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平成29年度学力向上検証会議

印刷用ページを表示する掲載日:2018年2月16日更新

平成29年度「中学校学力向上対策支援事業」及び「中学校学力向上対策支援事業」に係る
第1回学力向上検証会議 記録

【目的】 平成29年度大分県学力定着状況調査及び全国学力・学習状況調査の結果等をもとに、平成28年度間の本県の学力向上対策の検証を行うとともに、課題解決に向けた取組について、外部有識者、各市町村学校教育主管課長等と協議し、今後の施策の改善充実を図ることで、本県の児童生徒の学力向上に役立てる。 
【日時】 平成29年9月12日火曜日
【会場】 大分県庁舎 新館14階大会議室
【内容】
1 開会行事【挨拶 岩武教育次長】
○全国学力・学習状況調査の結果が過去最高の結果になったことに感謝する。子どもたちの頑張りが結果となって表れた調査結果であると思う。また,質問紙からもよい結果(傾向)が見られることを嬉しく感じている。しかしながら、市町村や地域、学校によってまだ差が見られることも事実であり、子どもの将来の夢が叶うようにために教師の指導力を更に付ける必要がある。
○私たち教育委員会関係者は、どこをどのように改善すればよいかを的確にとらえ、わかりやすい言葉で相手にわかるように伝えることが大切である。
○学習指導要領の改訂にあたって計画的に準備を進めるとともに、新大分スタンダードによる授業改善を今後も進めていただきたい。

2 協議(13時45分~15時00分)
(1)平成29年度大分県学力定着状況調査及び全国学力・学習状況調査の結果分析について
【説明:義務教育課 武野参事】
◇説明資料
 ○平成28年度間大分県学力向上対策の総括及び今後の取組
 ○全国学力・学習状況調査 児童・生徒質問紙経年推移グラフ 大分県
 ○全国学力・学習状況調査 学校質問紙経年推移グラフ 大分県

(2)今後の学力向上対策について【指導・助言:上智大学総合人間学部 奈須正裕教授】
【大分大学教育学部附属中学校<三代校長>から取組の説明】
 ◇附属中学校の3つのミッション
 (1)実践力に富んだ生徒の育成  ➁質の高い教育実習  ➂地域の学校への貢献
  ◇4つの取組の柱
   (1)部活動(休養日週2日、部活動時間の縮減、外部指導者等導入)
     ・水曜日と土日のどちらかを休養日にあてる。(大会前、土日実施の場合は月曜日に休む)
     ・積極的な外部指導者の導入(予算依頼、人選、関連規定の見直しと修正)
   ➁勤務時間と運営(出勤退勤時間の管理と改善、会議等の見直し、厳正な健康管理)
     ・タイムカードを導入。5月中の結果では、昨年度より1日20分の勤務時間の縮減ができた。
   ➂通常の授業(授業観察と板書のクオリティーup、教科の縦持ち、生徒と共に創る授業)
     ・一人の教員が2学年を縦持ち、空いた時間は教科部会に充てる。(教科部会の充実)
     ・縦持ちが機能するかは教科部会が鍵であり、教科部会が持てないような縦持ちを実施しても効果は上がらない。
     ・テスト問題についても3学年分を3人教員で検討しながら作成している。100点の内の30点分はB問題形式にし、ベテランの教員が作成している。その後、全体を教科部会で検討することで、テスト問題作成の観点からも教科部会を充実させることで、教科指導力の向上を行っている。
     ・教科部会の内容を教務主任が事前に提案し、教科部会で進捗の確認等を行っている。
   (4)研究や実習の方法(実習指導時間の固定化と効率化、多様な地域貢献、小中連携の推進)

【宇佐市教育委員会<竹下主幹>から管内の取組の説明】
 ◇共通のテスト問題作成
     ・6年前に小規模校の先生方から、一人では教科研究ができないという声が聞かれた。市内に7つの中学校があるが当初は2校からスタートした。効果がみられるようになり3年前から他校にも広がった。
     ・つけたい力をつけるための問題として、どういった問題が適切なのかを話し合いながら作成することができ、結果(客観的データ)から自分の実践を振り返るきっかけになり、授業改善につながっている。
     ・結果を比べることで、特に若い先生方の間でモチベーションのupにもつながっている。
     ・校長先生方のリーダーシップにより組織的な取組が実現している。

