参加者自らがつくっていく、新しい形のカルチャー教室
 別府湾と高崎山を望むマンションの一室。滝口京子さんが主宰するトータルブレインでは、オフィス横の小さなサロンで月1回の「ワイン入門講座」が開かれていた。20代から70代までの男女15人で部屋は満杯だ。講師・高橋武巳さんの楽しいうんちく話が始まると、あれこれワインを試飲したり、チーズを頬ばったり、キャハハと笑い声が上がったり。「ここに来ると人のつながりをすごく感じる」「世代を超えて楽しめる」と、一般のカルチャー教室とは違う魅力をみんなが口々に語る。参加者は喜々として手料理を持ち寄り、準備も後片付けも率先して手伝う。みんながこの場をとても大切にしているのが感じられる。
  トータルブレインでは気軽なクラシック音楽講座、肥満解消健康教室、フェイシャルエステ、外国人から英語で教わる家庭料理教室など、定期、不定期を合わせて20近い講座を開講しているが、そのどれもが「こんな講座に参加したいわ」という客からの提案を形にしたもの、という点がユニーク。「おしきせじゃなく、参加する人が自分たちのやりたいことを実現していける、双方向的な集まりにしたい」と滝口さんは言う。
 
コンセプトは「人と人をつなぐこと」。たくさんの才能を線で結んで楽しいコトをやりたい
 滝口さんは別府市役所に28年間勤務し、市民グループ「国際都市別府を考える会」を立ち上げるなど、公私ともに国際交流的なことに関わってきた。「いろんな素晴らしい能力を持った人と出会う中で、そんな人たちを点のままでなく線で結びたい、将来いっしょに何か楽しいことをやりたい、という気持ちがずっとあったんです」。さまざまな能力を持つブレインが集まるトータルな拠点づくり―「トータルブレイン」の構想はそのころから芽生えていた。50歳を機に市役所を退職し、別府アルゲリッチ音楽祭に立ち上げから関わった後、平成13年、トータルブレインを設立した。
  コンセプトは「人と人をつなぐこと」。その手始めが、人が交流する場としてのサロンであり、日常を楽しくする講座やイベントだった。3年を経て、支えてくれる人たちは着実に増え、確かな手応えを感じている。「まだビジネスとして採算が合うまでにはなってないですけどね(笑)」。サロン部門とは別に、経験とネットワークを生かしたコンサートなどイベントの企画、商品開発のリサーチやプラニングといった仕事も少しずつ軌道に乗り始めたところだ。
 
 
生きがいがビジネスを生み、ビジネスが生きがいをつくる
 新しい人材や才能の発掘も、大きなテーマであり、楽しみでもある。現在エステやメイク教室などの講師を務める北村理恵子さんは、トータルブレインで才能が花開いたひとり。大のメイク好きで、そんな仕事に憧れていた北村さんは、長年勤めた会社を退職して悶々としていたころ滝口さんと出会い「うちでメイク教室をやってみない?」と持ちかけられてこの道に。「ただ好きなだけで自信はなかったし、この歳ではダメだと思い込んでたんです。夢がかなったぁーって、もう嬉しくて」と北村さん。本格的に勉強したいと福岡に毎週通ってカラー&メイキャップインストラクターの資格も取った。今はオンパクでも講座を受け持つ。「まだこれで食べていけないから(笑)アルバイトと二足のわらじで大変だけど、OL時代より毎日がずっといきいきしてます」。トータルブレインで北村さんは”生きがい“という素晴らしい宝物を見つけ、滝口さんも”人材“という大切な宝物をもらった。
  「一人ではできないことも、多くの人が集まり手を携えればきっと実現できる。私にとって素晴らしい仲間が一番の財産。歳をとってもずっと生涯現役で、仲間といっしょに楽しいコトをやっていくのが夢です」と語る滝口さん。人を生かし、人に生かされ、それが生きがいとなり大きな力になっていく。ここには「人と人を結ぶ」新しいビジネスの形がある。
 


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目次 特集/人が輝く 暮らしが輝く ベンチャービジネス
対談/御手洗冨士夫キヤノン株式会社社長
おおいた文学紀行/津村 信夫・鄙の歌
先人の軌跡 /南 一郎平 −宇佐市−
大分県立芸術会館ギャラリー

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