平成28年3月23日知事臨時会見(東九州新幹線の調査結果の公表)
日時:平成28年3月23日(水)14時30分~
場所:第一応接室
交通政策課長 ただ今から、東九州新幹線調査の結果概要についての記者会見を行いたいと思います。
初めに、広瀬知事から調査結果の概要について説明をお願いいたします。
東九州新幹線の調査結果の概要について
広瀬知事 それでは、私から説明させていただきます。東九州新幹線の効果について調査をしてまいりました。東九州新幹線鉄道建設促進期成会は、東九州自動車道と同じ4県1市で構成されています。そこから野村総研に調査を委託しまして、その調査がまとまってきましたので、今日、発表させていただこうということであります。
一番大事なことは費用対効果の検証ですが、それには最初にルートを仮定せざるを得ないということで、まず、ルートについてあげられています。全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画では、「福岡市を起点とし、大分市付近、宮崎市付近を経由し、鹿児島市を終点」とするルートが示されています。いろいろなルートがあり得るわけですが、起点と終点と経由地が示されているということで、それを念頭に置いて「新幹線の線形を考慮したうえで起点・終点・経由地を最短で接続する」とどうなるかというと、やはり現在の日豊線のラインに近いものになるだろうということで、この赤い太線を前提にして作業を始めました。
それから、所要時間についてですが、一応ルートを設定しますと距離が出ます。速度をどう考えるかは、九州新幹線や北陸新幹線の実績がありますから、一時間当たり約210キロという速度を前提にして計算をすると、例えば、北九州・大分間は現在83分、1時間23分かかっていますが、これが31分となり、実に52分の短縮になるということであります。大分・宮崎間は3時間9分かかっているのが48分となり、141分の短縮となると計算しております。所要時間の短縮は一番大きな利便性ですが、こういった調査結果が出ています。
他方、整備費用がどのくらいかかるかということですが、簡単に言いますと、設定ルートの通過区間の標高データー等を基に、橋梁や高架橋、トンネルがいくつ必要かとかいうことが大体分かってくるわけです。それに、今までの新幹線整備でかかった橋梁やトンネルの単価を掛け合わせて計算してみたということであります。 そうすると、図表3にありますように、合計2兆6,730億円となり、県別では大分県9,000億円、宮崎県1兆430億円という数字が出てくるということです。この大分県の9,000億円という数字は、先ほど申し上げましたように、大体このぐらいの橋がいるだろう、このぐらいのトンネルがあるだろうということで、構造種別に応じてそれぞれ単価を掛け合わせたものを合計して、総整備費用を計算しているわけであります。
この整備費用は、現行の財源スキームでは運行事業者、つまりJRが支払う新幹線鉄道施設の貸付料、貸付料というのは鉄道建設・運輸施設整備支援機構がつくったものをJRが借りて貸付料を払うことになるわけですが、それと、国と地方負担による公費で賄われることになるわけであります。地方には国からの交付税措置がありますので、この2兆6,730億円が各県どのぐらいの負担になるかというのが図表4です。(注)をご覧いただきますと、運行業者のJRが払う賃借料を年100億円とし、残りを国が2/3、地方が1/3負担するとして試算します。その地方の負担分には地方債を充てることができ、50%から70%が交付税措置されるという仕組みをそのまま適用するとどうなるか計算しているわけであります。「参考:地方負担の計算イメージ」とありますが、宮崎県内の地方負担どうなるかというと、宮崎県の整備費用1兆430億円のうち、1,170億円が貸付料相当額、これは全体の貸付料相当額が約3,000億円で、その内、宮崎県の分が1/3以上ありますから、概ね1,170億円ぐらいを宮崎県に割り当てて、これを引いたものが公費負担分となります。宮崎県はこの1/3を負担することになりますから、ここに1/3を掛けて、それを30年で償還するとして、年間の償還額を試算すると103億円になるわけであります。
大分県の場合を同じやり方で計算しますと、整備費用の総額が9,000億円です。この内、宮崎県の1,170億円に相当する貸付料が大分県の場合には1,011億円ということになります。9,000億円から1,011億円を引いて、それに1/3を掛けて30年で割ると、大体89億円ぐらいになります。大分県の負担額に書いている89億円というのがそれになるわけです。その内90%を地方債でみて、10%を一般財源でみるということになりますから、89億円のうちの10%、約9億円を一般財源でみなければならないことになります。残り80億円を地方債でみることになりますが、その70%が交付税措置される場合ですと、負担は24億円になるわけです。24億円に一般財源の9億円を足すと33億円でして、つまり70%交付税措置をされると年間で33億円負担することになります。50%しか交付税措置がとられないことになると、80億円の50%で40億円、それに一般財源の9億円を足して49億円を負担するという感じで計算ができるわけであります。
