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森の素材を使う人【中津市山国町】許村 野村徹さん 山のやっかいモノだけど時間をかければこんなに着心地のいい服に仕上がるんです
山では無用のモノだというかずらで籠を作り、藤の皮から糸で衣服を作る。
山国で自生した森の素材は、貴重で高価な都会人の憧れの衣服となって、
県外に送り出されている。

 ノダフジから取れる糸は、しっかりして、力強い。野生の息吹を残した繊維に生まれ変わる。
 「藤の皮と言っても皆さんピンと来ないんです。麻を例に出して初めてわかる。麻を見て、藤の皮のような…とは誰も言わないんですけどね」そう言って穏やかにほほ笑むのは中津市山国町に工房を持つ野村徹さん。
野村徹さんの写真 許村の代表である野村徹さん。山に入れば一目で植物の名前を言える山の達人 ノダフジを取る野村彰さんの写真 最近は、森に入るのは息子の彰さん(許村専務)の役目。つるが時計回りに巻きついているのがノダフジ
 確かに聞き慣れず、見慣れず、着慣れない藤の皮の糸で織った衣服。だけど、素材になる藤は、山を歩けば誰もが目にする地元の山国町に自生する藤だ。その藤から糸を取り紡いで、衣服にしようという発想を思い立ち、実現したのは九州でも唯一人、野村さんだけだろう。野村さんが山に入り始めたのは、20年のサラリーマン生活を辞め、大阪から妻典子さんの里である山国町(現中津市)に移り住んだ頃から。最初は生活するためにエビネ取りをしていたが、山ではやっかいものとされている、かずらで籠作りを始めた。山に入るうちに、やがて野村さんの目に止まったのが藤の皮だ。藤の皮の繊維で衣服を作るのは京都の伝統工芸でもある。早速、京都に出かけ基礎的なことを習得した。失敗と経験を重ね、藤はヤマフジよりもノダフジの方が織りがしっかりすることにも気付いた。初夏の藤を取り、半年間放っておく。その後アク炊きと言って灰にまぶして炊き、冷たい川で洗った後、伸ばし、ほぐし、数本手に取り手作業でよって、糸にする。やっと繊維が出来上がり、それから典子さんのデザイン画に沿って衣服にしたてていくのだ。約1年がかりの仕事である。藤の皮で織った服は強く、素朴な色で、その風合いは着れば着るほど馴染んで来る一生ものだ。
  「山のやっかいモノだけど、時間をかければいい衣服になってくれるんです」我が子を自慢するように野村さんは言う。「山からいただくものを根こそぎ取っていっちゃ行けない。少し残しておくのがルールですからね」山からいただいたお返しとして、野村さんは今、少しずつ植栽も始めているという。
野村典子さんの写真

「デザインは素材を活かし、誰にでも合うようにシンプルを心がけています」と話すのは『野村』のデザイナーでもある妻の典子さん

織り機の写真 自然素材の糸をこの織り機で織る。
体験者も歓迎。森の近くに美しい宿泊所を完備している

手作業で繊維を糸にする野村さんの写真 くるくるっと器用に丹念に繊維をよっていく。糸ができる最後の肯定だ

縫製作業をするスタッフの写真 縫製はベテランスタッフの仕事。デザインに沿って丁寧に仕立ていく

個展の写真 2000年東京玉川高島屋アートサロンでの個展の様子

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