【臼杵市教育委員会<小林課長>から管内の取組の説明】  
 ◇教科部会の充実
     ・臼杵西中学校が中学校学力向上対策3つの提言推進重点校の指定を受け、昨年度末から先生方の意識改革を行った。
     ・一人一人の先生方が教科部会に参加し、授業のシミュレイションをしたり、評価問題を話し合ったり、悩みの相談をしたりできるような体制ができている。
     ・教科部会のミドルリーダーが中心となって、自校だけでなく、市全体の学力の分析に参加してもらう
ことで、教科部会がより深まっていく体制ができている。

【奈須教授からの指導・助言】
 ◇学力について
     ・学力というとテストに目がいくが、テストの点数だけによらないことが大事である。
     ・教科をどう教えるかに終わらず、「教科は特性」「教科の見方や考え方」「この教科は何のためにあるのか」「この教科はこんな勉強をしてこんなことができるようになる」などの本質を教えることが大切である。(ヨーロッパの教科書には書かれている)
      ・1年間もしくは3年間を通して、子どもたちがどう変容したか、どのような力が身についたかという視点も大事である。
 ◇部活動について
     ・部活動については地域との世論形成が大事である。世界的に見ても部活動は日本だけのものである。
     ・社会体育、社会教育に移行した方がシニア層の活躍の場になり、地域の活性化や地域のコミュニティーの形成の場にもなる。
 ◇負担軽減について
     ・学校は雑務が多い。地域によって、学校によってシステムが違い過ぎることが、先生方の負担につながっている。全国どこでも一緒のシステムが使えるなどの見直しが必要である。

【大分大学附属中学校<三代校長>から部活動の成績説明】
 ◇附属中学校の今年度の中体連の成績(週2回部活動休養日、平日2時間程度の練習の結果)
     ・バスケは九州大会 ・合唱部九州大会 ・テニス個人九州大会 など

【杵築市教育委員会<堀課長補佐>から管内の取組の説明】  
 ◇授業アイディア例を活用した学力向上の推進
     ・数年まえから、授業アイディア例を取り入れた授業を呼びかけているがなかなか進まない。そこで、学力向上支援教員の先生に公開授業の中で取組んでもらい、できるだけ見に行くようにしている。昨年度は、小学校5年生と中学校2年生で実施した。
     ・昨年度、数学の習熟度別指導推進教員の公開授業になるべく参観してもらう。また、ただ参観してもらうだけでなく、事前の教科部会の中で指導案の検討をしてもらい、検討してもらった授業を参観することで教科部会の議論がより深いものになったと感じている。
     ・このような取組の結果 ⇒ 全国学力学習状況調査で数学Bが全国平均正答率を上回った

【大分市教育委員会<小野参事補>から管内の取組の説明】 
 ◇大分市学力向上ハンドブックについて
     ・今年度大分市の学力向上ハンドブックを作成し、全教員に配布予定である。
     ・昨年度、新大分スタンダードを踏まえ、大分市の取組の重点を示した『大分市立中学校授業づくりの5つのポイント』をA41枚で作成した。これは、あくまで方向を表したもので、より確実な学校の取組につなげるために、大分市学力向上ハンドブックには、ポイントごとに具体例を示した。
     ・学力向上は学習状況全体から迫る必要があり、全国学テの質問紙等を分析し、5つのポイントにまとめ示したものである。市内の学校のよりよい取組の紹介や、市の教育センターや課の政策を紹介し、活用を促すものになっている。
  <授業づくりの5つのポイント>
     (1)各種学力調査の活用  ➁家庭学習の充実  ➂補充学習の充実  (4)Ictの効果的な活用   (5)書く力の育成

