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新時代おおいたVol.43(2005年11月発行)
新時代おおいたVol43表紙

Vol.43 2005年11月発行


県内の各世帯に配布(奇数月に発行)しています。 ご意見・ご感想をお聞かせください。
メール:
a10400@pref.oita.lg.jp

【表紙の写真】
訪れる人を「みちくさ」に誘う
NPO法人久住高原みちくさ案内人倶楽部・上好 温(かみよし あつし)さん(竹田市久住町)

 「これがシラネセンキュウの花、あちらはアソノコギリソウ。落ちているオニクルミの実は、外側の実が腐るのを待って中の種を取り出して食べるとおいしいですよ。土の中に埋めておいて、実が腐るまで待つのが一番いい」詳しく説明してくれる上好さん。ススキが揺れる久住高原はすでに秋の気配を漂わせ、オニクルミ、アケビ、クリ、ムカゴなど、秋の実りがたくさん見られます。
  知らない植物はないのでは? と思わせるほど、次々と植物の説明をしてくれる上好さんは、久住高原の歴史についても、とても面白い話をしてくれます。たとえば「久住山猪鹿狼寺(いからじ)」といういかめしい寺の名前の由来。もしもこうした久住の歴史に興味を持たれたら、「みちくさ案内人」を訪ねてみてください。きっと思いがけない話が聞けるはずです。



県民とともに築く「安心」「活力」「発展」の大分県 安心活力発展プラン2005 平成17年(2005年)10月、県民の皆さんからのご意見・ご提案をもとに、県は新しい長期総合計画「安心・活力・発展プラン2005」を策定しました。平成27年(2015年)までの夢と希望に満ちた大分県の将来像をデザインしたものです。
安心・活力・発展プランホームページへのリンク
 少子高齢化や経済のグローバル化などが進む一方で、環境保護や県民の安心・安全の確保など課題は山積みしています。また、地域間競争に打ち勝つことのできる魅力ある地域づくりも重要です。このような課題を解決するためには、個人を取り巻く環境の変化やニーズの多様化を踏まえ、きめ細やかで柔軟な発想と対応が必要となります。地域住民の皆さんが「自らの地域は自らつくる」という意識を持ち、NPOや自治会活動などに積極的に参加することが求められます。
  すでに県内ではさまざまな取り組みが始まっています。どの地域も、過疎化や少子高齢化、自然環境の悪化、地域の連帯感の希薄化などの悩みを抱えています。悩みがあるからこそ、地域コミュニティの再生や地域資源の掘り起こしなどの新しい試みに挑戦しているのです。
  この特集では、時代の風を先取りし、新たな地域間競争に打ち勝っていく大分県の実現をめざす8つの重点戦略と、地域を元気にしようとする県民の皆さんの先進的な活動を紹介します。
豊かな天然自然・磨き輝き戦略
 大分の豊かな天然自然に磨きをかけ、輝かせる行動を各地に起こし、全国に誇れる美しく快適な大分県を創造するため、県民総参加による「ごみゼロおおいた作戦」の展開。環境保全、リサイクルなど資源循環の取り組み、省資源・省エネルギー運動、新エネルギー導入の取り組みの推進。環境関連技術の開発支援などによる循環型環境産業の育成。
県民が支え合う福祉コミュニティ形成戦略
 子供を生み育てることに喜びを感じられる、高齢者が生涯現役として活躍できる、障害者も地域で生き生きと生活できる環境づくりの推進。地域での見守り・支え合いの輪を広げる取り組みの推進。
「備えあれば憂いなし」安全・安心戦略
 自然災害、SARSなどの感染症、広域化・悪質化・巧妙化する犯罪などの危機から県民の暮らしを守るため、災害に強い基盤整備などの推進。県民の危機管理意識の向上を図り、「備えあれば憂いがない」暮らしづくりへの取り組み。
 
安心して心豊かに暮らせる大分県 安心して心豊かに暮らせる大分県
一人暮らしのお年寄りも安心
 「消火器の使い方、わかりますか?」「訪問販売や架空請求などで困ったことはないですか?」高齢者世帯を訪れて、こんな声かけと緊急連絡先の確認をしているのは、豊後大野市社協緒方支部「こんにちは・あんしん隊」の面々。社協職員、民生委員、自治委員、警察官、消防隊員など数人でチームを組み、年に1回対象者の家庭を訪問しています。
 「自宅に来てくれるので、本当に安心できます。訪問してくれた皆さんとお話しできるのもうれしい」と語る戸次さん。誰もが住み慣れた地域で生き生きと暮らせるまちづくりには、地域のネットワークづくりやボランティアの育成が不可欠だ、と実感させられます。

