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降灰対策マニュアル

印刷ページの表示 ページ番号:0000296016 更新日:2022年7月8日更新

 

 《生産者のみなさまへ》 

  令和4年7月8日に気象庁より伽藍岳(由布市)の噴火レベルがレベル1からレベル2に引き上げられたとの発表がありました。8日現在、噴火はしておりませんが、今後の火山活動の動向に注意してください。噴火が発生し降灰により作物に火山灰が付着した場合は、下記マニュアルを参考に対策を行ってください。なお、阿蘇山については令和4年4月15日に噴火警報が解除されております。

1.共通対策

(1)農作物・施設

   作物や施設(被覆資材)に火山灰が付着した場合は、作物を傷めないよう風圧、水圧に注意しつつ、ブロワー、ミスト機等で払い落とした後、散水機等により速やかに洗い流しします。散水により洗い流す場合には、十分な水量で行い、火山灰等が残らないようにします。また、降灰が続いている場合には火山灰が固まってしまいますので、降灰が収まってから作業を行うようにしてください。
 
(2)土壌改良
    火山灰は噴火毎にpHや成分が異なります。また、圃場によってもpH、ECは異なりますので、対策前には火山灰のpHおよび圃場の土壌分析を行い、土壌pHが作付品目の適正範囲となるように矯正します。
    降灰量が少なくても火山灰が強酸性の場合には、作付前に酸度矯正資材(石灰等)と堆肥を入れて良く土壌混和します。
    茶については、酸性土壌を好むことから、火山灰のpHが4.5を下回らない限り、酸度矯正は不要です。
    降灰する火山灰が微細な粒子の場合、降雨によって柔らかくなったり、その後、乾燥すると固くなったりします。厚さ2cm未満の場合は、降灰が収まったら、天候に注意しつつ速やかにすき込み、または除去を行います。しかし、厚さ2cm以上の大量の降灰は、そのまますき込むと土壌肥沃度や土壌物理性を低下させる可能性が大きいので、可能な限り圃場外に持ち出します。
   最適pH
 
  
 
表2 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
   火山灰をすき込む圃場では、土壌の保肥力と肥沃度を維持するために堆肥(牛ふん堆肥が望ましい)を施用します。施用量は、通常用いる堆肥の量に降灰深1cmあたり500kg/10aを目安に増量投入を行います。ただし、水田の場合、元来地力の高い圃場では倒伏の恐れがあるので、施用量に注意して下さい。
 
(3)作業時の留意事項
   降灰が予想されるときに農作業を行う場合には、防護メガネ、防塵マスク、火山灰が皮膚に付着しないように長袖、長ズボン、タオル等を着用してください。呼吸器系の疾病がある場合には、特に注意して作業を行ってください。
 

2.作物別対策

(1)水稲
ア.育苗時に降灰が予想される場合には、散水時に洗い流すようにし火山灰が付着しないようにします。
 
イ.圃場に多量の火山灰をすき込んだ場合には、土性が砂質に寄ることがあります。使用する除草剤によっては薬害が出る恐れがありますので、薬剤の選択には十分注意してください。
 
ウ.稲体に火山灰が付着した状態で、収穫や防除等の機械作業を行うと吸気システムの故障や、刈り刃の損傷が生じやすくなりますので、火山灰の除去や機械の整備に努めてください。
 
 
(2)麦類 ・大豆
ア.土壌の好適なpHは小麦で6.0~7.5、大麦6.5~8.0、大豆は5.5~7.0であり、特に大麦では酸性障害が発生しやすくなります。播種前にpHの低い降灰があった場合には必ず酸度矯正資材(石灰等)を入れ中和してください。
 
イ.株に火山灰が付着した状態で、収穫や防除等の機械作業を行うと吸気システムの故障や、刈り刃の損傷が生じやすくなりますので、火山灰の除去や機械の整備に努めてください。
 
 
(3)露地野菜
ア.圃場で生育中に降灰があった場合は、ブロワー、ミスト機等で火山灰を除去した後、動噴、散水機などにより洗い流します。洗い流す場合は、火山灰が残らないように十分な水量で行い、また、降灰が続いている場合には火山灰が固まってしまいますので、降灰が収まってから作業を行うようにしてください。
  
イ.収穫期の葉茎菜類は、降灰が予測される場合にはできるだけ収穫を急ぎます。
 
ウ.収穫物に付着している火山灰については、野菜洗浄機などにより速やかに洗い流します。
 
エ.草丈の低い野菜ではトンネルやベタがけ等による被覆で降灰の付着を防止します。ただし、降灰の無いときには除去して十分に光を当てるようにしてください。
 
  
(4)露地花き
ア.育苗時、降灰が予想される場合、育苗床はビニール等の被覆資材で被覆します。
 
イ.火山灰が茎葉に長時間付着すると生育不良となりますので、降灰が収まったら速やかに除去します。洗い流す場合には、火山灰が残らないように十分な水量で行います。
 
ウ.降灰により傷がつくと、傷口から病原菌が侵入しやすくなります。病害の発生に注意し適切に防除を行ってください。
 
 
(5)露地果樹
ア.付着した火山灰は、ブロワーやスピードスプレイヤーなどにより払い落とします。新梢や蕾みなどを傷つけないように風圧に注意しつつ作業を行ってください。火山灰を除去した後は、十分な水量で動憤、スプリンクラーなどにより洗い流します。
 
