特集1 安心・活力・発展の新しい芽 平成16年度一般会計予算
特集2 将来に夢と希望を持つことのできる県政を実現する 大分県行財政改革プラン
風紋 行財政改革元年 大分県知事 広瀬勝貞
心ひらいて ある病院で
21世紀に伝えたい「大分の風景」
地域の風だより



特集3 保存版 こんな手口にご用心

 大分県ではこれまで、生活者に優しく、優れた自然・産業・文化をもった地域社会をつくるため、各種施策に積極的に取り組んできました。その結果、交通体系の充実や特色ある地域づくりなど、社会基盤の整備は着実に進んでいます。

 しかしながら、こうした取り組みの一方で、県債の残高が年々増大し、これに伴う公債費の負担が大きくなっています。さらに、県税収入や地方交付税が減少するなど、本県財政を取り巻く環境は、急速に厳しさを増しています。
加えて、昨年末には国の三位一体の改革の方向性が示され、地方交付税等が大幅に削減されることとなり、本県財政をさらに危機的な状況に陥れることになりました。

 昨年7月に作成した「中期的な財政収支の試算」の見直しを行ったところ、もし仮に行財政改革を行わなければ、平成17年度に約226億円の赤字が生じ、財政再建団体となり、平成20年度には累計で約1,455億円の赤字が生じるという厳しい結果が出ました。
 平成16年度当初予算として前年度比マイナス5.2%という半世紀ぶりの緊縮予算案を編成するなど、行財政改革を先取りする取り組みを行っていますが、この「中期的な財政収支の試算」の結果は、さらに数段踏み込んだ改革を実施しなければならないことを示しています。

 このような状況を踏まえ、本県財政の破たんを断固として回避し、新しい大分県政の礎を築くために、本年3月に「大分県行財政改革プラン」を策定しました。
 策定に当たっては、県議会からの意見をはじめ、民間の学識経験者や外部の専門家等の意見、県職員からの提案、さらには県民意見募集手続き(パブリックコメント)による県民の皆さまからの意見等を踏まえて、総合的な判断を行っています。
そして、関係者、団体等との調整を行った上で、できる限り具体的な対策を記述し、各項目ごとの歳出削減目標額や歳入確保目標額を明示しました。

「大分県行財政改革プラン」を実行する過程では、県民の皆さまにも、大規模施設の廃止、事務事業の縮小などにより、少なからず痛みが伴うことが想定されます。
 しかし、改革の円滑な進展に伴い、最小の費用で最大の効果を生み出す効率的な歳出構造が確立され、スリムで機動的な県庁組織が構築されます。
 そして、改革を断行して、県民を中心に据え、安心して心豊かに暮らせる大分県、知恵と努力が報われる活力ある大分県、人材あふれ発展する大分県を創造する確固とした基盤が築かれるのです。

 行財政改革は、財政の健全性を確保するための手段であり、決して、それ自体が目的ではありません。
 将来に夢と希望を持つことのできる県政を実現するという真の目的に向け、県民の皆様のご理解とご協力を得て、この行財政改革を確実に成し遂げます。

※「財政再建団体」とは
財政再建団体になると、行財政運営について実質的に国の管理下におかれ、県単独事業の廃止・縮小など県の自主性が大幅に制限されます。また、使用料・手数料の引き上げ、組織・人員の合理化など県民生活にも多大な影響を与えます。


基本的な考え方

■ 財政健全化の目標
●収支差の解消と財政再建団体転落の回避
 平成20年度に見込まれている約1,455億円の収支差を解消します。


●持続可能な財政運営の確立
 財政調整用基金の取り崩しに依存しない財政運営を目指すとともに、将来の財政環境の変化に機動的・弾力的に対応できるような財政基盤を確立します。


●県債発行の抑制
 平成16年度以降のプライマリーバランスの黒字を維持するとともに、極力、県債残高の増大を抑制します

※プライマリーバランス」とは
県債の元利償還金を除く歳出(現在の行政サービスに必要な歳出)が、県債を除いた県税収入などの歳出でまかなえているかを示す財政収支のことです。

■ 職員の意識改革
 
全職員が一丸となって、県民中心の県政実現に向けて、行財政改革に取り組みます。

 

■ 行財政改革の視点
●選択と集中
 社会経済情勢の変化に合わせ、必要性、緊急性など各施策の優先度を十分勘案し、重点的な施策に対して機動的、集中的に財源と人材を投入していきます。


●民間活力・経営感覚の導入

 民間でできることは民間で行うという時代の流れに沿って、行政が担うべき業務と民間が行う業務を区別していきます。また、民間の優れた経営感覚を導入し、効率的な県政運営を進めます。


●政策自治体の構築
 限られた財源と人員の中で、質の高いサービスを効率的に県民の皆さまに提供できるよう、政策自治体へと変わります。


●市町村との役割分担
 地方分権時代にふさわしい県と市町村の役割分担を明確にします。

 

