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知事からのメッセージ 真逆の地で考えたこと

印刷用ページを表示する掲載日:2018年3月1日更新

真逆の地で考えたこと

大分県知事 広瀬勝貞

 人は小説を読んだり、旅に出たりして、空想にしろ現実にしろ自分の世界を広げています。私もこの年末年始に家人の住んでいるオーストラリア西海岸のパースに行ってきました。いろいろ事情は日本と全く異なっていて、驚いたり、考えさせられたりと、刺激的な旅でした。


 比較的中心部のホテルに泊まったのですが、そこからちょっと坂を下ったところに、一面芝を張った広大な公園広場があり、その先に大きな川が流れています。川沿いに遊歩道、サイクリングロード、そして車道がゆったり間隔をあけて走っています。そこでのんびり散歩をしたのですが、多くの人が思い思いに散歩、ジョギング、サイクリングに汗を流したり、川でヨットやウインドサーフィンを楽しんでいます。


 西海岸随一の都市で、中心部にはショッピング街、オフィス街もありますが、全体に土地をふんだんに使って、アウトドアライフのための施設も伸び伸び造って、緑豊かな住宅地もしっかり確保している感じです。これができるのも、このパースのある西オーストラリア州が、例えば日本の約7倍の面積に人口の方は約50分の1という余裕から来るのだと思います。


 市役所近辺の公園に、石油のドリルパイプに上からダイヤ、金、ボーキサイト、銅、鉄の大きな鉱石が串刺しになったモニュメントが誇らしげに立っています。豊かな資源エネルギーの供給地を象徴するものですが、日本人から見ると羨ましい限りです。資源エネルギーにこと欠かないからか、公園によってはバーベキュー用の電気コンロが置かれています。無料で誰でも使えますから、家族や仲間うちで肉を買ってきてパーティーを楽しむのだそうです。これも持てる国の余裕なのか、のんびり大雑把なところがあるようで、家人によれば、計画的にきっちり仕事をやるのは苦手のようです。


 イギリスがオーストラリアに入植を始めたのは1770年以降、パースで植民を始めたのはそれからさらに50年後と言いますから、ごく最近です。これも日本と違って、歴史に学ぶとか歴史を鏡として現代を論ずるという発想は少ないのかもしれません。逆にだからこそ、「先祖伝来の…」という因縁も少ないし、伝統やしきたりに縛られることも余りなくて、住みよい、暮らしやすい都市づくりができるのかもしれません。人間の利便性を真先に考えたインダストリー4.0の新しい社会システムなども取り入れやすいのかもしれません。


 また、新しい国ですから、博物館や美術館がほとんどないという寂しさはあります。そのかわりパースでは、ぐんと遡って地球初の光合成活動の痕跡や木の根の化石群など、地球生成の頃の地質学的風景を楽しむことができました。

 経度はほとんど同じで時差は1時間しかないのですが、北と南、あちらは真夏でしたが、それだけでなく万事日本と反対で、両国は結構相互補完の関係でうまくやっていけるのではないかという思いも強くしたところです。

~県政だより新時代おおいたvol.117 2018年3月発行~