ちょっとお先にターン人

経験と努力の結晶、自分の店を大分で手に入れた女性実業家

 豊後大野市にある特別養護老人ホーム「偕生園」で働く矢野博之さん。高齢者の方と笑顔でコミュニケーションを交わす矢野さんのUターンストーリーは、大学卒業の春から始まる。
 大分市内に実家がある矢野さんは、大学を卒業後、地元企業に就職したが一年目に熊本支店への配属が決まる。医療・薬品関係の営業職に就き、熊本で慌ただしい毎日を過ごしていた。
 大分を離れて9年目を迎えたとき、矢野さんの心の中にひとつの疑問が生まれた。「夢中で働き続けて30歳を過ぎ、自分はこの仕事を、しかも他県で一生続けたいのか? と。未来の自分の姿に不安を抱いてしまったんです」。そんなとき、人生の転機となる出会いが訪れる。
 「当時、彼女(現在の妻)が福祉関係の仕事をしていて、その話をよく聞いていたんです。最初は興味半分だったのですが、次第に魅力を感じ始めたんです」
 社会福祉士の資格を取る条件のひとつに、福祉系の四年生大学卒業があり、これを満たしていたことを有利に思い、社会福祉士になることを決意した矢野さん。だが、資格取得のためには、さらに福祉系の専門学校に1年間通う必要があることを知る。そのとき頭に浮かんだのが、大分への帰省。新しいことにチャレンジするにあたって、地元のほうが環境面も金銭面も安心して勉強に打ち込めると考えたのだ。そして仕事を辞め、熊本から大分へ戻って新しい人生への挑戦が始まった。実家から大分市内の専門学校に通い、見事、社会福祉士の資格を取得。現在の職場である「偕生園」に就職し、プライベートでも最愛の女性と結婚。2児の父となった。
 今、社会福祉士として5年目を迎えたが、福祉の現場では相手の話を聞く、笑顔で対応する、気配りを忘れないなど営業の経験が生かされてるという。
 「子育て環境、実家との交流、美しい自然など、福祉の仕事に就き家庭を持ったことで、若い時は気づかなかった大分で〈暮らす〉魅力を実感しています」という矢野さん。生まれ育った場所、県外から見つめていた故郷、そして新しい生活のステージ。矢野さんにとって大分は、いつの時代もかけがえのない人生のホームグラウンドなのだ。

「ベルーナ」の写真
新館も建ち、明るくのびのびとした雰囲気の「偕生園」。中九州自動車道を利用して通勤

飼い犬のミニチュアダックスフント2匹の写真
高齢者やそのご家族とのコミュニケーションを取ることはやりがいのある仕事

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