あんしん隊の写真
緊急連絡先や緊急通報装置などの確認をする「こんにちわ・あんしん隊」

「ユニバーサルデザイン」をもっと身近に
  リンスと区別できるよう、ギザギザがついたシャンプー容器。よく知られたユニバーサルデザイン(UD)の一例です。年齢や障害の有無に関係なく、誰にとっても使いやすいユニバーサルデザインの商品や考え方をもっと身近に感じてもらおうと、大分県デザイン協会は11月に「おおいたUDマーケット」を開催します。
 これからの地域づくりには、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れたまちづくり、ものづくりが大切です。また、ユニバーサルデザインに触れ、実際に使ってみてその良さを実感することが、思いやりの心にもつながります。皆さんも「おおいたUDマーケット」に足を運んで実感してみませんか。
◎おおいたUDマーケット
期日:11月19日(土)から11月23日(祝)
場所:トキハインダストリー明野センターアクロス
   (大分市明野東1-1-1)1階マルチプラザ
◎UDセミナー
日時:11月19日(土)14時〜16時
場所:トキハインダストリー明野センターアクロス
   2階アクロスホール
講師:コクヨS&T(株)事業戦略部 生形瑞絵氏
実行委員会の写真
UDマーケットの企画を考える
実行委員会メンバー

「自分たちの町は自分たちで守る」組織率100%!!
 「旅館やホテルの多い別府では、災害時における観光客の安全確保が大きな課題。だから、まず自分の命は自分で守る『自助』、次に隣近所で助け合う『共助』、最後に行政の力を借りる『公助』がある、と考え自主防災組織づくりに努めてきました」別府市連合防災協議会の橋本会長は、高い組織率の理由をこう語ります。
 「行政に頼りすぎてはいけないが、情報を確実に入手するためには防災無線を地区ごとに設置するなど、行政にしかできないこともある。こういう部分を行政にはぜひお願いしたい」できることとできないことを区別し、行政と協働しての自主防災組織づくりが、住民相互の連帯感を再認識させ、地域コミュニティの活性化にもつながっているようです。

食の「安全」を消費者の「安心」に情報提供で不信感の払拭を
 トレーサビリティシステムの確立、生産履歴情報の開示、生産・製造・流通・消費の立場で意見交換する「食のリスクコミュニケーション」の開催。食の安全と消費者の安心の確保を図るためのさまざまな取り組みです。その一つがオレンジと緑のロゴマークが印象的な「eーnaおおいた農産物」。10月から始まった減農薬・減化学肥料栽培の農産物認証制度のロゴマークです。
 第1号として申請中のイチゴ「さがほのか」生産者の一人、JA大分市いちご部会の安部さんは「先手を打ちながら病気や害虫などへの対策を考えることで、減農薬が可能です。認証取得でブランド化も進めたいし、それには量の確保も大切。生産者仲間を増やしたいですね」と期待しています。
 流通業者の立場からトキハインダストリー(株)商品部長の三河尻さんも「誰が、どのようにして生産したのかを消費者は知りたがっている。『eーnaおおいた』を普及させるには、流通業者が消費者にきちんと説明することも必要です」と今後の課題を語ります。
e-naおおいたロゴ 食のリスクコミュニケーションの写真
食のリスクコミュニケーション

犯罪被害者の支援を通して犯罪の少ない社会づくりを
  心理的・肉体的なダメージ、法的な問題、経済的な負担など、さまざまな問題を抱える犯罪被害者。「大分被害者支援センター」では、弁護士や臨床心理士などの専門家とボランティアがこうした被害者の支援を行っています。
 理事長の金子さんは「心理的なカウンセリングや法律相談、裁判所への付き添いなど、傷ついた被害者を支援するには、ボランティアへも研修が欠かせません。大変な仕事ですが、被害者を支援する熱意を見せることで、不正を許さない社会づくりにつながります」と、被害者を守る熱意が犯罪抑止にもつながっていくと訴えています。
◎大分被害者支援センター
TEL:097-532-7711
(火・木19時〜21時、水13時〜16時)
電子メール:info@ovsc.jp
*賛助会員(年間個人3,000円、法人10,000円)も募っています。事務局097-532-7776(月・水・木・金9時〜16時)までご連絡を。

環境保全や農業の振興が観光には不可欠
 「ツーリズムという言葉を使ったのは、観光=キャンペーンという行政の考え方を変え、箱物づくりからサービスの提供へとシフトさせるためでした」別府「オンパク」の仕掛け人、観光カリスマの鶴田さんは「ツーリズム」をキーワードにした新しい観光について、こう語ります。「ヨーロッパの観光地を見ても、最終的に残るのは環境保全。土地の原風景を壊さない観光地づくりしかないんです」
 久住高原の自然を守り、次代へ継承するために設立されたNPO法人「久住高原みちくさ案内人倶楽部」。井理事長も「久住高原は野焼きを行うことでつくられた自然ですから、維持するには野焼きを続けることが必要です。しかし、農家の高齢化や人手不足で野焼きができなくなり、山林化が進んだ地区もあります。美しい景観が損なわれれば、観光も立ちゆかなくなってしまう。活力ある観光地づくりには、農業の後継者づくりと環境保全が不可欠なんです」と観光と農業の一体化を訴えています。
久住高原タカナ畑の写真
久住高原でのタカナ漬けイベント

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