【奈須教授からの指導・助言】
 ◇教科書で教えるとは
     ・教科書を教えては駄目で、教科書で教えるとは具体的にどういうことかを理解する必要がある。
     ・採択教科書がなぜこうなっているかを理解しない限り教えられない。教科書の意図を理解することが大事である。
     ・学習指導要領の内容事項を理解し、教科書の意図や仕組みを理解するのは採択教科書だけでは難しく、他の会社の教科書と比較することで、そのようなことが見えてくる。
     ・教科書で何を教えるかの本質が大事であり、そこを授業者が理解していると、教科書を使っても良いが、使い方が変わってくる。
・昔自分たちが教わった経験値や実践を若い先生方に伝えられていない。実践してきた伝統的なノウハウや財産を掘り起こし、整理して継承していくことが大切であり、それが学力向上にもつながる。
     ・新しいことをやらなければいけないじゃなく、今、足下にあることをきちんとやっていくことが大事である。

【教育改革・企画課 能見課長からの質問】
  ◇『平成28年度間大分県学力向上対策の総括及び今後の取組』のP29に、中学校2年生数学の効果的な指導について研究をする必要があるという分析がなされているが、その根拠として、P10において、経年で並べた資料を準備していただいている。その中で県学テと全国学力調査を同一で比較しているが、そのことに対する是非についてどのように考えているか。また、中学校2年生に力を入れていく必要はあるように思うが、その一番の問題が小6の指導にあるのか、中1の指導にあるのか、中2の指導にあるのか、そのあたりをどのように分析して、中学2年生の効果的な指導について研究をする必要であると分析されているのか説明していただきたい。

【義務教育課 米持課長】
 ◇県学力調査は偏差値で全国学力・学習状況調査は平均正答率で比較しているが、4年間でどのように変化しているかを、同じ集団を見た時に、中学校2年生の間に力を落としているのではないかという分析ですが、武野参事・・・・・
【義務教育課 武野参事】
 ◇これまで全国平均並みを目指してきた。県調査において偏差値50は全国のラインだと考えている。小学校の方が先に全国平均並みの力をつけてきており、小学校6年生の全国調査も全国平均に近づいてきた。県調査を始めた平成16年頃は、すべての教科で偏差値50に届いていなかった。やっと最近(5、6年前頃から)になって、すべての教科が全国平均、偏差値50を超えるようになってきた。
 ◇ちょうど真ん中という意味では、県調査では偏差値50、全国調査では平均正答率であり、同じ基準ととらえて比較できると考えている。
 ◇また、P5の一番上のグラフをみると、H29中学校3年生はH26小学校6年生であり、このとき初めて全国の平均正答率を超えた学年である。そして今年H29でも全国の平均正答率を超えてはいるが、伸び方としては下がっている。今年は国語が良かったので、数学が影響していると考えられる。
 ◇中学校3年生の全国調査では、中学2年生の学習内容までなので、当然中学1年生の学習内容も含まれてはいるが、中学2年生になって学習内容が難しくなるであるとか、1クラスの生徒数も増えるといった原因もあると考えている。

