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特集2 見つめ直そう、みんなの人権

印刷ページの表示 ページ番号:0000239175 更新日:2011年7月22日更新

特集2 見つめ直そう、みんなの人権-8月は差別をなくす運動月間です- 

 日々の暮らしの中で、人権に関する事柄が身近にたくさんあることをご存じですか。
 人権は、難しいことではありません。一人ひとりが自分らしく幸せに暮らしていくために、生まれた時から持っている大切な権利です。
 日常を振り返って、人権について考えてみませんか。

 私達は、いろいろな個性や異なる考え方を持った人々と関わりをもち、支え合いながら生活をしています。それぞれの違いを認め、尊敬しあい、誰もが自分らしく生きていきたいと願っています。しかし、実際は、その願いが妨げられる場合があります。そこに浮かびあがってくる問題が「人権問題」です。

 例えば、「もう年なんだから」と言って高齢者が社会へ出る機会を奪ったり、「男性は仕事、女性は家庭」と固定観念をもとに決めつけることもその一つです。
 私たちができることは、人権に関心をもち、偏見にとらわれた言動をしていないかをふりかえることです。
県は、差別をなくすために、人権教育や啓発活動を積極的に行うとともに、関係機関と連携しながら相談体制を整えています。

特に、同和問題については、同和対策審議会答申が出された8月を「差別をなくす運動月間」と定め、集中的に啓発をしています。

 

 同和対策審議会答申 昭和40年8月

身の周りの人権問題 

知ってほしい 差別すること されること

 同和地区出身者として、自身の経験をもとに講演などの人権啓発活動を行っている、宇佐市教育委員会 人権・同和教育指導員の大石縁(ゆかり)さんにお話を伺いました。

-最初は、差別と向き合うことができなかった 

同和地区の出身とは、24歳になるまで知りませんでした」とおっしゃる大石さん。結婚を考えた相手と結納の準備をする段階になり、相手の親族に反対されて初めて知ったそうです。

「当時は人権教育がなく、知識がなかったので差別をされる理由がわかりませんでした。だから、できれば逃げ出したかった」と当時の思いを語ります。

 同和問題と向き合い始めたのは、33歳の時。体調を崩して自宅療養をしていた時に、人権活動団体の事務を引き受けたことがきっかけだといいます。職場にあった同和問題に関する本を読んでいくうちに、「子どもたちも自分と同じように知らないまま大人になっていくのではないか」と次第に同和地区に目を向けるようになっていきます。 

- 自分を見つめ直せた

 同和地区の子ども達と触れあう場を求めて、高校生を対象に開催されていた学習会に参加するようになった大石さんに転機が訪れます。

 ある時、学習会に参加をしたいと希望した先生が、高校生の前で最初にこう言ったそうです。
 「学習会に参加したいと思ったのは、家族が同和地区出身の方と結婚をすることになったからです。親族の意見を聞くうちに、なぜ出身地が結婚の障壁になるのか疑問を持ちました。身近な問題になった今、きちんと知りたいのでみんなと一緒に勉強させてほしい」。

 差別の現実を知り、その問題に向き合おうとする先生の真摯な姿に心打たれた大石さんは、これまで兄弟にも言えなかった自身の結婚差別についての思いを話す決心がついたといいます。

「本音でぶつかるからこそ伝わる思いや、人に話すからこそ気づけた自分の気持ちがあります」と大石さん。

「同和地区出身だと知った時になぜショックを受けたのか。それは、自分の心の中にもマイナスイメージがあり、無意識に差別する心があったからです」。

-誰にでも差別をする心はある、それに気づくことが差別をなくす第一歩です

「同和問題に向き合うことは、自分の中にある差別をする心に気づくことから始まります」と大石さんはおっしゃいます。

誰でも、差別をする側になる可能性があります。「自分とは関係ない」という無関心も、その一つです。

まずは自らの差別心に気づき、なくすために勉強をして正しい知識を身につけることが大切です。理解を深めることで、相手の気持ちを考えたり、物事を多角的にみることができるようになるといいます。

本を読み、講演や体験談を聞きながら「もし自分や大切な人だったら・・・」と考えることも人権学習です。

大石さんは、「常識や偏見にとらわれずに、本当に正しいかを振り返って、見つめなおすことを続けてほしいです」と強く訴えます。

-いつか、差別はなくなると信じています 

最後に、大石さんはこうおっしゃいます。

「昔は陰でしか語られなかった同和問題が、今では教育現場をはじめ社会のあらゆる場面で議論ができるようになりました。

時代の流れが変わっていくように、人もきっかけがあれば変わることができます。人が作った差別は、人がなくすことができるはずです。だから、私は同和地区出身者として、今後も伝え続けます。一人でも多くの人に伝わると信じて」。

大石縁さん