大分県立芸術会館ギャラリー VOL4

 

  董法山水図とは、中国五代から宋時代初期に活躍した画人董源の画法にならって描かれた作品のことです。淡墨を重ね細かく柔らかな線で平淡に描き出すその画法は、中国南宗画の基本画法の一つとして、後世の画人たちに綿々と伝えられてきました。わが国においても、江戸時代中期以降、数多くの南画家たちが、輸入される雑多な絵画作品や画譜(絵画技法を図解した画法書)類を参考にして董源の画法を学び、それぞれの画面に反映させています。
  ここに紹介する田能村竹田の作品も、墨や線の基本的用法、岩を積み重ねて構成された主山、樹木や雲煙の形態などに、董源の影響が指摘できます。とはいえ、単なる董源画の模倣にとどまった作品ではありません。竹田は、前景から中景、高景へとリズミカルに展開する構図や、濃墨や色彩を効果的に用いるなどの工夫によって、躍動感のある新鮮な画面を描出しています。まさに、竹田独自の董法山水というべきでしょう。
  自己の画法の確立を目指したこの時期の竹田は、工夫を凝らした本作品にある程度の手応えを覚えたとみえ、画面右上の款記には、董源の画法をよくした親友の頼山陽と画法を比べて論ずる機会が得られず残念であると記されています。やがて同年の夏、竹田は旅先で山陽と再開することになりますが、果たして董源の画法は論じられたでしょうか。

(大分県立芸術会館主任学芸員 古賀道夫)

田 能 村 竹 田
(たのむらちくでん) Tanomura Chikuden 1777年〜1835年

「 董法山水図」(とうほうさんすいず)

絹本墨画淡彩
文政12年(1829)


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