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新時代おおいたNO.73

印刷用ページを表示する掲載日:2010年11月19日更新

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特集1 「マーケット起点」がキーワード 農林水産業の新たな挑戦
特集2 つながり、支え合う地域社会づくり
風紋  芸術文化三昧
トピックス  車を運転される方へ ~お知らせとお願い~
県民ひろば 児童虐待から子どもを守ろう
お薦め図書コーナー 心ひらいて とよの国の食彩

 

特集1 「マーケット起点」がキーワード 農林水産業の新たな挑戦

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 市場競争力を高める

県域出荷の取り組み

 「マーケット起点」の考えのもと、県は「県域」での生産流通体制の構築を進めています。いちご、トマト、白ねぎ、こねぎ等  12 の作物を県域出荷のチャレンジ品目と定め、重点的な支援を行っているところです。
 今、県域出荷がなぜ必要なのか、「県農協流通改革アドバイザー」として今年就任した市丸剛さんからお話を伺いました。
 市丸さんは、「まずは近年の販売形態の変化ですね。小売店が減り、量販店やチェーン店が大きなウエートを占めるようになりました。こうした大規模な販売形態の流通にのせるためには『量』と『品質』の安定供給が不可欠です。しかし、既存の市町村単位では、絶対的な量が少ないんです」と説明。
 市場が求める「量」を提供するためには”県“での団結が重要ということです。市丸さんは「これからの時代、競争するのは県外や海外」と強調し、産地間の結束を呼びかけています。
 また、京都の市場で43年間勤めた市丸さんは、培った経験を生かし大分県の利点をこう分析。「大分県は地形的に非常に有利です。平地から高原地域まで、これほどの標高差がある県は西日本にはありませんから。高原地域での栽培が可能という強みを生かせば、東北や北海道といった産地にも十分対抗できます」と市丸さん。「大分県産」の存在感を示すためには、大分ならではの道筋を描くことが大切です。
 時代の変化を追い風に変えるため、農林水産業にも新たな戦略づくりが求められています。 

市丸剛さん

 

 

白ネギの県域出荷実現に向けて

 大分県は西日本一の白ねぎ産地。中でも有数の産地である豊後高田市を訪れ、白ねぎの戦略について伺いました。
 「玖珠、九重など高原地域では、平成19 年に『大分高原白ねぎ』として銘柄統一と共同出荷が実現しました。それに続き、この冬からは大分県白ねぎ部会の統一等、県内全域での共同出荷体制づくりに取り組んでいます」。そうおっしゃるのは、大分白ねぎ連絡協議会の会長を務め、白ねぎの県域出荷を進める仲井貞一さんです。
 もともと暑さには弱い白ねぎ。平地では夏場は弱ってしまい、品質の良い白ねぎを栽培することができないそうです。「しかし、県内の標高差を生かせば、暑い時期には高原地域で栽培した『大分高原白ねぎ』を、寒い時期には平地で栽培した『大分白ねぎ』をと、高品質の白ねぎを一年通して大量に確保でき、大都市圏の市場に切り込むことが可能になります」と仲井さんは説明。県全体で取り組むことが、地形の利を最大限生かすことにつながるのです。
 さらに、市場が求めるのは量だけではありません。「大分県産」としての品質の統一も大前提。そこで、規格にばらつきが出ないよう各産地をまわって調整する、「広域検査員」が今年度から大分県農協に設置されました。
 「流通のあり方が大きく変化してきたので、生産者も団結しなければいけません。市場では、『量』は大きな力になりますから」。仲井さんはそう力強く語ってくださいました。

仲井貞一さん

白ネギ画像 


 商品力を磨く

豊後牛の魅力UPの切り札「オレイン酸」

誰もが食欲をそそられる、美しい霜降りの和牛。牛肉の格付けはこの霜降り度、いわゆる「サシ」によって決まります。しかし今、それだけでは測れない”牛肉のおいしさ“についての議論が活発化してきました。
 新たな指標として注目されているのが、オリーブ油等の植物油にも含まれている「オレイン酸」。
 「オレイン酸は牛肉に含まれる不飽和脂肪酸、つまり脂肪の成分ですね。牛肉にオレイン酸が多く含まれていると風味と口当たりが良いことから、オレイン酸はおいしさの決め手となる成分だと考えられています。また、血中コレステロール値を低下させる働きがあり、健康にもいいと言われています」と、畜産公社の今吉豊一郎専務は説明します。
 大分県はこのオレイン酸に着目し、全国に先駆けて研究を開始。平成16 年にオレイン酸を増やす「SCD遺伝子」が発見されたことから、オレイン酸含有量の多い牛の系統づくりに力を注いでいます。
 さらに今年度は、畜産公社に出荷される枝肉のオレイン酸含有量の測定を実施。県内の平均値や分布などの基礎データを集めているところです。
 「目的は新しい”おいしさの基準“づくりです。今後、オレイン酸の含有量を『おいしさ』の尺度に加えた独自の評価法をつくります。その基準を満たした肉を認定し、消費者に新たな魅力をPRしていきたいと考えているんです」と、今吉専務は熱心に語ってくださいました。
 新たな切り口でさらなる高みを目指す豊後牛。見た目だけではない本当においしい肉をつくろうと、関係者は一丸となって取り組みを進めています。

