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知事からのメッセージ 風紋 -湖北省訪問の旅

印刷ページの表示 ページ番号:0000245192 更新日:2011年11月18日更新

湖北省訪問の旅

大分県知事 広瀬勝貞

 中国湖北省を視察してきました。今なぜ湖北省かと思われるかもしれません。これから大分県もアジアの元気を活用しながら、ともに発展していかなければならないと考えていますので、発展著しい中国の中でも、特にこれからが期待される内陸部の雄、湖北省との協力には、大きな可能性があるのではないかと思ったからです。

 湖北省は、東西に長江が流れ、あの「三国志」の攻防の舞台となったところです。千湖の省と言われるくらい水に恵まれ、緑豊かなところです。南部には温泉もたくさんあり、経済発展とともに温泉を楽しむ客も増え、ちょっとしたブームになっている観もあります。もともと農業の盛んな省ですが、新日鐵大分製鐵所と縁の深い武漢鋼鉄をはじめ、重機械、自動車、そして最近は半導体などの製造業も多く、その産業集積の厚みを増していきたいということで、積極的に企業誘致を進めています。

 そんな省ですから、大分県訪問団に対しても、自動車の部品や半導体の後工程に投資してもらいたいと、しきりに声をかけられました。さすがに大分県の企業からの投資は何年か後のことだろうと思っていましたが、現に国東市の部品企業が現地の自動車メーカーの要請を受けて工場を建設中であったのには驚きました。半導体も裾野の広い産業ですが、一緒に行った大分県半導体クラスターのリーダーもあちらとの協力は、ひとつのビジネスチャンスかもしれないと言っていました。

 湖北省側は、農業の近代化も課題なので、農産品の付加価値を高める加工産業の投資にも期待していると言っていましたが、この分野の協力も可能かもしれません。湖北省からは既に農業の研修生がたくさん来ていて、県内の企業的経営農家は大変助かっているようで、今後も拡大していくと思います。その他に温泉サービスの向上のため、技術指導をしてもらいたいという提案もありました。

 これからは、益々モノ、カネ、ヒトが国境を越えて動くだろうと言われていますが、大分県にとっても本当に現実の課題となってきました。大分県は今企業誘致を進めており、その大分県から敢えて投資しなくてもいいのでは、と思わないわけでもありませんが、国内市場が縮小しつつある中で日本の企業を維持発展させ、雇用を確保するためにも、海外で収益を上げていく必要があるのでしょう。

 海外との関係もそこまで進んできたわけで、大分県としても、多方面にわたる交流、協力が活発になり、ともに発展していけるように、行政どうしの連携を強めるなど環境を整えていきたいと思います。

 それにしても、東日本大震災以後先行きに確信が持てないでいる日本から出かけて、誰もが将来に自信を持ち、まなじりを決して働いている中国の姿を見ると、人間やはり前を向いて歩くのが本来の姿だし、日本もまたいつかそんな日が来るだろうと、気持ちが落ち着いてきました。これも思わぬ旅の成果でした。 

県政だより新時代おおいたvol.79 2011年11月発行