3 講演
〈演題〉 「教師個人や学校全体の指導力を高めるため、教育委員会は何をすればよいか」
〈講師〉 上智大学総合人間学部教授 奈須 正裕 氏

(1)これからの時代に求められる在り方
 ・今回の学習指導要領の改訂は、何を教えるのかについては変化の小さい改定である.
 ・全国学力学習状況調査の結果も上と下の差が縮まり、Pisa等の国際学力調査の結果も高い。
 ・今回の改訂で注目すべき点の1つは3つの資質、能力
  (1)何を理解しているか、何ができるか(知識・技能)
  ➁理解していること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力)
  ➂どのような社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(学びに向かう力・人間性等)
 ・学習指導要領の4ページの前文には、この国が何を目指すかが書かかれており、目指す社会がかわってきている。
 ・人工知能の発達により、社会は変化し、単純作業をしなくてよい時代になる。やり方を理解することは大事だが、早くする必要はない。速さや正確さはコンピュータに勝つはずがない。だから何ができるようになればよいか。
 →より人間的な教育ができるととらえる
 →それをどう使いこなすかの方が大事
(2)学力論
 ・これまでは、A問題を学力ととらえていた。(速く正確に!)これからは、資質・能力を中心としたB問題的学力が大切である。知っていることを使って何ができるようになるかの方が大事である。更には、対人関係も大事であり、学びに向かう力も大事である。これらは、昔から言われてきたことではあるが、テストが変わらなかった。しかし、大学改革も進んでおり、テストの質も変わってくる。
 ・コンピテンシー(1970年ごろ) という用語は人事管理、組織経営:コンピテンシーマネジメントにおいて使用
 ・知識をたくさん持っていれば人生成功しているのか調査した結果、相関がなかった。
  (1)優れた問題解決に必要十分な原因=コンピテンシー(資質・能力)による学力論の再定義)
  (2)非認知的能力の学力論への組み入れ要求
  (3)知識の質(自在に活用の効く知識=思考力)の抜本的改革
     いろいろ知識と知っていても意味がない!沢山の知識をもつことはそれほど大切ではない
 ・マシュマロテスト 幼児教育の質が生涯にわたる可能性を示唆している(教育の可能性を示す研究)
 ・A問題とB問題(Aを教えるだけでは、永遠にB問題はできない)
   ⇒ 知識ばかり教えても活用できるようにはならない!

(3)新学習指導要領(資質、能力、内容、教育方法)について
 ・10か月にわたって教科等別部会が立ち上がらなかった ⇒ 特別部会
  指導すべき個別の内容項目の検討に入る前に、まず学習する子どもの視点に立ち、教育課程全体や各教科等の学びを通じて「何ができるようになるか」という観点から、育成すべき資質・能力を整理する必要がある。その上で、整理された資質・能力を育成するために「何を学ぶのか」という、必要な指導内容等を検討し、その内容を「どのように学ぶのか」とい う、子どもたちの具体的な学びの姿を考えながら構成して行く必要があった。
 ・子どもに何ができるようになるのか、子どもがどのように学ぶのかを徹底的に議論した。
 ・主体的、対話的で深い学びの実現のポイント
    (1)これをすればいいという考え方、型にはめては駄目(大枠はあってもよい)
    (2)子どもの事実を共有することが大切
    (3)すべての子どもは生まれながらにして学ぶ力をもっている
 ・意味が発生する学習 ⇒ 深い学び(子どもが持っているものと関連付ける) 
 ・子どもたちは活用できる知識を持っている。それを教科の中で関連付けてあげることが大切である。
 ・子どもの研究と教科の研究を進めることが深い学びにつながる。
 ・いろいろな意見を教科の概念でまとめてあげることが大切である。
 ・子どもは自分と関連付けて学ぼうとしている。(主体的な学び)
 ・子ども自身に問いがあれば学びは深まり、教科の本質は子どもの問いの中に必ずある。
 ・オーセンティックな学習(学びは状況に埋め込まれている)現実の社会に可能な限り近づけて学習することが大切である。(具体的に)
 ・足し算(お金の計算)だけなら4歳からできる 
  ⇒ しかし共通の概念を統合して足し算の学習をすることが大切である。
 ・どんな場合に割り算が使えるかがわかっていることが大事。計算できることも大事だがそれだけが割り算ではない。
 ・実験をミス ⇒ 実験を適当にしたから ⇒ 正確に実験をしないとだめ(教科の本質を学ぶ)
 ・実験を整理、統合して概念化していく
  振り子の実験だけでは見えない ⇒ いろいろな実験から整理、統合されて見えてくるものがある

(4)教育委員会は何をすればよいか?
 ・幼児教育の質的充実に向けた独自政策の展開
 ・「学力」とその「育成」に関する概念を刷新する
 ・指導主事の力量向上のため、学ぶ機会を保証する
 ・各教科等の研究会を充実し「見方・考え方」「教科の本質」に関する実践的で学術的な研究をリードしてもらう
 ・子どもの事実を丁寧に語り合う「授業研究」の充実を図る
 ・学校教育目標を実効性のあるものとし、総合的な学習の時間の目標・内容に反映させる
 ・高等学校の入学者選抜のあり方(制度ではなく、主に試験や選考内容)を見直すと共に、地域の研究機関等と連携して、中長期的な視野でそのための人材養成を図る

