大分県庁のホームページ 『新時代おおいた』のバックナンバー
新時代おおいたVol.54(2007年9月発行) 新時代おおいたVol.54表紙
特集1 新しい大分県づくりに「挑戦」する 平成19年度大分県予算
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特集1 新しい大分県づくりに「挑戦」する
平成19年度大分県予算
「みんなのチャレンジ予算です」と 広瀬知事 (記者会見より)第2期広瀬県政のキーワード「改革から挑戦へ」。「挑戦」元年の平成19年度一般会計予算補正予算(*)が7月の県議会で成立しました。
 今年度予算の特徴は、「おおいた挑戦枠」の創設。これまでの枠にとらわれない新規事業を展開し、県民の皆さんとともに新しい大分県づくりに挑戦します。
歳入合計の円グラフ歳入合計の円グラフ歳入合計の円グラフ
平成19年度 一般会計予算
5,915億7,300万円
※予算額は当初予算と補正予算を合計したもの。
歳出合計の円グラフ歳出合計の円グラフ歳出合計の円グラフ
(*)骨格予算と肉付予算通常、県の予算はその年度の開始前に成立しています。しかし、県知事選挙に当たる年などは県の政策が変わる可能性があるため、予算の全額を前もって組んでおくのは県政の推進上、適切ではありません。そこで政策的経費などを除き、人件費等の必要最小限の経費のみで当初予算を組みます。これを一般に「骨格予算」と言います。
この場合、新規事業など政策的経費を追加した補正予算を組み、知事選後の県議会で議決を得ます。これがいわゆる「肉付予算」です。
県民1人当たりの歳出予算額はいくらになるのでしょうか?
住民基本台帳上の人口1,218,066(平成19年3月末現在)により計算
1年間の歳出予算額を県民の数で割ると、
1人当たり485,666円になります。内訳はご覧のとおりです。
県民1人当たりの歳出予算額のグラフ

夢にチャレンジ おおいた挑戦枠予算
 県財政を取り巻く状況は依然厳しく、行財政改革には引き続き取り組んでいかなくてはなりません。しかし一方、これまでの不断の改革により、将来にわたって持続的に行財政運営をしていける基盤の構築も進みつつあります。その意味では、新たなステージへ向かう態勢が整ってきた今こそ「改革から挑戦」へ軸足を移すべきとき。まさに「挑戦」元年なのです。
 第2期広瀬県政の大切な初年度である平成19年度予算。県では、県民の皆さんが夢と希望を持ち、心豊かに暮らせる新しい大分県づくりに向け「おおいた挑戦枠」を設け、挑戦的・戦略的な事業を積極的に創出。なおかつ、持続可能な財政基盤を確たるものにするため、財源の配分は重点的・効率的に行うという攻守の両面を見すえた方針のもと、挑戦元年予算を編成しました。
 「おおいた挑戦枠」では、農業再生や医師不足など待ったなしの課題に的確に対応するとともに、中小企業の支援や単位制高校の整備など新たなステージへ向けての一歩を踏み出します。創意工夫を凝らした数々の新規事業で、県民の皆さんの「挑戦」をしっかり応援していきます。県としてもまた、平成17年度に県民の皆さんとともに策定をした「安心・活力・発展プラン2005」の実現に向け、新たな大分県づくりに「挑戦」していきます。
 それでは挑戦枠の代表的な事業を「安心」「活力」「発展」それぞれの分野からご紹介します。

