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特集2 新しい大分のまちづくり~大分駅付近連続立体交差事業~
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昨年3月11日に発生した東日本大震災から1年。大分県でも、東海、東南海、南海地震の連動に加え、震源域が宮崎県沖の日向灘へ拡大する恐れがあるといわれています。
そこで、県は、東日本大震災を教訓とし、「災害に上限はない、何よりも人命」という思いで、人命を最優先に防災対策に取り組んでいます。
県は、昨年5月から市町村と一体となって地域防災計画の見直しを進めています。
これらをふまえ、県民や行政などが一丸となって、ハード・ソフト両面から災害に備えています。
◆高齢者などが安全に高台に避難できるよう、避難路には手すりを付け、道を平坦にして歩きやすくなるよう整備をしています。また、避難しやすいよう、海抜表示板や避難所の表示を行っています。
◆地域の防災力と個々の防災意識の向上を図るため、防災士の養成や防災訓練を推進し、自主防災組織の活動を充実させます。
◆学校で、児童生徒の発達段階に応じた防災教育を推進するとともに、避難対策を進めます。
◆治療や投薬の状況を記載した「難病患者災害時等準備マニュアル」を作成し、事前の準備を呼びかけています。
◆災害発生直後から速やかに救命医療を行えるよう、事前に県内外にあるD M A Tの派遣などを一元的に統制・調整する統括D M A Tを複数指定しています。
◆被災県(地域)に物資や職員の派遣などの応援を迅速かつ効果的に実施できるよう、九州・山口9県災害時相互応援協定を見直し、また、九州地方自治会では関西広域連合と相互応援協定を締結しています。
◆一人で避難が難しい高齢者や障がい者などの情報把握に努め、地域住民の合意のもと、あらかじめ避難手段やルートなどを検討することが重要です。
また、高齢者や障害者など、避難所生活で何らかの特別な配慮が必要な人を受け入れる福祉避難所の指定を市町村が進められるよう、県は支援をしていきます。
非常用備蓄物資
◆ウエットティッシュや紙おむつ、非常用電源となるカーインバーターなどの8品目を新たに追加しました。
◆県内の想定される最大避難者数を5万人から18万人に見直し、備蓄数量を増やしました。
◆県内の備蓄場所を7カ所から13カ所に増やし、災害時に広く備蓄物資が行き渡るように再配分しました。
◆特に女性から要望が多かった簡易トイレやトイレ用テント等の備蓄量を増やし、市町村に対しては発電機や投光器などの非常用資機材購入への助成をしました。
◆災害時には、防災無線や安心・安全メールのほか、緊急速報メール、ツイッター、ホームページなど、可能な限り多数の手段で住民へ避難を呼びかけていきます。
◆災害時には、被災地に災害時公衆衛生対策チームを派遣し、保健指導や感染症予防、栄養指導などの活動を行っていきます。
企業・団体とも連携!
大規模災害が発生した場合に備えて、県は10企業3団体と協定を結び、生活必需物資の供給支援体制を整えています。
日頃の地域の結びつきが、いざという時の安心・安全につながります。そこで、重要な役割を担うのは、自主防災組織です。 今回訪ねたのは、防災士の知識を生かして、地域の実情に合った取り組みを行っている国東市武蔵町の古市地区です。古市上区の阿部 文明区長と古市下区の藤川栄三区長に避難訓練の様子についてお話を伺いました。 「今年の避難訓練では、防災士の藤原 龍司さんの提案により、班ごとに分かれて、地図上で災害時を想定して避難経路の確認などを行う図上訓練をしました。一人暮らしの高齢者が住む家の位置や危険箇所、外灯がある場所などを、話し合いながら地図に書き込んでいきました。自力で避難することが困難な人をリアカーで避難場所まで運ぶというアイデアも出たんですよ」と阿部区長。 その後、話し合った内容に基づいて、実際に避難訓練を行われました。藤川区長は、「古市地区は、避難が完了する目標時間を30分に設定していましたが、どの班も時間内に避難できました。実践的な訓練をすることで、近隣住民同士で知識と経験が共有できてよかったという声を聞き、嬉しかったです。今後も、『自分達の地域は自分達で守る』という精神で、自主防災活動を続けていきます」と語ってくれました。 |
また、この避難訓練をバックアップした防災士の藤原龍司さんは、「地震が起こったら『すぐに高台に避難する』ことが大事です。忘れ物があっても引き返さないでください。「今まで津波がきたことがないから自分の所は大丈夫」と過信してはいけません。スムーズに避難するには、この古市自主防災組織のように、いざという時の行動を決めておき訓練をすること、日頃からお互いに声をかけ合う関係を築いておくことも大事ですね」と提言します。 また、藤原さんはこう言います。 しかし、一番大切なことは、やはり地域の絆です。被害の大小にかかわらず、被災したすべての人は心身ともに深い傷を負います。それを乗り越えるためには、互いに助け合い、支え合える地域づくりが必要不可欠です。これこそが、災害に強い地域づくりに直結します」。 いま、私達が備えること。その答えの一つがここにありました。 |