整備期間がどのくらいかかるかというと、九州新幹線は整備計画に格上げになって38年かかりましたので、30年、40年の期間を考えておかなければならないということになるわけです。
このようにして需要を予測してみるとどうなるかということですが、需要予測は、申すまでもありませんが、経済の状況や人口をどう見るかが大変大きなウエイトになります。図表6は、国立社会保障・人口問題研究所の例の予測、2050年には1億人を切る、2100年には5,000万人を切るというあの数字を前提にしています。図表7は、地方創生で国も目標を掲げて取り組む、その目標と同じ目標を大分県や宮崎県も掲げて取り組むという人口ビジョンを前提に計算しています。
この需要予測については、先の記者会見で少し申し上げましたが、在来特急からの移転どうなるか、在来特急以外に航空機、バス、自動車からの転換需要がどうなるかを細かく計算して、総数を出しているわけであります。図表7は人口減少が少ないということで平均が少し高くなっています。全区間平均をみますと、2040年は図表6では10,190人、図表7では10,770人です。2060年は図表6では9,950人ですが、図表7では人口が挽回する頃だから11,240人と、2040年よりも多くなってくる計算になっています。これはまさに人口がどうなるかということに直接関わるわけであります。
それを基に費用対効果を計算していますが、これがなかなか大変でして、先程の図表6を前提にして計算したのが図表8、図表7を前提にして計算したのが図表9です。ちなみに図表6を前提にしたものをみると、2040年から30年間、2060年から30年間とありますが、これは開業が2040年と2060年の場合で、その後30年間の費用対効果はどうかという推計です。その隣は2040年から50年間の費用対効果はどうか、2060年から50年間の費用対効果はどうかという推計です。つまり、開業時期を2040年と2060年の二つ想定して、費用対効果の推計期間も30年間と50年間で出しています。これまでの計算は50年が多いのですが、念のために30年を出しているとご覧いただければと思います。
便益とは、利用者便益と供給者便益、それから便益ではありませんが、事業資産の残存価値を合計しています。例えば、利用者便益は他の交通機関から転換する、あるいは特急から転移する場合の旅客の時間やコストの便益がどうなるかということです。簡単に言うと、北九州から大分までの時間がどのくらい短縮されると、1本当たりどのくらいの便益があるかという計算をして、そしてそれを掛け合わせて、365日を掛けるというような計算で出しています。
供給者便益というのは料金収入です。新幹線の利用者がどのくらいで料金収入がいくらになるかということを前提にしていますが、もちろん、それに利益率を掛けて計算しております。
このようにして便益を出しますと、国の社会保障・人口問題研究所の人口予測で計算した場合には、2040年スタートで30年間の費用対効果は0.89、2060年スタートで0.88となります。50年間では、それぞれ1.12と1.07になると計算されています。
それから、大分、宮崎両県独自の将来人口予測、これは当然、国のビジョンを前提にしたものですが、それで計算をすると、2040年スタートでは30年後は0.98、50年後は1.31、2060年スタートでは30年後は0.99、50年後は1.36となるわけであります。
新幹線等の大きな公共事業の場合には、この費用対効果が1を超えればスタートOKということになるそうですから、50年でこういう数字ならばという感じはいたします。西九州や北陸、北海道の着工時の費用対効果は50年計算で1.10ぐらいですから、そこと大体並ぶということになると思います。
その他の経済効果も計算してくれていまして、設備投資による直接効果、資材費等の波及効果、さらに雇用者等の効果といった新幹線整備による直接的な効果が6兆2,100億円と計算されています。その他に、開業後に見込まれる経済効果として、いろんな効果がある半面、下手をするとストロー効果のような逆効果もあるということも書いてあります。それから、防災等への効果、これは定説的にいつも述べられているところであります。そうしたいろんな経済効果についても、よく議論をしなければならないということになると思います。これはちなみに、産業連関表を使って、九州全体で計算しています。先程の新幹線の費用対効果と違って、九州全体でどれぐらいの経済効果があるかというようにみてください。
以上が新幹線の効果でありますが、そうは言っても、もう一つ、並行在来線の問題があるということも書いてあります。新幹線の並行在来線に係る課題ということで、これまでどうやっているかというと、先行する路線では沿線全ての道府県及び市町村から同意を得た上で整備新幹線の開業時に経営分離をされてきたということがあります。経営分離と言っても、どこが面倒をみるのだということですが、地方自治体が出資する鉄道会社、第三セクターを設立して、並行在来線の経営を引き継ぐことが一般的であると言っています。今後想定されるプロセスとしては、これをまず皆さんによく説明して、どうするかということを議論し、先に進むならば整備新幹線への格上げをどんどん進めていかければならないということになるわけであります。