安心医師確保へ緊急対策
 私たちの安全・安心な暮らしを支える地域医療。しかしその内容は地域によって偏りがあります。特に小児科・産婦人科は医師不足が著しく、不安を抱えている県民が大勢いらっしゃいます。
松岡さんの写真  大分県産婦人科医会の松岡幸一郎会長はこうおっしゃいます。「3年前の新しい医師臨床研修制度の導入を契機として、大学から派遣されていた医師の引き上げ、過重な勤務などのため、産婦人科を敬遠する若手医師が増えました。この結果、医師の不足が決定的となり、病院や病棟の閉鎖という事態を引き起こしています」
  足りない人数分の負担は今いる医師が背負わされます。より勤務が過重になるという悪循環です。
  「国は特定の病院に医師を集約化し、人数を確保して医師の勤務条件を改善する方針を示しています。しかし、大分県には集約化できるほど医師がいないのです。独自の実効策を見つけるしかありません。私たちは検討を重ね、現在の状況の中でも効果が上げられるであろう方策をいくつか県に提案させていただきました」
  その提案を受け、事業化されたのが挑戦枠の「医師確保緊急対策事業」です。これは2本の柱から成っています。
  一つは、地域中核病院に勤務する医師の国内外の研修に対し助成する事業。医師は診療技術の修得・向上のため生涯にわたって研さんを積みますが、そういったニーズに応えることにより病院勤務の魅力を高め、県内に医師を増やすのが狙いです。
  もう一つは小児科・産婦人科で後期臨床研修を行う医師に対して研修資金を貸与する事業。「後期臨床研修」とは医師が専門診療科を決めるための研修ですが、県内にいる小児科医・産婦人科医の協力を得て、この研修を大分県で受ける医師が増えるよう働きかけてもらい、その後の定着を図るのが目的です。
  「緊急的な対策ですが、効果はあると考えています。県も財政の厳しい折に相当な努力をして予算化をされたことは評価したいと思います。状況は楽観視できませんが、県民の皆さんに安心していただけるよう、私たち医師も県と協力をしながら頑張っていきます」と語ってくださいました。
そのほかの主な事業
▼放課後の子どもの安全・安心な居場所を確保する「放課後子どもプラン推進事業」
▼旧町村部の消防力を強化する「昼間の消防力強化事業」