■ 計画期間
 
計画期間は、平成16年度から平成20年度までの5年間です。


具体的な改革項目及び数値目標

(注)目標額は億円単位の概数で示しているため、実際の歳出削減額・歳入確保額が目標額より若干少なくなる場合があります。

1 歳出の削減


■ 大規模施設等の見直し
【削減目標額33.9億円】

●県立総合文化センター
 (オアシスひろば21)
 優れた文化芸術に触れるため不可欠な施設として、収入確保と支出削減を一層進め、県有施設として維持管理します。

●大分スポーツ公園総合競技場
 (ビッグアイ)
 国民体育大会のメイン会場として予定されていること等から、収入確保と支出削減を一層進め、県有施設として維持管理します。
 この2施設については、施設の管理団体である(財)大分県文化振興財団と(財)大分県スポパーク21を平成17年度から統合し、大幅な収支改善を図ります。

●別府コンベンションセンター
 (ビーコンプラザ)
 別府市が主体的に維持管理することを前提に、県の維持管理負担金については、削減し、平成18年度には廃止します。


●大分農業文化公園
 農業・農村情報の発信等を強化するとともに、より多くの県民が公園を利用できるよう、平成17年1月から入園料を無料化します。

●大分香りの森博物館
 平成16年9月末をもって休館し、平成17年度末に廃止します。
 廃止後の建物については、県民の皆様のご意見を伺いながら将来の有効利活用の可能性を検討します。

●マリンカルチャーセンター
 平成17年4月から社会教育施設と県民のレクリエーション施設との複合施設とし、ソフト面の充実を図りながら、収入確保と支出削減を進めます。

●青少年教育施設の見直し
 マリンカルチャーセンターの社会教育施設としての機能付加に伴い湯布院青年の家を平成16年度末に廃止し、香々地少年自然の家、九重少年自然の家を青少年の家に改編します。
 湯布院青年の家で実施している事業のうち効果の高いものは他施設で引き続き実施し、施設・土地等の有効利活用を検討します。

●体育施設の見直し
 代替施設の整備等に伴い、荷揚町体育館、春日浦野球場を平成16年度末に、駄原庭球場を平成18年度末にそれぞれ廃止します。

●社会福祉施設の見直し
 施設の老朽化等に伴い、しあわせの丘を平成18年度末に廃止します。また、民間社会福祉施設等の充実に伴い、身体障害者授産場及び身体障害者更生指導所を平成16年度末に廃止します。

■ 新たな施設の整備の見直し
【削減目標額17億円】

●国民体育大会関連施設の整備のあり方見直し
 プールの常設施設整備を取り止め、ボート場は近接県の施設を活用します。

●大規模施設整備等の将来構想の見直し
 新たな大規模施設(総事業費概ね3億円以上の施設)については、国民体育大会関連施設を除き、平成20年度までの整備計画は策定しません。

■ 公社等外郭団体等の整理・統合
【削減目標額37億円】

●廃止する団体 (3団体)
(財) 大分県ニューライフプラザ(16年度中)
(社) 大分県畜産振興公社(18年度末)
(財) 大分香りの森博物館(16年度末)


●統合又は事務局を統合する団体(7団体)
(財) 大分県文化振興財団
(財) 大分スポパーク21
(財) 大分県公園協会(統合、17年度〜)

(財) 大分県生活衛生営業指導センター
(社) 大分県食品衛生協会(事務局統合、17年度〜)

(社)大分県農業農村振興公社
大分県農業会議(事務局統合、18年度〜)

(財) 大分県マリンカルチャーセンター
(株) マリンサービスかまえ(統合、17年度〜)

(社)大分県食品衛生協会及び(株)マリンサービスかまえは、公社等外郭団体には該当しませんが、統合等の相手方として掲げています。

●今後さらに見直しを進める団体(10団体)
 外部の専門家を活用しながら、さらなる見直しを推進します。
(社) 大分県観光協会、(社)大分県物産協会、大分県住宅供給公社 ほか


●県の関与を縮小する団体(13団体)
(財) ハイパーネットワーク社会研究所、(財) 大分県産業創造機構 ほか

 

■ 事務事業の選択と集中
【削減目標額677億円】

●イベント、大会、講演会等の見直し
 国民体育大会、全国障害者スポーツ大会等の運営費を削減し、農林水産関係祭の運営等の見直しを行います。

●物件費の縮減等
 公用車の更新基準延長や軽自動車の導入などを行います。臨時職員を80名以上削減し、競争試験による選考を行います。

●補助費等の見直し
 効果や緊急性が低下した補助金、団体補助金、少額補助金等を廃止、または縮減します。

●選択・集中分野特別枠事業の実施
 創意工夫を凝らした重点新規事業に財源を集中させるため、10億円の特別枠を設置します。

●投資的経費の削減
公共事業
 平成16年度は、前年度予算と比較して約6%削減します。さらに17年度及び18年度は約5%削減します。

一般国庫補助事業及び単独事業
 平成16年度は、前年度予算と比較して約20%削減する方針です。さらに17年度は約15%、18年度は約5%削減します。

県民生活に密接に関係する道路等の単独事業
  平成16年度は、前年度予算と比較して約15%削減する方針です。さらに17年度は約10%、18年度は約5%削減します。