記録 佐伯教育事務所 石川 文男
    竹田教育事務所 阿南 正樹

平成29年度「小学校学力向上対策支援事業」及び「中学校学力向上対策支援事業」に係る第2回学力向上検証会議   記録      

【日時】 平成30年2月7日水曜日
【会場】 大分県庁舎 新館51会議室
【内容】
1. 開会行事(13時30分~13時40分)
◎県教委挨拶 【米持 武彦 義務教育課長】
 年度内の改善をしっかりとすることで、次年度につなげてほしい。市町村の実践の評価をし、大分県全体を盛り上げてほしい。全国学力調査は10回目となり、当初は低迷していたが今年度は過去最高の結果となった。学力は子どもにとって欠かせないものである。めあて、振り返り、板書の構造化、学力向上支援教員、福井県のタテ持ちなど大分県は他県から学び、今では他県からの視察も増えた。7人に1人の子どもが貧困状態といわれる中、この連鎖を絶ち、県内のどこでも学力を保証しないといけない。授業の上手い教師が教えると生徒は1・5年分学ぶことができ、そうでない教師が教えると生徒は0・5年分しか学ぶことができないというデータがあり、能力の高い教員は子どもたちに大きな影響力を及ぼす。全国調査が始まったときは市町村で30%の開きがあったが、今は15%の開きに縮まっている。

2. 報告・協議(13時40分~14時35分)
◎平成29年度学力向上対策支援事業の総括 【武野 太 参事】
 (1)「新大分スタンダード」について
  (1)「主体的な学び」を促す授業構想について
   ○ 県教委が示した「めあて・課題・まとめ・振り返り」例の使用については、小学校の教員は90.4%、中学校の
教員は85.3%で中学校においては昨年よりも伸びている。
   ● 小中とも「単元プラン」例の活用が少なく、まだ手を入れる必要がある。
  (2)その学年で身に付けるべき力を確実に習得させることについて
   ○小学校では「習熟の程度に応じた細かい指導の工夫」や「ねらいに対応したゴールの姿を具体的にした評価規準の設定」については、90%以上の教員が行っている。
   ● 県教委が示した「個に応じた指導の手引き」を活用した教員は、小学校では74.4%、中学校では57.7%に留まっている。校内研修等でぜひ活用してほしい。    
  (3)生徒指導の3機能を意識した問題解決的な展開の単元構想について
   ○●小学校ではずいぶん取組が進み、生徒指導の3機能を意識した授業を行った教員は93%をこえているが、中学校では89%に留まっている。以前に比べると伸びているが、すべての授業で行うべきである。

(2)「中学校学力向上対策3つの提言」について
  (1)実施の状況
   ○すべての学校が生徒による授業評価を実施し、それを授業改善に反映している。
  (2)「中学校学力向上対策3つの提言」
   ●教科部会の時間確保が難しい。
   ●授業評価のデータの処理と活用の仕方が課題である。
  (3)「学びに向かう学校」づくり
   ○生徒自身で考えたアイデアが実現されたときに、次への活力につながっていく。
   ○自己決定する場が大切であると感じる。
   ●新しい取組を入れないとマンネリ化してしまう。
(3)「中学校数学教科巡回指導」による授業改善
   第1回の巡回指導では多くの学校で共通した課題が見られたが、第2回の巡回指導では授業改善が進み改善事例が多数あった。市町村教委の支援が非常にありがたかった。