活力生産者の努力を花開かせるために
 「消費者にどうやってカボスを手に取ってもらうか。手間はかかりますが減農薬栽培で『安全・安心』を実現、さらに見栄えにまで注意を払って大切に育てています」と語るのは竹田市でカボスを生産する河野泰三さん。「大分県かぼす生産者協議会」の会長も務めていらっしゃいます。
 県は今、大分県全体を一つの産地とする県域ブランド「大分かぼす」の創出を目指しています。「量」と「品質」の両方が揃った品目でないと、市場での競争力が弱いからです。
 「各産地バラバラというやり方ではもう限界でしょう。生産者としても県域ブランドという方向性には賛成です。しかし今はまだ産地間で品質にばらつきがあります。課題はこれをどう整えていくか。私も広域アドバイザーの一人として『大分かぼす』の品質底上げのために尽力しているところです」
 そんな生産者の努力を花開かせるため、県は今年度「『The・おおいた』ブランドづくり支援事業」を実施。乾しいたけに続く大分の「顔」となる品目を育成するため、カボス、トマト、こねぎなどブランド化を目指す有力品目の「チャレンジ計画」を認定して、生産者を集中的に支援します。
 具体的には市場調査や販路開拓を専門に行う「マーケター」という役割の県職員を東京・大阪・福岡に配置。また、流通の専門家を「マーケティングアドバイザー」に委嘱して商談の仲介や情報提供、商品づくりのアドバイスを行ってもらうこととしています。これにより、県産品を大消費地に売り込むとともに、市場のニーズを産地に伝えます。
 また、福岡市内量販店に大分コーナーを設置したり、ホームページを充実するなど情報発信機能も強化していきます。
 「品質には絶対の自信があります。足りないのはPR。大分かぼすの魅力をぜひ全国に広めて」と河野会長。生産者の思いを消費者へつなぐ役割が県に期待されています。
マーケターと河野さんの写真
▲産地を訪れたマーケター(左)と河野泰三会長(右)
地域資源を最大限に活用
  日田市中津江村にある株式会社つえエーピー。ゆずやわさびなど、地域の特産物を活用した商品が全国で人気です。「この会社は、旧中津江村・上津江村・前津江村と農協が一体となって、第3セクターの農産加工所として平成4年に設立されました。地域の特産品に付加価値をつけてブランド化しよう、そうすれば農産物を大量に買い入れて農家の収入を安定させ、農村の活性化に貢献できる、と考えました」とおっしゃるのは同社の長谷部建美社長です。
 「地域を守るためには、地域に根ざした地場産業を創造することが重要です。そうすれば、付加価値を生産者や地域に還元することができます」。地域の特産物を使った他にはない商品の数々が好評を博し、つえエーピーは順調に売り上げを伸ばしています。
 カボス、温泉など、本県には多くの特徴的な「地域資源」があります。それらは、商品の差別化・高付加価値化の要素となり、オンリーワンの商品が数多く生み出されています。そのような商品の県外市場での成功は、地域の活性化に大きく寄与します。
 しかし、長谷部社長がこれまでの歩みを振り返って「大変でした」とおっしゃるように、県外市場のニーズ把握、県外向け商品の開発・販路開拓は中小企業にとって容易ではありません。
 そこで県では、地場中小企業の技術力や競争力の強化、製品開発、取引拡大などを総合的に支援する補助制度「地場中小企業チャレンジ支援事業」を今年度創設しました。その中の「地域資源活用促進事業」では、地域資源を活用して県外展開を図る中小企業が行う商品開発や販路開拓などの活動に対し助成することとしています。
長谷部さんの写真 「ゆずはちみつ」と「ほっと柚子」の写真  
▲長谷部建美社長。手に持っているのは地域資源の「なし」を使った新商品 ▲主力商品の「ゆずはちみつ」と「ほっと柚子」。世界的な食品コンテスト「モンド・セレクション」で最高金賞を受賞  
そのほかの主な事業
▼女性の社会参画への挑戦を支援する「女性のチャレンジ支援事業(女性の再就職支援事業)」
▼障がい者の雇用を促進して自立を支援する「障がい者雇用応援団事業」

発展未来へ向かう高校改革
 「発展」の大分県づくりに向けて、何と言っても重要なのは「人づくり」。中でも重要な学校教育の分野において、県では「特色・魅力・活力ある学校」を目標に掲げ、高校改革に取り組んでいます。
 目指すのは、県内どこでも充実した教育が受けられる環境づくり。また、生徒の多様な学習ニーズに応えられる特色ある学校づくり。平成18年4月の総合選択制「県立三重総合高校」の開校を皮切りに、新しいタイプの高校が続々と誕生しています。
 この改革の一環として、県では単位制高校(独立単位制高校)を整備することを決定しています。これは、定時制・通信制・単位制の良いところを合わせ持つ高校。その特色としては、
定時制では午前部・午後部・夜間部の3部を設置しており、互いに併修が可能。
通信制課程が併設されており、定時制と通信制との併修が可能。
この融通性の高さから、生徒の生活時間や進路目標、学力レベルに合わせた学習ができる(フレックスハイスクール)。
過去に修得した単位の加算が認められ、これまでの学習が無駄にならない。
所属していない部や通信制の単位を修得できることから、最短3年間で卒業できる(これまでの定時制では最短で4年間)。
などが挙げられます。これらの特色から、中途退学や生涯学習社会に対応できる高校としても期待されています。
 今年度はその単位制高校開校への第一歩として整備候補地の調査に着手します。これまでにない新しい魅力を持つこの高校の開校が、今から待ち望まれます。
イメージ図
そのほかの主な事業
▼旧町村部のコミュニティ交通を確保する「コミュニティ交通支援事業」

  平成19年度県予算について、駆け足でご紹介しました。なお、県予算について詳しくは、
大分県庁ホームページ 「大分県財政のすがた」http://www.pref.oita.jp/11400/ でご覧いただけます。


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