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新時代おおいたNo.91

印刷ページの表示 ページ番号:0000283145 更新日:2013年11月26日更新

新時代おおいた11月・12月号トップ画像

特集1    日本ジオパークに認定されました 
特集2    私のライフデザイン~自分らしく生きるために、今考えよう~
風紋     日本ジオパーク
トピックス   県庁のお仕事~土木建築部編~
県民ひろば 「睡眠習慣」を見直そう
お薦め図書コーナー 心ひらいて  とよの国の食彩    

日本ジオパークに認定されました

特集1

 9月24日、豊後大野市の「おおいた豊後大野ジオパーク」と姫島村の「おおいた姫島ジオパーク」が県内で初めて「日本ジオパーク」に認定されました。これまで、小中学生を対象とした学習会やガイドの養成、シンポジウムの開催など、認定に向けた啓発活動や調査・研究に積極的に取り組んできた両地域の努力が見事に実を結びました。

 そこで今回の特集では、両地域のジオサイトの魅力と地域の方々の思いを取材しました。

日本ジオパークとは?

 貴重な地質や地形から大地の成り立ちを学び、その景観や地域で育まれてきた歴史・文化を大切にしながら地域振興や教育の場として活用できる大地の自然公園のことを言います。日本ジオパーク委員会が認定するもので、今回新たに加わった7地域を含め全国で32地域となりました。

認定までの歩み

 認定の主なポイントは?

豊後大野市

 テーマは、「阿蘇山噴火から9万年~大地に祈り、いかされ~」。豊後大野市では、9万年前の巨大噴火の火砕流がもたらした地質をはじめ、約1億年前の地層群を貫くマグマがつくった祖母山の美しい風景や中生代白亜紀後期(※1)の大野川層群の珍しい岩や河床など、多様な地質を見て間近で見ることができます。また、これまで人々が守ってきた景観や滝、地形をうまく活用した棚田や井路(いろ)、阿蘇溶結凝灰岩(※2)から造られた石橋群や磨崖仏(※3)などから、大地と人々との深い関わりが感じられます。神楽や獅子舞などの独自の文化も培われており、大地と郷土愛に溢れる人々の営みがうまく調和しているという点が評価されました。

※1中世白亜紀後期・・・約1億年前から6600万年前のアンモナイトなどが生息していた時代(

※2阿蘇溶結凝灰岩・・・阿蘇山の噴火による火砕流が冷え固まってできた岩

※2磨崖仏・・・岸壁に彫り込まれた仏像

特集1 挿絵(豊後大野市 滞迫峡と井路)

橋本市長のコメント

姫島村

 テーマは、「火山が生み出した神秘の島」。姫島村は、約20万年前から火山が次々と噴火してできた島で、7つの火口跡があります。旧石器時代以降に西日本一帯で広く流通した石器の原料となる「黒曜石(こくようせき)」の主産地で、瀬戸内海が陸地であった頃の名残であるナウマンゾウの化石も発掘されています。陸地やクルーズ船から崖や岩肌を見ると、さまざまな地殻変動の痕跡などの珍しい地形や地層を観察することもできます。また、黒曜石の採取から塩田へ、そして現在の基幹産業である火口跡を活用した車えび養殖へと推移した産業の変化もうかがえ、壮大な大地の成り立ちが島独自の伝統・文化とともに感じることができる点が評価されました。

姫島挿入写真

姫島村コメント

ジオガイド 後藤 宕子さんのお気に入りのジオスポット

原尻の滝

阿蘇溶結凝灰岩が緒方川の水流で縦方向に削られたことにより突如として平野に出現した滝です。川幅が120m、高さは20mあり、滝壺まで近づいて柱状節理(※4)や滝の成り立ちを間近で見ることができます。また、滝の付近には社と鳥居、農業には欠かせない井路や取水口があり、昔から人々生活の中に溶け込んでいる貴重なジオサイトです。

※3柱状節理・・・溶岩が固まって冷える時に体積が縮むためにできた鉛筆を束ねたような規則的な割れ目のこと

 阿蘇溶結凝灰岩が緒方川の水流で縦方向に削られたことにより突如として平野に出現した滝です。川幅が120m、高さは20mあり、滝壺まで近づいて柱状節理(※4)や滝の成り立ちを間近で見ることができます。また、滝の付近には社と鳥居、農業には欠かせない井路や取水口があり、昔から人々生活の中に溶け込んでいる貴重なジオサイトです。

※3柱状節理・・・溶岩が固まって冷える時に体積が縮むためにできた鉛筆を束ねたような規則的な割れ目のこと

原尻の滝

出會橋・轟橋(であいばし・とどろばし)