それから先程言ったように、並行在来線の問題は第三セクターをつくるなり何なりして、手当しなければならないということになるわけであります。並行在来線に係る沿線自治体の財政負担の問題は、例えば鹿児島県では、非沿線市町、民間団体等による寄附によって5億円を積み立て、県と沿線市が継続的な支援をしています。さらに資金不足を踏まえて手当しているということですので、この並行在来線もしっかり検討をしておく必要があると思っております。
以上、野村総研から報告書が提出されましたので、その概要をご説明しました。各県もそうなると思いますが、県内のいろんな方にご説明をしながら、先のことを考えていくことになるだろうと思います。
東九州新幹線調査の結果概要について [PDFファイル/3.69MB]
交通政策課長 ありがとうございました。それではお集まりの記者の皆さま方から、ご質問がありましたらお願いいたします。
記者 今回の結果をどう評価するか、どのように県として受け止めるかというところを一言お願いします。
広瀬知事 費用対効果の面では一応1.1以上となっていますから、そういった意味では前向きに考えられるところが多いのだけれども、ただし、今ご説明申し上げましたとように、経済効果や並行在来線の問題等、課題も多いので、我々自身もよく勉強してみなければならないと思っているし、県民の皆さんにも率直にお話をして、最終的にどうするかをよく考えてもらうということで、今、さてこれでというふうに結論を急いでいるわけではありません。
記者 この費用対効果の数字は、思っていたよりはどうなんでしょう。かなり私はいけているなと思っていますけれども。
広瀬知事 私は、思っていたよりもちょっといいかなと思っています。
記者 毎年、交付税措置を除いても30から40億ぐらい必要になってきますが、県は行財政改革プランを立て、財源・基金を維持している状況なので、その負担に耐えられるのでしょうか。
広瀬知事 そうですね。負担に耐えるように行財政改革をしっかり進めて、とにかく、必要なことはやる。そのために行財政改革をしっかりやるということですが、行財政改革があるから何もできませんよというのでは本末転倒ではないかと思います。必要かどうか、よいかどうかよく議論していただいて、やろうではないかということになったら、また一生懸命、他の財源を絞ってでもやる、こういうことになるのではないかと思います。そこはやはり、将来に向かって必要なことかどうかということですから、行財政改革とはちょっと切り離して考えた方がよいかもしれませんね。
記者 率直に言って、毎年33億円というのが30年間というのはやはり重いですか。
広瀬知事 33億円だけではなくて、並行在来線の負担も出てくるかもしれないので、なかなか大変だと思います。しかし、借金の返済に毎年それ以上のものは出しているわけだから、そういった意味で考えると、それがあるからどうにもならないということではないのではないかと思います。
記者 出す価値は大いにあると思われますか。
広瀬知事 よく議論してもらわなければいけませんね。どう思われますか?皆さんよく議論したらよいと思います。
記者 これから議論されると思いますが、今までの話を伺うかぎり、前向きかなという印象ですが。
広瀬知事 そうですね。少なくとも効果については、予想よりもよいものが出ているのかなということが一つ。もう一つは、しかし負担は馬鹿にならないな、しっかりまた締めてかからなければいかんなという感じを持っています。
記者 県民の皆さんにこれから説明されるということですが、県民の皆さんから出た意見どのように吸い上げて、それを基に何年後ぐらいをめどに結論を出したいというお考えですか。
広瀬知事 これだけ材料がそろっていますから、県民の皆さんのご判断もそんなに時間がかからないのではないかと思います。その皆さんの意見をよく踏まえて、行くか退くか、よく考えればよいのではないかと思います。何年なんてかける必要はないと思います。
記者 年度内は早すぎますね(笑)。
広瀬知事 1カ月もないですから(笑)。
記者 これを基に県民の皆さんにお示しをして判断を仰ぐ、よく議論をしてもらうということですが、具体的にはどういった手法を取るのでしょうか。
広瀬知事 いろんな手法があると思います。まず今日、こうやってご説明をして、メディアを通じて知ってもらうということもあるだろうし、市町村長さんにお話をするということもあるだろうし、また直接、県民の皆さんにお話をするということもあるだろうし、いろんなことを考えていったらよいと思います。とにかくできるだけ分かりやすく、ご説明できるような機会をつくっていくことになりますね。
記者 県民の意見なり判断なりをどう取り入れるかという、その辺りはどうでしょうか。
