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特集1 平成23年度大分県予算
~地震防災対策を強化し、安心・活力・発展の大分県づくりをさらに前進させる積極予算~
特集2 みんなで支え合う子育て
風紋 たかが夏休み されど夏休み
トピックス 県立美術館の整備
県民ひろば おいしく健康!バランスよく食べよう
お薦め図書コーナー 心ひらいて とよの国の食彩
東日本大震災の発生を受けて、早急に対応すべき地震や津波への備えや、日々の暮らしを支える経済・産業に特に力を入れた平成23年度一般会計補正予算。
震災の影響で県税などの減額補正を余儀なくされる中、これまでの行財政改革で着実に蓄えてきた財政調整用基金を活用して、積極的な予算編成を行いました。
誰もが夢と希望を持って、生きがいと幸せを実感できる大分県づくりに向け、県は全力で取り組んでいきます。
それでは今年度予算の概要と主要事業をピックアップしてご紹介します。
◆予算 598,291百万円 ◆ソフト・ハード両面から地震防災対策を強化し、 ○国の公共事業が削減される中、投資単独事業を増額(+14.1%)し、 (おおいた活力創造枠 40事業 14.8億円) |
未曾有の被害をもたらした東日本大震災。これまで、皆さんから寄せられた支援物資の送り出しや義援金の募金など、被災者と被災地の復興に向けた支援に全力を投入してきました。
大分県においても、ソフト・ハード両面にわたる防災対策の強化に取り組みます。
有識者からは、今回の大震災で地震の規模がマグニチュード9.0であったことをふまえ、東南海・南海沖地震だけでなく、東海地震との連動や日向灘への拡大も考慮する必要があり、津波は4~8m、最大で12.5mになるとの想定が示されました。これに基づき、県と市町村が一緒になって防災計画を見直しています。 具体的な対策としては、安全に避難できるように誘導標識を設置したり、避難経路を確保するなど、市町村が地域の実情に応じて取り組む防災・減災対策を応援します。同時に、学校の防災計画も早急に見直します。 |
食料などの非常用物資の備蓄については、数量を見直し、紙おむつや非常用電源となるカーインバーター※などの8品目を追加するとともに、難病患者などに対しては、災害発生時に的確な対応ができるように防災指導を実施します。 また、災害現場で救命作業を行う災害派遣医療チーム「大分 D M A T」を強化するため、専用の医療資材等の整備を支援します。また、県立病院の救命救急用医療機器等を整備するなど、災害発生時の備えを強化します。 |
救助・救援活動や緊急物資の輸送ができるように、主要道路の耐震化を急ぎます。橋の補強や、道路沿いのがけ崩れを防ぐ工事を実施するととともに、倒壊して道路をふさぐ恐れのある建物の実態調査を行います。
また、老朽化した農業用のため池が地震で決壊しないように、小規模なため池についても県単独予算で改修します。
子どもの安全を確保し、緊急時の避難場所として活用できるように、学校の耐震補強を急ぎます。
県立学校は、今年度末までに耐震化工事を完成させます。
私立学校や幼稚園についても、耐震診断の助成を拡大して、まずは診断の完了を目指します。
被災した取引先の生産活動の停止などにより、中小企業の資金繰りが厳しくなることから、中小企業活性化資金に特別利率を設定し、昨年度より新規融資枠を50億円増の800億円に拡大して支援します。
中でも深刻な状況にあるのは、観光産業です。震災による自粛ムードなどにより、大幅に県内の団体旅行客が減少しています。ウイークデイの観光客を増やすために、宿泊団体旅行の貸切バス代金の一部を助成します。
昨年の猛暑や口蹄疫(こうていえき)に加え、震災により生乳供給量が減少したことで、酪農の経営がひっ迫しています。そこで、県内に初任牛を900頭確保するために支援します。
また、マガキの稚貝を宮城県から確保することが困難になったため、県内での養殖を検討するために、試験栽培を始めます。
震災の影響により、景気にも全体的な閉塞感が漂う中で、本県経済の回復をより確かなものとするためには、仕事をつくり出すことも大事です。
国の公共事業関係費が10%を超える削減となる中で、県では、県単独事業も含めて道路などの社会資本を整備する「投資的経費」を全体で0.7%増やして、景気の下支えをします。
0歳~2歳の子どもを持つ親の約7割は在宅で子育てをしています。核家族化が進み、地域との繋がりが弱くなる中で、慣れない育児と社会からの孤立により、育児不安を抱きやすくなっています。
そこで、情報交換や地域と繋がる場として、各地にある地域子育て支援拠点を活用した「プレママ・プレパパスクール」を開催するなど、産前産後を通じた親支援を行います。
また、小児医療体制については、夜間または休日の小児救急外来に対応する「小児初期救急センター」を設置する大分市と中津市に助成します。
ひとり暮らしの高齢者などが安全・安心に暮らせるように、要援護者の支援に必要な情報をシステム化して、消防や民生委員で共有します。 また、臼杵市などで先行して取り組んでいる「冷蔵庫保管型バトン」を全県下に広げます。65歳以上のひとり暮らし世帯などに対して、家族の連絡先や薬などの情報を入れた筒(バトン)を冷蔵庫に保管をしてもらいます。 さらに、障がい者や高齢者、妊産婦などが外出しやすい環境をつくるために、公共施設や大型商業施設などでパーキングパーミット制度を導入します。これは、従来の車いす優先駐車区画に加えて、もう一枠優先区画を整備するものです。利用者には、停車時に利用証を掲示してもらい、優先区画の利用対象者を明確化し、利用マナーの向上に努めます。
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●地域の医療提供体制の充実を目指した医療機関の施設設備整備に対する助成
●豊かな森林資源の持続的な活用に向けた自然に適した森林育成方法の普及推進
●携帯電話等を活用した学生など若い世代の防犯ボランティアの参加促進
「The・おおいた」ブランドの確立に向けて、マーケット起点の商品(もの)づくりをさらに進めます。市場占有率を高めて競争力を強化し、儲かる農業を目指します。 |
産業集積(※)を着実に進めるため、全国第4位の生産額を誇る医療機器産業の一層の振興を図る東九州地域医療産業拠点構想の実現に向けて、本格始動します。
血液、血管医療分野において、研究開発や人材育成の拠点を産学官連携で大分大学に設けます。そして、優れた技術を持つ地場企業が医療機器産業へ新たに参入しやすくするために、研究会を立ち上げてセミナーを行います。
※一つの比較的狭い地域に相互関連の深い多くの企業が集積している状態
大型店との競合などにより苦戦を強いられている商店街の個店対策を実施します。 |
●原木供給体制の整備や木材の需要拡大等の総合的な支援強化
●水産資源の持続的利用に向けた県内全海域での資源管理強化と種苗放流拡大
●県産品や観光などの一体的な海外プロモーションの実施および県内企業の海外展開の支援
大分の未来を担う人材育成にも積極的に取り組みます。子どもの学力・体力の向上に向けて、支援教員や体育専科教員を増やしています。また、子どもの能力を伸ばすさまざまな指導方法を映像にまとめ、ホームページ上で共有して、教員全体の授業力向上に努めます。
次世代に夢と希望を継承していくために、芸術文化の拠点として大分県立美術館の建設に着手します。
(※詳しくは、P8の「トピックス」をご覧ください)
●NPO等の活動を支援するため、寄附による市民ファンド設立に向けた取り組みの推進
●中津日田道路・中九州横断道路の整備の推進
県予算について詳しくは、大分県庁ホームページ「大分県財政のすがた」をご覧ください。 |