●その他の経費の見直し
 法令等による義務付けのない扶助費の見直しや、公債費の長期的な抑制を図ります。

■ 総人件費の抑制
【削減目標額406億円】

●職員定数の削減
 知事部局等一般行政部門 
  5年間で10%(約460人)
 教育委員会事務局職員 
  5年間で10%(約46人)
 県単独配置教職員 
  5年間で10%(約65人)


●職員給与等の見直し
知事等三役の給料月額
(平成19年3月まで) 10%減額
管理職手当
(平成16年4月から19年3月まで)10%減額
職員給料
(平成16年度中可能な限り早い時期から19年3月まで)2%減額

●県議会議員の報酬等の見直し
 (県議会からの提案による)
 議長、副議長の報酬
 (平成19年3月まで) 10%減額
 議員の報酬
 (平成19年3月まで) 5%減額


●退職制度の見直し
 退職手当の支給水準を平成16年1月から3%、平成17年1月から6%引き下げます。
 退職希望募集年齢を40歳からに引き下げ、早期退職を促進します。

●技能労務(現業)職の見直し
 県直営の必要性の少ない業務等の実施方法を見直します。
 技能労務職給与を適正水準へ是正するため、見直しを行います。

●組織・機構の見直し
・本庁の機構改革(8部1局から7部3局へ)
・県立病院、三重病院の経営健全化
・地方機関の統廃合・簡素化
・試験研究機関等の見直し、外部評価の導入
・総務系事務の一元化
・地方独立行政法人への移行等の検討
・企業局の民営化等の検討
2 歳入の確保

■ 県税収入等の確保
【確保目標額30億円】

 自動車税等の夜間、休日訪問徴収による滞納整理の強化を図ります。


■ 県有財産の売却、 有効活用

【確保目標額23億円】

 処分可能な土地について媒介制度の導入等により、積極的に売却します。
 廃止・移転施設用地等の売却・有効活用を検討します。
 知事公舎の見直しについて、県有財産利活用等検討委員会等において検討し、平成16年9月末までに決定します。副知事・出納長宿舎及び舞鶴幹部宿舎については、周辺環境に配慮し、売却等による民間開発を促進します。

■ 県債の活用・その他
【確保目標額231億円】

 プライマリーバランスや県債残高を考慮しながら県債を活用します。
 使用料・手数料の金額を精査し、見直しを行います。
 産業廃棄物税、森林環境税等新税の導入の検討を進めます。

3 職員の意識改革促進

●職員提案の実施   ●職員の能力や実績を重視する新人事制度の検討

●職員研修の充実   ●その他の見直し

プラン策定後の取り組み方針

●行財政改革プラン実行の進行管理
 緊急行財政改革本部及び行財政改革推進委員会によるプランの進行管理を行います。

●さらなる見直しの推進
 公社等外郭団体の整理・統合について、今後さらに重点的な取り組みを進めます。

●行財政改革プランの改訂
 今後の地方財政に対する国の方針等の変化に応じて「中期的な財政収支の試算」を修正し、これに合わせ行財政改革プランを改訂することが必要になる場合もあります。

●県民の皆さまのご理解とご協力
 改革に伴う痛みができる限り少なくなるよう努めますので、県民の皆さまには、改革の趣旨・目的をご理解の上、これまで以上のご協力をお願いいたします。

平成16年度の県の組織(知事部局)

総務部
知事室、行政企画課、県政情報課、人事課、職員課、財政課、税務課、市町村振興局
企画振興部
企画調整課、文化振興課、広報広聴課、統計調査課、IT推進課、観光・地域振興局、総合交通対策局
福祉保健部
福祉保健企画課、医務薬事課、健康対策課、高齢者福祉課、子育て支援課、障害福祉課
生活環境部
生活環境企画課、県民生活・男女共同参画課、青少年・学事課、食品安全・衛生課、環境保全課、廃棄物対策課、消防防災課、人権・同和対策課
商工労働部 商工労働企画課、工業振興課、商業・サービス業振興課、企業立地推進課、労政能力開発課
農林水産部
農林水産企画課、研究普及課、農山漁村支援課、農産振興課、畜産振興課、農村計画課、林務管理課、林業振興課、森林保全課、漁業管理課、水産振興課、漁港漁村整備課
土木建築部
土木建築企画課、建設政策課、用地対策課、道路課、河川課、港湾課、砂防課、都市計画課、公園・生活排水課、建築住宅課、施設整備課、高速道対策局
県立病院管理局
スタッフ組織
国民体育大会・
障害者スポーツ大会局
総務企画課、競技力向上対策課
出納事務局
会計課、用度管財課

※青字は新たな組織など




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