農
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業・農村のさまざまな機能 |
国内の農業生産が将来にわたる食の安定を支えています。 |
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現在、私たちの食生活を支える食料供給の多くは、外国からの輸入に頼り、自給率が低下しています。
貿易に依存しすぎずに安全な農産物を得ることができる安心感は、私たちの暮らしに掛け替えのないものです。 |
安全な県土や豊かな水資源は、森林や田畑によって築かれています。 |
中山間地の森林や水田、畑は、洪水や土壌の流出、地滑りの発生の防止だけでなく、河川水量の調節や地下水のかん養など水資源の安定的な供給に役立っています。 |
ふるさとの自然や景観は、農業が営まれることで維持、保全されています。 |
美しい山里の景色や民家のたたずまい、四季折々に変化を見せる田園風景など、農村には誰もが和む風景があります。
こうした風景や景観は、長い時間をかけて、先人が農業を通じて、自然との対話のなかで作り上げてきたものです。 |
歴史や文化を伝える行事や伝統芸能などを保存、継承しています。 |
農村では、自然の恵みに感謝を捧げ、豊作を祈り、災害を避ける願いを込めて行われる祭りや芸能を今に伝えています。
また、農業活動を通じて深く結びついた共同体意識や、たくさんの農業上の技術など、地域独自の知恵や文化を育んでいます。 |
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過疎化や少子・高齢化の進む農村では、主な産業である農業の生産力の低下や、それによる地域全体の活力の低下が心配されています。また、輸入農産物の急激な増加などによって、生産条件の不利な地域が多い大分県の農業は大変厳しい状況です。
このように、農業・農村を取り巻く環境が大きく変化するなかで、県の基幹産業である農業を盛んにして、農業・農村の持つさまざまな機能を十分に発揮するためには、その基盤である農村の活性化が必要です。
そこで県では、平成12年3月に策定した「豊の国農業・農村ビジョン21」(大分県長期農業振興計画)で、これまでの「ひとづくり」「ものづくり」に加え、「むらづくり」を基本目標として、新しい世紀に対応した県の農業・農村づくりを目指すことにしました。
今年の4月には、「むらづくり」を担当する部署として、農政企画課内に「むらづくり推進室」を設置しました。この室を中心として「誇りと活力あるむら1,000プロジェクト」や集落営農の推進、中山間地域等直接支払制度の定着、グリーン・ツーリズムの推進など農村活性化のための多くの施策を効果的、効率的に進め、暮らしやすい、豊かな農村づくりを積極的に支援しています。 |
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地域住民が誇りを持って生活できる活力に満ちた農村づくりのため、集落リーダーのもとで行われる「農業生産」を中心とした地域社会活動を支援し、むらの住民が自らの意思と創意工夫により、「むらづくり」を進める「誇りと活力あるむら1,000プロジェクト」を県内の1,162の集落を対象に進めています。 |
むらづくりビジョンの策定状況
(平成13年度末現在) |
県下全体の農業集落数 |
3,142
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ビジョン策定計画集落数 |
1,162
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ビジョン策定集落数 |
570
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12年度策定 |
250
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13年度策定 |
320
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平成13年度末までに、570集落がビジョンを策定して、その実現に向けた活動を進めています。策定されたビジョンは、それが実現するよう、市町村を中心に農業振興策、地域振興策、地域資源の維持・保全などハード・ソフトの両面から支援を行っています。県も、これまでの施策に加え、今年度から、集落営農の体制整備や、女性、高齢者による加工産品づくり、直売所設置を進める「むらづくり営農組織活動支援事業」などの新たな事業を組み立てて、集落営農体制の整備や、加工、直販活動のモデル的な取組みを支援するなど、誇りと活力あるむらづくりをより一層進めるため、積極的な支援を行っています。 |
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(担当・むらづくり推進室)
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中山間地域農業の活性化を支える直接支払制度
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都市と農村の交流促進とグリーン・ツーリズム |
直接支払制度とは、県内農地の約7割を占める中山間地域の急傾斜地など生産条件が不利な農地を対象に、5年以上継続される農業生産活動に対して、交付金が支払われるものです。
この制度に取り組む集落では
b将来にわたって守っていく農地の合意づくり
b集落営農組織などの農地管理の担い手づくり
