、メキシコなどの強豪チームが大分にやって来ることが決まりました。きっとエキサイティングな試合になり、大分に世界の目が釘付けになると思います。
 12万人のお客さんが大分に来て、宿泊や飲食などで60億の経済波及効果が生まれる見込みです。しかし、私は経済効果よりも、むしろ子どもたちに大きな夢を与えることが大きいと思います。景気回復のきっかけにするとともに、県民の皆さんがおもてなしの心で、世界中からやって来るお客さんに「大分」という名前を強烈に印象づけていただきたい。ボランティアの皆さんの活動にも大いに期待しています。
日本代表対ユーゴスラビア代表の試合が行われたビッグアイ
三浦 ワールドカップを成功させるためには、県民の意識の盛り上がりが大切ですが、大分県で開催される意義は何でしょうか。
平松 なんといっても、この大会は、「アジアの時代」と言われる21世紀に、日韓共催で行われることに大変大きな意味があります。この大会の成功によって、日韓の交流が進み、さらに世界中へと交流の輪が広がっていくことでしょう。だから、私はこの大会を一過性のものに終わらせずに、日本(JAPAN)と中国(CHINA)と韓国(KOREA)と一緒に、「JCKカップ」というものをぜひともビッグアイでやりたいと思います。
 
ローカル外交の活性化
三浦 昨年は、一村一品運動によるローカル外交が活発でしたね。
平松 一村一品運動の視察のために、カンボディア王国のフン・セン首相のほか、タイ王国のタクシン・シナワット首相などが来県され、アジアの各地との交流が活性化しています。
 昨年、ニューヨークで同時多発テロが起こりましたね。国と地域が戦争する前に、それぞれの住民が、文化、スポーツなどを通じて交流し、お互いに理解を深めていれば、戦争は避けられたと思います。交流は、国と国との対立を和らげ、平和的な解決にとても大きな力を持ちます。「アジア九州地域交流サミット」は、今年、九州各県やアジア各国の知事が集まって、世界遺産「アンコール・ワット」のあるカンボディアで行われます。今まで進めてきたローカル外交は、アジアの平和、世界の平和にも大変役立つと思います。
由布院でだんご作りを体験するタイ王国のタクシン・シナワット首相
 
美しい環境が「地域力」
三浦 最近は、自然志向が非常に強くなっていますね。昨年11月、環境省の「かおり風景百選」に、全国最多の4ヵ所認定されています。
平松 「大分野津原香りの森」、「別府八湯の湯けむり」、「臼杵・竹田の城下町のかぼす」、「くじゅう四季の草原・野焼きのかおり」の4ヵ所です。大分県の美しい環境や自然が、多くの人を惹きつける大きな「地域力」になっていると思います。その力を引き出すために、大分農業文化公園をつくるなど、環境にやさしい農林水産業を目指しています。
草原を守るための久住高原の野焼き
特に今年は、「地産地消の年」にしたいと思います。 地域力ある大分の自然が育んだ安全・安心な農林水産物を地域の方が消費する「とよの国食彩運動」を進めます。大分の一村一品を食べていただくことが、生産者を元気づけることにもなるし、健康にも一番いい。身体と土地は分けられないんです。毎日の食卓に上がる食べ物から、農家の方の顔が見える。食と農の距離を限りなく近づけることが大切です。
 ダイオキシン対策や産業廃棄物の処理などの環境問題には、市町村では限界があり、広域で対応していく必要があります。介護保険にしても、広域的に取り組むことになります。
三浦 そうすると、やっぱり市町村の合併が避けて通れない問題になってきますね。
平松 昨年、現在58ある市町村を14のブロックに分ける合併の基本パターンを示して、ブロックごとに検討しています。何も基本パターン通りじゃなくていいんです。合併問題は、地域住民が自分で考えて、自分たちで判断するものです。
 ますます財政状況は厳しくなるので、役場や議会は一本化して行政コストを出来るだけ下げ、広域行政需要に対応していく。その一方で、それぞれの地域に育ってきた文化、特産品、地域づくりは、今まで通り生かしながら、お互いにネットワーク化されるのです。今度の合併は、課題解決型の合併ではなくて、将来の自分たちの地域を活性化するにはどうしたらいいかという戦略型合併だと思います。
 志を高く掲げ、明るい希望を持って、元気印大分県創造に向けがんばります。 
 
 
(1月2日放送 TOS新春知事対談要旨)


雇用を支える技術と資格
 企業のリストラで離職した中高年齢者、高校や大学を卒業しても就職できない若者たち・・・。11月の全国の有効求人倍率は、0.53倍、完全失業率は5.5%で過去最高を記録するなど、景気低迷の中で、雇用を取り巻く環境はますます厳しくなっています。
 今回は、就職のための職業訓練、雇用創出対策について紹介します。
大分高等技術専門校メカトロニクス科でプログラムをつくる訓練生たち


県内の雇用状況
 11月の県内有効求人倍率(求職者に対する求人数の比率)は、0.51倍と昭和62年9月以来の低水準で、雇用情勢は厳しさを増しています。こうした状況を反映して、昨年11月末時点の今春高校卒業予定者の就職内定率は60.9%と大きく低下しており、厳しい状況にあります。また、高校卒業後、進学や就職をしていない若者(フリーターを含む)は、平成元年の456人に対し、昨年は894人と約2倍に増えています。