◎協議
 大分市  大分市の取組について冊子をつくった。新大分スタンダードをふまえた授業改善や5つの重点で子どもの学力向上につなげたい。指導方法としては学校に5回ほど訪問して冊子を使って指導している。 
 中津市  7年前荒れていた学校が共同的な学びで立ち直っていった。短期Pdcaをまわすことでミドルリーダーが育っていった。現在はタテ持ちや特に教科部会をしていく中で教員か育ってきている。
 杵築市  宗近中は板書一つの取組しぼり、その中で子どもが落ち着いていった。どの教科でもよくなった。
 佐伯市  佐伯小の国語や明治小の外国語のように、市内に行けば全国レベルの学びができると教員が実感している。この4年間で先生たちの意識があがっている。
 山崎先生から  先生方の緊張感が伝わってくる。学校をどのようにしようという意識がある。例えば、中津市の学校力の向上、大分市の授業だけでない取組、杵築市の板書の1点にしぼった等、特徴のある発表であった。
 豊後高田市 小学校外国語が来年度から先行実施になる中、香々地地区は国の特例校の指定を受けている。Gtecを今年度より導入し、到達度を評価している。
 日田市  小学校外国語で数校が教科担任制を行っているが、ゆるやかな教科担任制を図っている。
豊後大野市 外国語の先行実施に向けて平成28年度より検討員会を立ち上げ、現在は教育課程の編成に取り組んでいる。

3. 事例発表《平成29年度 臼杵市教育委員会の取組【臼杵市教育委員会】 》    
 1 臼杵市の概要
  「小中一体教育」の全市展開・・・パンフレットの家庭配布を行っている

2 臼杵市の学力に関する課題
 子ども・・授業の雰囲気はよいが、各種学力調査に おいて、無回答率が高い中学校数学に課題がある。教職員、市教委とも方向性がぼやけていた

3 臼杵市の重点的取組
 ◇「主体的、対話的で深い学びへと向かう授業改善」研修
 鳴門教育大学の泰山先生  「結果が出ないのは求められるものが変わっているから」
 教職員の振り返り用紙から 「対話や発表の場面を設定すればアクティブラーニングだと勘違いをしていた。また今まで自分がやっていた考えさせる授業の欠点に気づかされた。」
 ◇臼杵市授業力向上プロジェクト2016
 福井県敦賀市教育委員会 戸羽指導主事 
 「個人の授業力の差が学力差になってはいけない。勝ち負けではなく、教員全員の力量を伸ばすことに職場が集中すれば学校はよくなる。」
 研修後の教職員の振り返り用紙から
 「タテ持ちのメリットがよく分かった。やってみる価値がありそうだと思った。」
 ◇ミドルリーダーの活躍・・・教科部会、学力向上戦略会議
 ◇「3つの提言」推進重点校(西中)を核とした授業改善
  スタートは西中の卒業生の声から 「先生の説明が長い」「集中しているときに、雑談しないでほしい」
 ◇すべての教科でタテ持ち、教科部会、生徒がつくる授業目標、生徒による授業評価クラス別教科担当者会
   教職員アンケート「研修内容(校内、教科等)が変わりましたか?」「生徒の様子に変化がありましたか?」
   教諭(50代)・・・タテ持ちで教員同士の連携がよくなった(教科部会、Tt, 互見授業)タテ持ちが子どもへのプラスに作用している
    教諭(40代)・・・職員室での先生同士の会話内容が大幅に変化した。授業を考えるのが楽しくなった。
   教諭(20代)・・・自分自身が学びに向かっているという自覚、モチベーションがある。
   保護者の学校評価アンケート・・・「できていいる」「だいたいできている」と答えた保護者 92%
 ◇臼杵市教育研究協議会助成研究発表会・・・約150名の参加。他市の評価をPdcaに活かす。
 ◇数楽プロジェクトおよび数学指導力向上巡回指導 臼杵市の課題 
       ・具体的な評価規準に基づく確かな見取り
       ・努力を要するC層への支援を毎時間必ず行う
       ・主体的な学びを促す「課題」を生徒から出させる
 ◇環境整備等・・・中学校サマーセミナー、デジタル教科書、全教室エアコン完備

