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特集2 育っています!明日を担う若者たち

印刷ページの表示 ページ番号:0000119741 更新日:2011年2月14日更新

特集2 育っています!明日を担う若者たち

 

産業を支えるのは、いつだって「人」の力です。
今回の特集では、大分県の未来を担う「人づくり」に焦点を当てます。
舞台は県内の高校。
ものづくり人材の育成や農業の担い手育成を行う、
高校の取り組みを追いました。


目指せジュニアマイスター!
〜ものづくりの達人になろう〜

 ジュニアマイスター顕彰制度」をご存じでしょうか。これは全国の工業系学科の高校生を対象にした表彰制度で、生徒の技術、技能の習得に対して「マイスター」の称号を贈り積極的に評価しようというもの。平成13年に全国工業高等学校長協会が設立しました。
 国家職業資格や検定、コンクール入賞実績などが独自に点数化されており、生徒は資格取得などを積み重ねて、点数を集めていきます。在学中に得た点数によりジュニアマイスターシルバー、ゴールドといった称号が授けられます。
 この「ジュニアマイスター」の取得を後押ししようと、今年から新たな取り組みが始まりました。「おおいたマイスター育成大作戦推進事業」として、企業から熟練技能者を講師に招き、資格取得を目指す生徒にきめ細かい指導を行っています。
 11月のある日、その様子を取材するため、佐伯鶴岡高校を訪れました。その日はシステム工業科の2年生を対象に、「電気機器組立・シーケンス制御作業」という講座が行われていました。
 今回講師を務めたのは、(株)東芝セミコンダクターで装置の設計等をされている田中秀智さん。田中講師は、機械操作の考え方から検定のポイントまで幅広く解説し、悩みながら手を動かす生徒には的確にアドバイス。知識や技術を学ぼうと、生徒は熱心に耳を傾けていました。
 「新しいことを知ろうとする意欲があるので、教えていて楽しいですね。頭の中だけで考えるのではなく、実際にものに触れて動かす楽しさを知ってほしいです。それをやる気にもつなげてくれれば」と田中講師は期待を込めます。
 また、講師とともに指導する工業科の福本哲也教諭は、「社会から求められる能力を持った人材育成は重要です。技能や資格を持っていれば努力のあかしになり、生徒の自信にもなりますから、今後も力を入れていきたいです。また、この講義で現場で働く人の生の声を聞き、ものを作る上での心構 えや仕事への責任感を学んでほしいですね」と語ってくださいました。
 一方、今日の講義の感想を、生徒に尋ねてみました。
 2年生の小谷智宏君と丸山智之君は、「講義の中で『どうしてこう動くのか』といった機械の内部の仕組みをしっかり教えてもらい、理解できた」と笑顔で語ります。
「まだまだ勉強不足ですが、ジュニアマイスター目指して頑張ります」と意気込む二人。“ものづくり県大分”を支える若い力が着々と育っているようです。 

講義の様子

生徒画像

 

 

おおいたマイスター育成大作戦推進事業

県商工労働部と県教育委員会が連携して教育現場に企業の技術指導を取り入れ、ものづくり教育を充実させる取り組み。県内の工業科のある10の高校で、機械検査や建築大工、溶接などさまざまな分野で「ものづくり塾」を開催している。

 

高校生が活躍!
地域農業に若い力を

  国東高校の園芸ビジネス科では、「未利用資源を活用した野菜生産」という夢のある実験に取り組んでいます。
 昨年度、ファームテック(株)、フンドーキン醤油(株)、大分大学、国東高校の間で、「大豆煮汁」を活用した産学官連携プロジェクトがスタートしました。「大豆煮汁」とは、味噌の製造時にできる液体のこと。これまで産業廃棄物として大量に廃棄されてきた「大豆煮汁」を資源に、新たな植物の成長促進剤を開発しようという試みです。
 そして、その研究開発の作物試験を行っているのが、国東高校の生徒たち。生徒がとった実験データが、新しい商品開発の一翼を担っているわけです。
 試験は、大学が大豆煮汁を発酵させて作った試作品で行われました。既存の成長促進剤なども用い、それぞれの生育の違いを観察。
 その結果、大豆煮汁からできた散布剤には、既存の成長促進剤と同様の生育効果があることが分かりました。さらに、無処理で育てた作物に比べ、大幅に野菜の糖度が高いことも明らかに。 
 「自分たちの管理によって、トマトやネギの成長に変化が出るとうれしいです。また、得られたデータを大学や農家の人に活用してもらえることに、やりがいを感じます」と語るのは、3年生の相部駿君です。大学や地域との連携により、これまでできなかった成分分析や栽培方法のアドバイスが得られ、とても刺激になったそうです。
 「地元農家や大学、企業と連携することで、生徒は目的を持って楽しく学べるのではないでしょうか」とおっしゃるのは、この実験を指導する小俣秀之教諭。「地域に学び、地域に還元することも学校の役割の一つです。こうした夢のある農業教育の取り組みを通じて、地域に貢献できる社会人を育成したいと思っています」と語ってくださいました。
 県教育委員会は、将来の地域農業を担う人材育成を目的に、地域に根ざした特色ある農業教育を進めています。地元の農産物を使った加工品づくりや、病害虫の防除、飼料米についての研究もその取り組みの一環。地域の力の一角として、高校生も農業の課題に向き合っています。
 後継者不足や輸入農産物の増加など、多くの難題を抱える県農業。“未来を耕す”若い力に期待が高まります。

高校生画像

 

 生徒

生徒2

地域に根ざした農業教育推進事業

高校生が県や農業経営者と連携し、地域農業の課題をテーマに、研究や特産品開発をする取り組み。
県内の4つの高校の農業科で、さまざまな活動が行われている。