牛の画像

オレイン酸測定の様子 

誕生!かぼすブリ 

大分県生まれの新しいブリ「かぼすブリ」が、商品化に向け走りだしました。
 県内の養殖ブリの生産量は、全国3位(平成20年)。12,160トンが水揚げされています。しかし関係者を悩ませていたのが、ブリはほかの魚と比べ、切り身にした場合に変色が早いという点。平成19 年、その欠点を克服しようと、県と製薬会社が共同で試験研究を開始しました。
 まず着目されたのが、県の特産品であるかぼすです。かぼすの皮や果汁に含まれるポリフェノールには抗酸化作用があるため、ブリの変色を遅らせる効果があると考えたのです。
 結果、かぼすの果汁を混ぜ込んだエサで育てたブリは、通常のエサで育てたブリに比べて最大40時間程度変色が遅くなることが明らかになりました。また、「おいしい」「さっぱりしている」など味の評価も上々。
 「かぼすブリ」の研究に携わる、県の水産研究部の大屋寛さんは「水産物は価格、消費ともに低迷しています。ですから、なにか特徴を出して、ほかの産地との差別化を図らなくてはいけない。そこで、特産のかぼすを使って大分らしいブリをつくろうと。かぼすなら大分県というイメージがありますから」と語ります。
 この秋からは、実際の養殖現場での試験を開始。養殖業者とともに、コストの低減など実用化に向けた研究を進めていきます。
 「県特産の養殖ブリとかぼすの組み合わせは、大分県ならではの物語を描くことができますね。養殖ブリのイメージアップだけでなく、品質や単価の向上など『かぼすブリ』の効果に期待しています」とおっしゃるのは、今年から現場試験に取り組む、養殖業者の冨高吉幸さんです。
 目指すは「関あじ」、「関さば」に続く新たなブランドづくり。これから大海原に船出する「かぼすブリ」に、夢が広がります。

かぼすブリの作業画像

 

消費者目線でものをつくる

〜プロジェクト
   「赤採りトマト」〜

 「今の時代はものが余っています。消費者ニーズを把握していないと、ものをつくっても出口がないんです」。そうおっしゃるのは、イオン九州(株)の産地開発部長である立石弘司さんです。
 県は、マーケティングの専門家として民間からアドバイザーを委嘱。新たな商品づくりや都市圏での販路拡大に助言をいただいています。立石さんは、そのアドバイザーのお一人です。
 この立石アドバイザーが立役者となり、生産と流通が一体となって進めてきた取り組みが「赤採りトマト」のプロジェクトです。
 通常販売されているトマトは未完熟の青い状態で収穫し、店頭に並ぶまでに追熟させます。完熟で収穫されたトマトは輸送中に実が痛みやすく、店頭に届いた時には熟しすぎてしまうためです。
 「しかし、”おいしさ“という切り口で考えた時、青採りしたトマトは本当においしいのか? と。一番おいしい状態で消費者に届けたいと思ったんです」と立石アドバイザー。
 そこから”赤採り“トマトの開発がスタート。裂果※の少ない品種の選定、収穫後の温度管理、パック詰めの方法に至るまで関係者が一丸となって試行錯誤を重ねました。そして、ついに「赤採りトマト」の商品化にこぎ着けたのは、昨年の夏。通常より7日間ほど長く畑の上で熟成させた、真っ赤なトマトが店頭に並びました。
 「今年は2年目ですが、ますます『赤採りトマト』はお客さんの信頼を得ています。店頭にないとお客さんから怒られるほどです(笑)」。
 県は消費者の支持を後押しに県内の産地化を進め、今年度は大幅な生産拡大を実現したところです。
 「『赤くなってから収穫すると日持ちが悪い』というのは、市場側の意見ですよね。”食べる側“にとっての価値が何であるかを理解しないといけない。農協や生産者とともに、お客さんが支持してくれるものづくりをしていくことが大切です」。最後に、立石アドバイザーはそう語ってくださいました。
 従来の考えにとらわれず、消費者側に立った発想でものづくりを見直す。変化の時代を生き抜くための原点が、ここにあるようです。

 

トマト等画像 


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