*季節調整値
資料/大分労働局職業安定部



資料/大分労働局職業安定部
統計調査課「学校基本調査」
 
施設訓練で技術を取得
 県や雇用・能力開発機構では、高校卒業者や離職者などが職業に必要な技能・知識を習得するため、県立職業能力開発校(大分・別府・佐伯・日田)、ポリテクセンター(大分・宇佐分所)で職業訓練を行っています。
「今となっては、好きな機械関係の仕事ができてよかった」と穏やかに話す清松勉さん。高校卒業後20年間勤めた乳製品の製造会社が、平成10年3月に吸収合併され、失業しました。「子どもが中学校と高校に入学する時期で大変だった」と当時を振り返ります。「すぐに就職した方がいい」という周りの声をよそに、「きちんと技術を身につけて、就職の選択肢を広げたい」と、10年4月に佐伯高等技術専門校の機械加工科に入校し、溶接や機械加工の技術を身につけました。
 県南地域の大手企業で、半導体関係の機械加工などを行う株式会社二豊鉄工所海崎工場(佐伯市)を希望。会社からの求人があり、修了後すぐの11年4月に就職しました。現在は、削り加工用機械を担当。「以前に比べて給料は下がったけど、自分の学んだ技術を生かせるから気に入ってます。それに休みは多くなりました」とほぼ満足している様子。「まったく違う仕事に就きましたが、1年間学んだおかげで、新しい仕事でもすぐになじめました」と身につけた技術が精神的な支えにもなっています。
半導体の部品に穴を開けたり、面を削ったりして加工する清松さん
 
 
民間への委託訓練で資格を取得
 県では、民間の専門学校などに職業訓練を委託し、ホームヘルパーの養成やIT関連の研修を行い、企業の多様な求人にも対応しています。
 竹田市の文化財課で臨時職員として働いていた飯田直美さんは、介護の仕事に興味があったこと、社会保障など、より安定した仕事をしたいという気持ちから、ホームヘルパー3級と2級の養成研修を受け、実習先だった市内の介護老人保健施設「岡の苑」に平成12年11月に就職しました。施設では、3人のホームヘルパーがローテーションで10軒の家庭を訪問し、掃除などの家事援助、入浴介助を行うほか、施設のデイケアの仕事もしています。
ホームヘルパーで訪問し、血圧を測りながら話をする飯田さん
 
雇用創出対策
 全国で50万人の雇用を見込んだ国の緊急地域雇用創出特別交付金(補正予算3,500億円)のうち46億円を受け入れるなど、県内での雇用を生み出すために、13年度の県の補正予算では様々な事業に取り組んでいます。
事業の主な内容
[雇用創出のための基金事業]
・県立職業能力開発校などへの就職支援相談員の配置
321万円
・小規模雑居ビルなどの防火設備の点検
1,474万円
・大分農業文化公園の案内インストラクターの養成
650万円
・県営林の保育間伐
1,012万円
・河川や海岸の清掃
1,797万円
・公園の清掃、市町村有林の間伐・下刈りなど(市町村事業)
1億円
・小学校・高校への教育補助員の配置
1,178万円
[その他]
・離職者への生活資金の貸し付け
1億円
・離職者などに対する介護ヘルパー、IT経理の委託訓練
831万円

(雇用・労働についての相談・お問い合わせ)
●労政能力開発課
職業訓練、雇用対策などについて
TEL  097ー536ー1111

●県立職業能力開発校
〔大分高等技術専門校〕
TEL  097ー542ー3411
〔竹工芸・訓練支援センター(別府市)〕
TEL  0977ー23ー3609
〔佐伯高等技術専門校〕
TEL  0972ー22ー0767
〔日田高等技術専門校〕
TEL  0973ー22ー0789

●中小企業労働相談所
人員整理、賃金不払い、解雇などの労働問題についての相談
〔労働相談フリーダイヤル〕
TEL 0120ー601540
〔大分地方振興局労政課〕
TEL 097ー532ー3040
〔佐伯南郡地方振興局労政課〕
TEL  0972ー22ー0159
〔日田地方振興局労政課〕
TEl  0973ー23ー2673
〔中津下毛地方振興局労政課〕
TEL  0979ー22ー9434
●大分県社会福祉協議会
離職者への生活資金の貸し付けについて
TEL  097ー558ー0300 

●大分労働局(厚生労働省)
〔総合労働相談コーナー〕
労働問題についてのあらゆる分野の相談
TEL  097ー536ー0110 

●ハローワーク(大分・別府・中津・ 日田・臼杵・佐伯・宇佐・三重)
職業相談、職業紹介、雇用保険など 

●ワークプラザおおいた
パートタイムでの就職希望者、U・Iターン就職希望者、学生の職業相 談・職業紹介など
TEL  097ー533ー8600 

●雇用・能力開発機構
職業訓練、再就職援助などを行う企業に対する助成金、従業員の研修、労働者の自己啓発プランについての相談支援など
TEL  097ー536ー5040

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