b耕作放棄地の防止、水路・農道等の維持管理を行う活動や 農業のさまざまな機能を増進する活動に係る合意づくり
を行い、協定を締結して、協定に基づく農地の適正な維持管理を実施しています。
また、下流地域の都市住民との交流・提携を図り、棚田の保全活動や体験農園の開設など、県民参加による農地の利用・管理の取組みも行われています。
*表紙写真の竹田市九重野地区の活動はこの直接支払制度を活用したものです。
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九重野地区「みらい香房若葉」の加工品 |
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県下では、安心院町の会員制の農村民泊や竹田市の豊かな水をテーマとした多彩な体験活動が全国のモデルとなるなど、都市住民との交流の芽が各地で育ちつつあります。
また、県下各地で都市との交流に取り組む関係者が中心となって「大分県グリーン・ツーリズム研究会」を設立するなど、取り組み体制が急速に整備されてきました。
県では、グリーン・ツーリズムを推進するため、民泊施設の許可条件を緩和し、これまで許可を得るために必要だった住居の増改築を不要としました。また、農業・農村体験や棚田オーナー制度など地域の魅力を引き出す多彩なプログラムへの支援や農家民泊の充実、体験インストラクターなど農業・農村の魅力を伝える人材の育成、インターネットなどでのPRを通じて、その取り組み活動を支援しています。
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安心院のグリーン・ツーリズム |
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今年4月から、ゆとり教育を目指す完全学校週5日制が始まりました。
この制度は、学校、家庭、地域社会が協力して、子どもたちに、豊かな社会体験や自然体験などのさまざまな活動の機会を与えることにより、自ら学び自ら考える力や、豊かな人間性などの「生きる力」を育むことを目的としています。
5日制に対応した、県や市町村による各種講座やイベントが実施される一方で、地域の方々の手作りの活動も始まっています。 |
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岡本っ子と共に育つ会 山口 修二会長
竹田市立岡本小学校は全校児童42名、3・4年生は複式学級の小規模校です。児童の保護者を含む地域のみなさん37名による「岡本っ子と共に育つ会」は、校庭に手づくりの多目的ステージとログハウスを建設し、今年の4月からは寺子屋学習を始めました。 |
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岡本小学校には子ども神楽のグループがあります。ある晩、PTAの役員が集まった席で、校庭に神楽のステージを作ろうという話が持ち上がりました。話を聞いた地域の方が、「うちの山の木を使っていい」と言ってくれて、皆で木を見に行ったことから、保護者と地域の方々が一体となった活動が始まりました。
子どもたちに関係する事件などもありましたし、岡本に、いつまでも元気な子どもの声が響くよう、魅力のある地域にしていきたいという願いから会を結成しました。 |
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木材やサッシ、瓦などは現物を寄付してもらいましたし、ログハウスは、日曜日ごとに会員が集まって、子どもたちと一緒に、ほぼ一年かけて完成しました。前の花壇や室内のカーテンは、総合学習の時間に子どもたちが作ったものです。
神楽大会では、ステージとログハウスを板でつないで活用しています。 |
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最初は、だんご汁作りをしました。子どもたちを連れて山菜採りに行き、大根などは地域の方にお願いして、畑から子どもに抜かせてもらいました。調理はお年寄りの方の指導を受けて、文字どおりの手作りです。
その後、巣箱作りや、秘密基地作り、昆虫採集などを行ってきました。
退職された先生方に協力してもらって、勉強にも取り組みたいのですが、まずは、子どもたちが今の寺子屋学習を十分楽しんで、馴染んでからと考えています。
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地域の方々とのふれあいの機会をたくさん作っていますね |
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ログハウス建設中の会員と子どもたち
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子どものいない家庭の方々にも、どんどん参加してもらって、岡本小の子どもを地域全体で育てていきたいのです。元旦の神楽大会と4月の桜祭り、8月の夕涼み会は、地域外のみなさんにもたくさん来ていただきました。 |
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私たちの活動は、岡本地域と岡本小学校を魅力あるものにして、岡本に住みたい、岡本小に通いたいと言われるようにしたいという、自分たちの夢を込めたものです。
これからは、子どもはもちろん、会員自身も楽しみながら続けていきたいですね。まずは、地域内に集いの場となるログハウスをあと2棟建てようと頑張っています。 |
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