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特集 おおいた彩発見「大分のお宝」シリーズ其の四 大分の「里山」彩発見 守り継ぎたい、自然と人の営み 日本人の心の原風景、棚田のある里山(別府市内成)「牛」と「椎茸」と「人づくり」に生きる里山(豊後大野市朝地町温見地域)角埋山の自然や歴史とともにある里山(玖珠町森)コラム
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角埋山の自然や歴史とともにある里山
玖珠町森角埋山の風景
戦国時代に築かれた城の跡が残り、「お山」の愛称で親しまれてきた角埋山は
すそ野に暮らす人びとにとって“母なる山”。
人里のすぐそばに希少な原生林が残り、歴史と自然が息づく里山は
力を合わせて山を手入れし、守り育ててきた人びとの
汗と愛情と熱意のたまものだ。
 「日本のアンデルセン」と呼ばれた久留島武彦の生地で、「童話の里」として知られる玖珠町の森地区。三島公園から間近に見る角埋山は頂上が平らで、切り立った岩がごつごつと見える険しげな山だ。戦国期には山城が築かれ、標高577mの山頂に角牟礼城跡が残る。周辺一帯は照葉樹の原生林におおわれ、県内2カ所の「特別鳥獣保護区」の一つに指定された自然豊かな地である。
 この山のすそ野に末広のように広がった台地に末広神社が作られ、その下にできた城下町が森地区。人里近くに原生林が残る希少な里山だ。
 とはいえこの山も、ただそこにあるだけで自然が保たれるわけではない。人が手を入れなければ山は荒れる。そこで「角埋山の自然と文化を守ろう」と、住民たちが中心となって26年前に結成されたのが「つのむれ会」。手弁当で清掃作業や子供たちとの登山など地道な活動を続け、会員数は県外者も含め250人にのぼる。
 取材の日は、広葉樹林内で葛(かずら)のつる切りや下刈りが行われていた。木の成長を妨げる葛のつるや繁殖力の強い竹を切り、下草を刈ることで、林床まで自然光が入り、多様な生態系が保たれる。この山にもとからあった植生は残すのが鉄則だ。草刈り機を操る皆さんの姿は”山の男“をイメージさせたが、実はほとんどが元公務員などで、山の作業には不慣れだったとか。それでもみんな自前で機械を購入し、喜々として作業に参加して、腕を上げた。
 私たちは会長の麻生萬里(ばんり)さん(78)、副会長の小西保喜(やすのぶ)さん(74)の案内で林の中を歩いた。
 「この山の木は1600年に角牟礼城が廃城になった後に生えたものなんです」と麻生さん。それ以前は、敵兵が登ってくるのがよく見えるよう木を生やさなかったという。木の種類は非常に多く、巨大なタブノキなども。アラガシ、カゴノキ、ユズリハなど主な木には会員の手で名札が付けられている。山はウラジロガシやサカキなどの林、マツを中心とする林、伐採地の再生林、スギなどの育成林の4つの群生からなり、山頂の至る所に清水が湧(わ)いている。この水は1587年豊薩戦争で長期の籠城(ろうじょう)を助けたので「不落の水」と呼ばれた。
 「角埋山は江戸時代は『お留山(とめやま)』と呼ばれて、一般庶民は藩から入山を禁止されており、自然環境もよかったことから森が残ったんでしょうね」と小西さん。
 山頂には本丸、二ノ丸、三ノ丸と城跡が残り、「穴太積(あのうづ)み」と呼ばれる独特な手法で積んだ石垣が築かれて、歴史を感じさせる。360度開けた山頂からの眺めは実に雄大で、この日は少しかすみがかってはいたが、くじゅう連山、万年山、英彦山(ひこさん)、八面山、津江の山々などが一望できた。
 「一昨年2月に、寒風の中、ここで草刈りをしていたとき、角牟礼城の国史跡指定が決まったと知らせがあって、みんなで思わず万歳しました(笑)」と麻生さん。愛する山に勲章をもらったような気分だったのだろう。
 山を下って来た所で、会のメンバー数名が炭焼きをしていた。窯は昨年造り直した新しいもので、秋山幸雄さん(77)らが主になって昔ながらの方法で石を組み、前日に火入れを行ったという。子供のころから父親の手伝いで毎年炭焼きをしていた秋山さんは、「昭和30年代初めごろまではあちこちに炭焼き窯があって、10月から3月初めごろまで炭を焼いていた」という。同会では昔のように山の資源の再利用を図ろうと、風倒木や道の整備で切った木などを木炭にして、地区のイベント時などに配っている。
 「角埋山は『お山』と呼ばれて親しまれ、竹を切ったり、焚(た)き物にする枝を集めたり、遊びに登ったりと暮らしに身近で、私たちの心の中にある山でした。そんな思いが、今こういうことをする原動力になってるんですね」と小西さん。
 歴史の息づかいと豊かな自然を残しながら、”おらが山、つのむれ“は里山に暮らす人びとの心のよりどころであり続けることだろう。
つのむれ会事務局
玖珠町森938
TEL0973-72-4215(荒木)
 
麻生さんの写真
会長の麻生萬里さんは、もと中学校校長。専門の歴史のお話に及ぶと、熱弁になる
下刈りの様子
「草が勝つか、つのむれ会が勝つかじゃ!」と叫びながらやったこともあるというほど、下刈りは大変な作業。「でも下から眺める山の花や紅葉が、自分の流した汗とかかわって見えるのがいい」という
角牟礼城跡の写真
角牟礼城の跡。石垣は穴太積みという様式で、自然石のみが使われ一見無造作に見えるが、堅固さを誇る
小西さんの写真
副会長の小西保喜さんもやはりもと校長先生。「ここを校区とする小学校に勤めたので、今この活動に燃えてるんです(笑)」
角埋山の写真 険しい岩に囲まれた角埋山。
 山頂に築かれた角牟礼城は、「不落の城」として知られる
 
クマノミズキ ケヤキ アオガシ
マメヅタの写真 カゴノキ ムクノキ
広葉樹の多彩な木肌を楽しみつつ森を歩く。
アオガシ(右上)、ムクノキ(右下)、ケヤキ(中上)、カゴノキ(中下)。
主な木には名札も。“環境のバロメーター”マメヅタも多い(左下)
 
森の写真
老いた木はやがて朽ちて土に還り、豊かな森を育む
集合写真
つのむれ会の主力メンバーは、定年退職後の60〜70代が多いが、皆さん体力も気力も十分
風景写真
角埋山から見た里山の風景
炭焼きの様子
秋山さんの写真
つのむれ会は伝統的に「すべて自力で」がモットーだが、今年度、新設された森林環境税を活用した県の「美しい里山づくり支援事業」に応募し、初めて補助金を受け、炭焼き窯を造り替えた。番をしているのが秋山幸雄さん
山の写真森の写真雪原の写真
石畳の写真 神社の写真 茶室の写真 公園の写真
角埋山麓に残る歴史遺産の数々。右から旧森藩主が造った三島公園(2006年10月「日本歴史公園百選」に選定)、藩主の茶室「栖鳳楼(せいほうろう)」、末広神社。旧森藩の参勤交代道の貴重な石畳(左端)はつのむれ会で草刈りして整備した

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