 深い渓谷に阿蘇溶結凝灰岩を活用して架けられた2つの石橋です。奥岳川(おくだけがわ)によって分断されていた轟地区と平石地区を往来するために大正13年に架けられたのが出會橋(であいばし)で、アーチの径間が29.3mと国内第2位の長さです。また、傾山(かやむきさん)ふもとの国有林から木材を搬出するための森林鉄道として昭和9年に架けられた2蓮アーチ式石橋が轟橋です。この右岸側アーチの径間は全国一位です。阿蘇溶結凝灰岩の絶壁と、それを使って造った巨大なアーチ式石橋とがつくりだす風景は迫力があり、必見です。

であいばし・とどろばし

菅尾磨崖仏

 軟らかく加工しやすい特性を持つ阿蘇溶結凝灰岩の岩壁を選んで彫り込まれた5体の仏像です。平安時代末期に彫られたこの仏像は、その古さや芸術性の高さから、国の史跡と重要文化財との二重指定を受けており、大地の遺産と人々の祈りとの融合を肌で感じられるジオサイトです。

菅尾磨崖仏

ジオガイド 後藤 宕子さん

 豊後大野市はアーチ式石橋の数が日本一多く、115基あります。これがジオと深く結びついていたことを知った時は、わくわくしました。以前は、周囲の人と「ここは何もない所」と話していましたが、ジオパークの認定を受けてからは「たくさんの宝物がある」と自慢できるようになりました。やはり住んでいる私たち自身がその土地を知って好きになって、いい所を伝えられることが大事だなと実感しています。大地とそこに深く関わって成り立ってきた歴史・文化に感謝して、私たちがもっと磨いて引き継いでいきたいです。

                          ジオガイド 後藤 ひろこさん

地域の声~浜嶋 弘文さん 浜嶋酒造合資会社(豊後大野市)~

 私は酒造りに携わっていますが、いい酒には大地の恵みである伏流水とその水で作った米が欠かせません。なので、自然を守り、地域に根付いてきた醸造文化も、ジオパークの一つであると実感できて嬉しいです。この名に恥じないよう一層精進し、酒造りを通じて各地に魅力を発信していきたいです。

                  浜嶋さん

ジオガイド 東 澄子(あずますみこ)さん、松原 しおりさん、波戸崎 京子さんのお気に入りスポット

観音崎

全国的にも珍しい乳白色の黒曜石が高さ40m、幅120mに及ぶ断崖として露出しているとても貴重な場所です。歴史の教科書にも登場する「姫島の黒曜石」は、国の天然記念物に指定されています。

観音崎

鷹ノ巣(たかのす)

 ひめしまブルーラインという海岸線沿いにある断崖で、海食佐用によってできた奇抜な地層を見ることができます。自然が長い年月をかけて作りだした地層アートです。このほかにも珍しい地層が至るところで見ることができることが我が島の自慢です。 鷹ノ巣

拍子水温泉(ひょうしみずおんせん)

 島に伝わる七不思議の場所の一つで、太古の昔から絶え間なく湧き出している冷泉です。炭酸泉で、温泉として入浴できるほか飲用することもでき、自然の恵みを村内外の多くの人が楽しんでいます。 拍子水温泉

 

 

ジオガイド 東 澄子(あずますみこ)さん、松原 しおりさん、波戸崎 京子さん

 

 以前は何気なく見ていた風景が、ジオサイトとして勉強していくうちに貴重な地域資源だと知り、島への愛着が一層高まりました。今では目線も変わって、景色の中の地層や動・植物にまで目がいくようになりました。まだ解明されていない神秘的な部分も多いので、自分たちが産まれ育った島についてもっと知識を身につけ、感動を伝えていきたいです。ガイドをするのが楽しいので、来た人にも楽しんでいただき、姫島のファンになってもらいたいですね。将来的には島民一人ひとりが語り部になって、島をPRできたらいいなと思っています。

               ジオガイド3名

地域の声~竹内 菜々子さん(中学3年生)、尾崎 澪奈(れいな)さん(中学3年生)
姫島村立姫島中学校(姫島村)

  これまで学校の授業でジオパークについて勉強していましたが、認定されてとても嬉しかったです。こんな貴重な地質遺産がある所に産まれてきたと思うと、もっと姫島が大好きになりました!ここにしかないものがたくさんあるので、いろんな人に訪れてほしいし、私たちがきちんと知って、守り伝えていかないといけないなと思いました。  

                   姫島中学生の2人

これからの歩み

このように、両地域で盛り上がりを見せている「日本ジオパーク」認定。今回の認定が地域の元気に結びつき、持続的な活動となってさらに発展していけるよう、県としても引き続き応援していきます。来年2月25日には、別府市のビーコンプラザで「おおいたジオ国際フォーラム」を開催予定なので、ぜひご参加ください。