高野済さん
株式会社ファインド・ニューズ代表取締役開発担当。美味しいものを食べること、作ることが大好きで、自社製品の開発を一手に引き受けている。
 
▲無農薬のハーブをブレンドしたハーブティも種類が多い。


もと美術館だった建物を改装したお洒落な「湯布院カフェ シーズンスープ」。
野菜作り名人の知恵を生かした契約農家のハーブ栽培
  湯布院町に近い安心院町寒水地区、由布岳と鶴見岳を望む標高650mの高原で、3年前からハーブの契約栽培をしている中沢幹夫さんは、高冷地キャベツ作りの名人。中沢さんのハーブは葉が厚くて色が濃く、キャベツ同様、評判が高い。「ハーブ作りは初めてだったけど、ハーブも野菜も基本は土。うちは酪農もやっているので牛の糞を半年以上ねかせた堆肥を使い、ハーブに根をしっかり張らせるんです」と中沢さん。大分に根付く達人たちの知恵が、高品質のハーブ生産に生かされている。


湯布院では今後、料理なども出していく計画だ。
右がバジルペースト、左上は洋風料理に合うゆずごしょう、手前は食感が楽しいプチプチマスタード

ギフトにも人気のハーブ商品。バジルペーストは2種類ある。
20代で起業し、自宅キッチンから新商品を生み出す
 創業者の高野済(なる)さんは幼いころぜんそくがひどかったが、ハーブ研究家である母親の尚子さんがハーブを料理などに取り入れてくれた。ハーブはヨーロッパで太古の昔から薬用に使われてきたもの。その素晴らしさを自ら実感した高野さんが、ハーブ関連の会社を興すことを決めたのは大学4年のときだった。
  平成2年に「ハーブのある暮らし」を提案するファインド・ニューズを設立。アロマなどハーブを使った美容分野にもハーブを提案するかたわら、化学調味料の代替としてのハーブソルト、魚の臭みを消し酸化を防止するハーブ醤油などを、地元の大学や企業と共同で開発。料理好きの高野さんは「自宅のキッチンの延長で」ハーブドレッシングなどの新商品を編み出していった。
  また無農薬バジルの栽培を県内の農家に委託して行い、東京へフレッシュバジルを空輸するようになる。そんなある日、東京のレストランで作ってもらったバジルのパスタが「目が飛び出るほどおいしくて」感動。当時、市販のバジルペーストはほとんどなく、「コレだ!」と思い立った高野さんは、さっそく「食べるハーブ」のコンセプトを掲げ、自宅のキッチンで延々とバジルペーストの試作を重ねた。「今でもベースになる試作をするのはすべて自宅のキッチン。生活のリズムの中でアイデアが生まれるんです」と言う。
  最も難しかったのが、バジルのフレッシュな香りと美しいグリーンを残して1年間保存できる商品を作ることだった。2年近くかけて業務用バジルペーストを開発。食品展示会では「こんなに香りとグリーンが残っている国内産のバジルペーストは初めて」と多数の食品メーカーから注目を浴びたが、高野さんとしては「まだ未完成だった」。滅菌方法などに研究を重ね、ようやく納得のいくものが完成したのがさらに1年半後。思い立ってから3年半の歳月が流れていた。
 
長年の思いを賭けたバジルペーストがヒット商品に
 平成10年ごろから小売用バジルペーストの出荷も始めたが、1瓶800円という価格もあり、「そう簡単には売れなかった」。やがて雑誌で紹介されたり、東京の有名レストランに置いてもらったりするうち、「家庭で本格イタリアンが楽しめる」と食に関心の高い人たちに口コミで広まり、今や同社の看板商品に成長。平成15年には安心院町にハーブの加工を行う開発工場を設立、16年4月には湯布院町に情報発信のためのショールーム「湯布院カフェ シーズンスープ」をオープンした。今年は新たなハーブ商品の発売も計画中だ。子どものころから母親がハーブを使って作る洋風のヘルシーな料理に親しんできた高野さんにとって、大分の素晴らしい食材とイタリアの食文化を融合させる「オオイタリアン」の提案は、今後も重要なテーマだ。 
 
まず自分たちが楽しみながら自分たちが使いたいモノを作ろう
 無農薬ハーブは県内産、オリーブオイルも無農薬のもの、塩は天然塩、ニンニクは国産品、と原料には徹底的にこだわり、高野さんは良い食材を求めて国内外の産地を何年もかけて回ってきた。一方では大分県産業科学技術センター、大分大学教育福祉科学部食物学研究室との共同研究により、バジルの機能性を探る研究も続けている。100種近くのハーブから選別を重ねたスイートバジルが、土や栽培方法の工夫によりほうれん草の4倍のカルシウムを含むことが判明し、「カルバジル」と命名。商標権も取得した。
  「今の世の中にないようなモノを作ろう、そうすれば小さな会社でも一番になれる、と思ってやってきました。既製品が納得できなければ、自分たちが使いたいモノを作る。そうすれば人にも勧められる。まず自分たちが楽しんで作ることが大切だと思ってます」。作り手も使い手も満足できる、楽しく丁寧なモノづくり。これこそがベンチャーの醍醐味に違いない。
安心院開発工場のスタッフのみなさんと。 厳しい衛生管理のもとでバジルの加工を行う。


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目次 特集/人が輝く 暮らしが輝く ベンチャービジネス
対談/御手洗冨士夫キヤノン株式会社社長
おおいた文学紀行/津村 信夫・鄙の歌
先人の軌跡 /南 一郎平 −宇佐市−
大分県立芸術会館ギャラリー

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