イ.収穫物の除灰については、細かな火山灰が果梗部等に残ることが多いので、柔らかなハケなどにより、丁寧に払い落とします。
 
ウ.降灰に伴って、急激な落葉が見られた場合にはカルシウム塗布剤などにより日焼防止を行います。また、樹勢の低下が見られるときには、葉面散布などにより樹勢の回復に努めます。
  
エ.降灰の量が多く果樹園の地表面が長期にわたって覆われると、根の発達が妨げられ、活力が落ち、樹勢が低下します。火山灰を取り除くと共に灰が強酸性の場合には酸度矯正資材、バーク堆肥等の有機物の施用を行います。
 
 
(6)施設園芸
ア.降灰中のハウス管理
  (ア)降灰の最中には灰がハウス内に侵入しないようにハウスを締め切ります。
 
イ.降灰後の管理
  (ア)ビニールハウス等の被覆資材面に降灰があると、光量が減り生育に悪影響を与えます。また、喚気窓の開閉が困難になるなどの可能性もありますので、降灰があったときにはその都度、動憤に高圧ノズル、鉄砲ノズルを付け高圧で洗い流してください。降灰が続いている場合には火山灰が固まってしまいますので、作業は降灰が収まってから行うようにしてください。
  
  (イ)被覆資材面に残る微細な火山灰は、洗浄しても落ちないため布などの柔らかいもので、できるだけ傷つけないように拭き取ります。
  
  (ウ)植物体に付着した場合は、幼果(花)への被害や、葉への付着による同化能力の低下を防ぐため、降灰後は速やかにブロワー等による払い落としや、動噴等による洗浄を行います。
  
  (エ)光線不足による軟弱徒長や、降灰による傷口からの発病が多くなるため、適期・適正防除に努めてください。
  
 
(7)茶
ア.火山灰が葉に付着している場合にはブロワー等で払い落とし、スプリンクラー、洗浄機等で洗い流します。
  
イ.機械作業を行った場合、作業後、点検整備を行い機械に付着した火山灰を除去してください。
 
 
(8)葉たばこ
ア.育苗期間中、ビニールハウス等の被覆資材面に降灰があったときには、その都度、動憤に高圧ノズル、鉄砲ノズルを付け高圧で洗い流し、ハウス内への光線の透過を良好に保ちます。降灰が続いている場合には火山灰が固まってしまいますので、作業は降灰が収まってから十分な水量で行うようにしてください。
 
イ.生育期間中、葉の表面に火山灰が付着すると生育に悪影響を与えるので、降灰が収まったら速やかに動力噴霧器で洗い流します。
  
ウ.収穫・乾燥後の乾葉に火山灰が付着している場合には、柔らかなブラシやブロワーを用いて火山灰を除去します。
 
(9)しいたけ
ア.現在発生中のほだ木は、早急にビニールで被覆し、火山灰の付着を防ぎます。
    なお、被覆中はほだ木が過乾燥にならないように注意し、降灰予報を確認し適宜ビニールを開放するか、必要に応じて散水により水分補給をします。
    しいたけに火山灰の付着が確認された場合は、乾燥後に、ブロワーやコンプレッサー又は柔らなハケで火山灰を丁寧に除去します。生しいたけ出荷の場合は、コンプレッサーで一つ一つ丁寧に除去します。
 
イ.多量の降灰が想定される場合は、ほだ起こしで集積中又は伏せ込み状態のほだ木をビニールシート等で被覆します。
     火山灰の堆積を確認した場合は、ほだ場に展開する前にブロワーや動噴等で付着した火山灰を除去するか、展開後にスプリンクラー等の散水により洗浄除去し、降灰に備えてほだ木をビニールで被覆します。
 
ウ. ハウス栽培に堆積があった場合は、ハウスを閉め天井等に堆積した火山灰をブロワーや動噴等で除去、洗浄します。
 
エ.降灰が長期化し、しいたけの接種作業時期に火山灰が原木に堆積した場合は、ブロワー等で除去して接種穴に火山灰が入らないように接種作業を行います。
    接種後は、笠木等をかぶせ降灰を防ぎます。
  
 
(10)畜産
ア.火山灰を多く含む飼料の給与は下痢等を起こすことがあるため、できるだけ火山灰を落として給与します。(少量の付着であれば、特に家畜の健康に問題はありません。)また、火山灰の付着により嗜好性が低下した場合は、火山灰の付着していないものと混合して給与します。
  
イ.飼料作物の収穫や稲わらの収集にあたっては、極力、火山灰が混入しないよう天候や風向きに留意して作業を行います。
  
ウ.飼料作物や稲わらの保管にあたっては、貯蔵施設を密閉したり、シートをかぶせるなどして、火山灰が入らないように工夫します。
 
 

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