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またまたも来む
大分県知事 広瀬勝貞
別府大学のさる国文学の先生によると大分県は古来その名のとおり豊かな国で注目度も高かったのか、万葉集にも比較的多く歌が取り上げられているそうです。その一つに任務を終えて帰京する男が別れを悲しむ大分娘の歌に返した歌もあります。
命をしまくもがも岩踏みしまたまたも来む
(いつまでも健やかに幸せにいてください 私もまた名欲山の岩を踏みならしながら戻ってきます)
私には、大分娘との離別を惜しむ気持ちはもちろん、大分のたっぷりの温泉や山海の珍味との別れを悲しむ気持ちもあったのではないかと思われます。現代サラリーマンの「大分勤務者の二度泣き」は、はるか万葉集に起源を持つのかも知れません。
いよいよ観光シーズン。「日本一のおんせん県おおいた♨味力(みりょく)も満載」と立派な宣伝文句もできました。今シーズンも、おもてなしの気持ちをこめてお客さんをお迎えしたいものです。
観光の魅力はまず、日常生活を離れて、気儘な時空に身を置いてみることだと言われます。そんなお客さんにとって大分の美しい自然、温泉、そして食の「味力」は十二分に期待に応えるものだと思います。
最近は体験型観光というのも流行です。グリーンツーリズム、ブルーツーリズムが盛んですが、今推進しているジオパークの体験もいいですね。韓国ではオルレと言って古里の小路を辿るようなウォーキングが盛んだと聞きますが、のどかな奥豊後の里路も良いと思います。さらにM I C E※も重要な観光のきっかけになります。イベントや大会を誘致して大いに大分県を楽しんでいただきましょう。
「またまたも来む」と思っても余り不便では行けないじゃないか、と言われないようにアクセス改善も大事です。
東九州自動車道の蒲江-北浦間がようやく2月16日に開通になりました。平成26年度の全線開通に向けて、あと一息頑張りましょう。空の方でもジェットスタージャパンが3月31日から、大分-成田間で格安便を就航させます。最安値は片道4,290円ということで、新しいお客さんが増えてくれればと期待しています。この10月からJR九州が「ななつ星」の運行を始めます。これも大分県の魅力発信のチャンスになると思います。
今年の手はじめは、花を求めて、大山の梅まつりか、四浦半島ウォークかと思っています。さて、皆さんは?
※M I C Eとは、多くの集客交流が見込まれる大規模なビジネスイベントなどの総称のこと
県政だより新時代おおいたvol.87 2013年3月発行