4成果と課題
 【成果】無回答率が格段に低下、指導主事の積極的派遣申請、外部評価を活かすようになった
 【課題】管理職のリーダーシップに温度差がある、生きる力としての学力向上
      前例踏襲を払拭し、先を見た取組へシフトチェンジ、線としてつながっているか

4. 協  議(15時45分~16時10分)
◎平成30年度学力向上のための取組について【武野 太 参事】
 (1)「新大分スタンダード」による授業改善
  (1)ねらいに対応し、ゴールの姿を具体的に描いた評価規準を設定し、「C努力を要する状況」の
  児童生徒への、習熟の程度に応じたきめ細かい指導の充実
  (2)その学年で身に付けるべき力を3月末までに確実に身に付けさせるために、各種学力調査結
  果(全国・県・市町村)や定期考査・単元テスト結果等から、個々の学力状況をきめ細かに点検し、以降の教科の学習に影響を及ぼす内容についての確実な習得(再掲)
  (3)教材や実践の記録の整理・保存(教育委員会、学校、教科部会等)・活用による「新大分スタンダード」のブラッシュアップ
(2)「中学校学力向上対策3つ提言」の推進
  (1)「学びに向かう学校づくり」中核校の効果的な取組の共有及び活用による「生徒と共に創る授業」の推進
   ・「学びに向かう学校づくりガイド」の活用
   ・他市町村の「学びに向かう学校づくり」中核校への視察等
  (2)「中学校学力向上対策3つの提言推進重点校」の効果的な取組の共有による教科指導力向上の仕組みの構築
   ・近隣学校との教科部会の持ち方
   ・教科部会の日課表や週時程表への位置付け方
(3)新学習指導要領実施に向けた準備
 (1)趣旨や内容を共通理解するための校内研修の実施
 (2)学校の教育目標の見直し
 (3)学校の教育目標との関連を図った総合的な学習の時間の目標の設定
 (4)教科等横断的な視点を取り入れた教育課程の編成

◎義務教育課 米持課長より
  ・朝登校してから帰るまで、授業のときも、生徒会のときも、部活のときも学びに向かう子どもたちの姿で埋め尽くしてもらいたい。
  ・学力向上の取組や授業改善は、学校全体で教育課程を整えながら構造的に取り組むことが大切である。
・大分大学でも新大分スタンダードに取り組んでもらっている。新大分スタンダードは授業の大事な要素をまとめたものであるという認識をもってもらいたい。
・卒業の時期の在り方を見直すことが必要である。式や歌の練習も必要ではあるが、小学校であれば6年間、中学校であれば3年間の教育課程の内容を子どもたちにきちんと伝えられたのか。卒業式の前日までできないことができるようになる指導を行うことも大切である。

 ◎教育改革・企画課 能見課長より
・様々なツールを活用し、短期の検証改善が多くの学校で行われるようになった。しかし、年度の終わりでリセットする学校も見られるので、管理職が替わる替わらないに関わらず、年度をまたいだ検証改善にも取り組んでもらいたい。
・優れた実践を各市町村においても広げてもらいたい。(教育庁チャンネルの活用、表彰制度の活用)
・学校毎の学力、授業改善の差を小さくするためにもボトムupが大切である。
・県外からの視察が増えているが、これは県内に学び合うべき学校が多数あるということでもある。市町村間でも学び合ってもらいたい。

5. 指導・助言(16時10分~16時20分)
◎【大分大学大学院 山崎清男 教授】
 ・新大分スタンダードは一定の成果をあげたと思っている。
 ・「めあて」「課題」「まとめ」「振り返り」は形式的に捉えるべきではない。
このことは今後の課題になってくると思っている。
 ・授業は教師と子どもだけの問題ではない。
  資料のP10に、組織力を高めるには組織係数が重要とあるように、授
業は学校組織で行われるものですから、組織として授業を考えて行かな
ければならない。
 ・管理職のリーダーシップのもと、教員評価システムを活用しながら、組織的な授業改善に取り組むことが大切である。
 ・外部評価を生かすことで改善が進む。第三者評価をもっと導入するべきだと考えている。
 ・指導主事の力量upが必要である。