広瀬知事 よく考えて、9割ぐらいの皆さんがいいなとなればそれでよいし、とんでもないという話になればそれでよいということでしょう。
記者 沿線の首長さんに説明に回るというのはどうでしょうか。
広瀬知事 いろんなことをやるでしょうね。今、何も考えていません。大事なことは県民の皆さんに問いかけて、さて、どうかなあと、知らないうちに新幹線にGOが出たということのないように、できるだけ皆さんにいいなと思っていただくことです。
記者 例えば、県民はいいだろうと言ったと仮定して、実現の可能性はどれくらいあるでしょうか。
広瀬知事 それは恐縮ですが、答えられないですね。ただし、これまでも県民の皆さんがいいじゃないかと、やろうじゃないかということになって、実現しなかったことはあまりないのではないですか。
記者 他の新幹線ではということですか。
広瀬知事 いやいや、大分県内で。
記者 他の事業でということですか。
広瀬知事 そうです。東九州自動車道も40年かかったけれども、できたわけです。実現の可能性はどうでしょうか、難しいからやめておこうなんていうことは聞いたことがない。
記者 難しくてもやるということですか。
広瀬知事 それはそうでしょう。やりたいと県民の皆さんが言った時には、やらなければ。ただし、長い目で見てどうかということを決めなければならない。県民の皆さんにもいろんなお考えがあるから、そのことはよく議論しておかなければならないということです。
記者 皆さんがつくりましょうという意見になったとして、何をこれからやっていかなければならないと思いますか。
広瀬知事 まず、今はまだ、整備新幹線にも指定されていないわけだから、整備計画に入れてもらう努力をしなければならないし、そのために関係の県とも連携しなければならないし、いろんなことが出てくると思います。
記者 県民の中にはソニックで十分じゃないかという声もあるかと思いますが。
広瀬知事 あるでしょう。
記者 知事ご自身は、新幹線が必要だと思われますか。
広瀬知事 先程から言っているように、皆さんの声を聞きたい。皆さんがこの費用対効果をどのように見るかです。それから、やはり我々の代だけでこれを判断できないところがありますよね。これは随分責任があると思います。つくらなければよかったのにと思われないように、つくっておけばよかったのにと思われないようにしなければならないのですから。
記者 図表9ですが、新幹線がいつ開業するか、B/Cの期間を30年にする50年にするかで、こうした試算をされていますが、これについて詳しく教えていただけないでしょうか。
広瀬知事 整備期間をご覧いただくと随分時間がかかっていますよね。ですから、スタートは早い方が効果は高いが、難しいかもしれないから、2060年時点というのも考えておかなければならないということだと理解しています。
記者 期間が30年と50年で2通りある点はいかがでしょう。
広瀬知事 普通は50年だけでよいが、今の制度では償還を30年でやっているから、そこも一応出しておこうということです。
記者 この結果について、宮崎県は昨日、担当課レベルで説明をしているということですが、特に宮崎など他の県の首長さんとどのような議論を交わされたのでしょうか。
広瀬知事 宮崎県とは特に交わしていませんが、ただ事務的には同じものをもらっていますから、期成会の事務方として、野村総研ともしっかりやり取りをしていると思います。そこの連携はよいのではないでしょうか。
記者 他の関連県の知事とお話などはまだされていませんか。
広瀬知事 まだ、そういう段階ではないです。まだ、事務的に調査の段階ですから。
記者 わかりました。
記者 マイナス面も考慮しなければならないとありますが、例えば、福岡からこれだけ近くなれば、別府など県内の宿泊がる、大分県はただでも宿泊日数がかなり少ない、全国的に見ても少ないので、いかにお金を落としてもらうかが課題だと思います。観光客が来ても泊まらないということだと、どっちがプラスなのかわからないというか、なかなか難しいと思うのですが、その辺の近すぎるがゆえのデメリットというのはいかがでしょうか。
広瀬知事 それは、東九州自動車道の時にもそういう議論は大いにありましたよね。道がよくなると通過点になるぞという議論があって、その時には、いかに通過点にならないようにその都市の特長、魅力をつけていくかが地域の課題になるということでした。地方創生でますますそういうところが大事になってきたので、私は、このストロー効果があるからじっとしていた方がよいというのは歴史の流れに逆らうことになるのではないか、むしろそれをどうしのぐか、そこが地方の知恵の見せどころだと思います。別府と北九州・福岡のことを考えてみますと、近くなればこちらのお客さんが増えることだけしか、私は思い浮かばないのですが。
交通政策課長 よろしいでしょうか。これをもちまして、記者会見を終了させていただきます。
広瀬知事 よろしくお願いします。
※知事及び記者の発言内容については、単純ミスと思われる字句、重複した言葉づかい等を整理の上、作成しています。[記録作成:企画振興部広報広聴課]
