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世界農業遺産に認定されました

印刷ページの表示 ページ番号:0000277429 更新日:2013年7月30日更新

 5月30日、国連食糧農業機関(F A O)の国際会議が石川県七尾市で開催され、国東半島宇佐地域が「世界農業遺産」に認定されました。

 今回の特集では、世界に認められた国東半島宇佐地域の農林水産循環システムの魅力などをご紹介します。

 世界農業遺産

 世界農業遺産とは、国連食料農業機関(F A O)が伝統的な農業や文化、土地景観の保全を目的に2002年に創設した制度です。今回の会議で、大分県を含む6地域が認定され、世界農業遺産は11カ国25地域となりました。英語略は「Kunisaki  G I A H S(クニサキジアス)」。今後はこれを生かし、県と6市町村が連携し、農業や地域振興、文化・環境の保全に努めていきます。

認定の主なポイントは?

 山間部で、降水量が少なく雨水が浸透しやすい火山性の土壌という不利な生産条件下にありながら、クヌギ林とため池群をうまく活用したしいたけ栽培などの農林水産循環システムと、それによって育まれた文化や景観、生物多様性の保全などが評価され、今回の認定となりました。

クヌギ林の多面的な役割と原木しいたけ

 本県はクヌギの蓄積量が日本一で、全国の22%を占めています。伐採しても約15年で再生する木材資源の循環という特徴を持つクヌギ林は、人々の手によって大切に維持管理され、水の保全や森林・海への栄養分の循環、生態系の保存、生物資源の循環などに大きく寄与しています。
 また、生産量・質ともに日本一の原木しいたけ栽培に欠かせないほだ木として、森林資源から貴重な食料を生み出すという食料安全保障の観点からも重要な役割を担っています。

ため池群が育む水田農業

クヌギ林によって水がかん養される小規模なため池はこの地域の水田農業を支えており、約1200カ所も作られています。複数のため池を連携させて少ない水を効率よく使う用水供給システムは今も健在で、その知恵と経験は代々受け継がれています。

未来への継承

林会長

 「自分達の住んでいる地域が世界に認められ、一次産業に光が当てられたことは、とても嬉しく誇りに思います。地域住民の皆さんをはじめ、申請に関わったすべての方のご尽力のおかげです」と喜びを声ににじませるのは国東半島宇佐地域世界農業遺産推進協議会の林浩昭会長です。

 今後、この認定をどのように生かしていきたいかを伺いました。
 「この地域に息づく農林業の営みや育まれてきた文化などについて、そこに住む人が語り部となって世界に発信してもらいたいです。そして世界農業遺産で農業を営むことがステータスとなり、地元住民の更なる活力につながり、新たな担い手が増えることを願っています。私もUターン経験者ですが、I J Uターンの就農希望者にも売り込んでいきます。そのためにも、農林業で生計が成り立つよう付加価値を高め、シチトウイや日本一の乾ししいたけなどのブランド化を図り、次の世代へ引き継いでいく体制を整えたいです。

 また、国内外に魅力が発信できるよう各地域に磨きをかけ、観光振興にもつなげていきます。グリーンツーリズムも盛んなので、未来を担う子ども達の教育旅行の受け入れも積極的に行っていきたいですね」と意気込みを語ってくれました。

 世界に注目され始めた国東半島宇佐地域。この貴重な農業システムを次世代へ継承するため、新たな取り組みが始まっています。

地域の誇りに

河野委員長

 中世の土地利用のあり方を当時と変わらない水田や景観を通じて今に残している豊後高田市の田染荘(たしぶのしょう)小崎地区。ここは世界農業遺産に認定された場所の一つです。湧水を中心として水田開発が始まったこの地域では、水源の守り神として荘園の中に雨引社(あまびきしゃ)という鳥居がまつられており、生活文化の中に根付いています。

 荘園の里推進委員会の河野  一三(こうのかずみ)委員長は今回の認定についてこう語ります。

 「限りある水を有効活用し、中山間にある盆地という地形と調和しながら農業を営んできた先人の知恵と、それを守り受け継いできた地域住民の努力が報われて、本当に感無量です。私達の励みになります。ここで収穫したお米は商標登録をした「荘園米」として売り出していますが、この認定を受けてますます弾みがつくと嬉しいですね。これからも、この誇りを胸に、地域のみんなで助け合いながら、先人に負けないような知恵を出し合って歴史と文化、景観を守り続けたいです」。