おおいたの風 Vient



目次
特集 
  スポーツの振興
  気軽に参加できるスポーツクラブ
 

スポーツ活動の推進体制の整備
−指導者の人材育成−

  選手の育成・強化
−選手たちのプロフィール−
  スポーツに関する大分県の取り組み
おおいた文学紀行 中津市・本耶馬溪町・耶馬溪町
  耶馬溪と頼山陽
先人の軌跡
  飯田高原・千町無田開拓指導者
青木牛之助を助けた玖珠郡長
    三好 成 −竹田市出身−
大分県立芸術会館ギャラリー
  オーギュスト・ロダン 「影」



倉田径文 プロフィール
毛利 甚八 (もうりじんぱち)
ライター、 漫画原作者、写真家
1958年長崎県佐世保市生まれ。日大芸術学部卒。大学卒業後からフリーライターとして「ナンバー」「BE-PAL」「サライ」などでルポやインタビューを手がける。1986年より漫画「家栽の人」の原作を手掛ける。現在、『毎日新聞(西部版)』に「時間を探す旅」(文と写真)を、『季刊刑事弁護』(現代人文社)に「事件の風土記」(文と写真)を連載中。単行本に漫画「家栽の人」(小学館)、漫画「地の子(つちのこ)」(集英社)、ルポルタージュ「宮本常一を歩く」(小学館)、インタビュー集「裁判官のかたち」(現代人文社)などがある。
「大分の二つの海」
真玉町の干潟 撮影:毛利甚八  
毛利 甚八
写真:新玉町の干潟 撮影:毛利甚八
  私は今、大分の県北にある豊後高田市に住んでいる。近くに海があったことから、大分に来てから本格的に海釣りを勉強するようになった。仕事の合間の頭休めに釣りの本を読み、締め切りのイライラを鎮めるために近くの釣具屋で遊ぶ。それを繰り返すうち、指南書の出版数が多く、道具の豊富なクロ(メジナ)やチヌ(クロダイ)のウキふかせ釣りを覚えることになった。もっぱら波止専門である。
  県北は瀬戸内特有のどんよりとした色を持つ遠浅の海。潮の満ち干で魚が動くので、それぞれの波止の特徴を頭に入れないと一尾も釣れないことがある難しい海だ。波はそうじて穏やかで、夕陽を映した鈍色の海は繊細な紬織りを思わせる。
  佐賀関以南の海に出かけることも多い。大分市から海沿いの道を南下していくと、佐賀関の手前から海の色が変わる。青黒い黒潮の輝きが目に入ると、興奮で胸がドキドキする。海は深くなり、魚もひとまわり大きい。波止や地磯から大きなマダイが狙える海など、東京の釣り人が聞いたら涎を垂らすだろう。
  三年前に大分に移り住んでから、農業後継者を訪ねる仕事で47都道府県をすべて廻る機会があった。旅先で評判のいい釣具店を探すのを楽しみとした。すると大分ほど高価な釣り竿やウキを所狭しと並べる釣具店が多い県はそれほどない。匹敵すると思ったのは徳島と北海道くらい。それほどに海で遊ぶ人が多いのだ。
  県北で瀬戸内の鈍色の海を眺めながらメイタやキスを狙い、県南では男性的で力強い海をみつめてクロやモイカを狙う。二つの海をみつめながら防波堤で時間を過ごしていると、大分は豊かだと実感する。自然を遊ぶ技術を持った人間が生活を謳歌し、人を魅了する。それは都市文化に対する永遠の先制パンチであり、自立した文化だ。
  また海と浦々の暮らしは、大分の自画像(アイデンティティ)の奥底に隠れている、もっとも大切な記憶のようにも見える。
  海を忘れないで欲しい。


 

風成漁港(臼杵市) 撮影:毛利甚八


本誌に対するご意見、ご感想をお聞かせください。
送付先 〒870-8501
大分市大手町3-1-1
大分県広報広聴課 Viento係
TEL 097-536-1111(内線2092 2093 2094 2095)
FAX 097-534-2230

次のページへ→