ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 大分県収用委員会 > 収用手続の流れ

本文

収用手続の流れ

印刷ページの表示 ページ番号:0002014484 更新日:2021年1月12日更新
 土地収用制度は、どのような場合でも適用されるわけではなく、法律で定められた特定の事業のために土地を利用する場合に限られています。さらに、その事業に相当の公益性が認められなければなりません。
 収用手続は、事業の公益性を判断する事業認定手続と、公益性を有すると認められた事業について、土地の収用または使用の裁決を行う裁決手続とに分かれており、収用委員会は、裁決手続にかかわっています。

事業認定手続

 事業認定手続を経て、その事業の公益性が認められることで、収用委員会の裁決手続が開始されます。
 事業認定手続に収用委員会はかかわっていませんが、事業認定を受けることが収用委員会の行う裁決の前提となります。

(1)事業認定

 起業者が土地を収用または使用しようとするときは、起業者が行おうとしている事業の公益性や妥当性について、国土交通大臣または知事から事業の認定(事業認定)を受ける必要があります。
 事業認定は告示があった日からその効力が生じます。
 起業者は手続が保留された土地以外は1年以内に、裁決申請を行うことができます。
 都市計画事業の認可の告示は事業認定の告示とみなされ、事業施行期間中は1年経過する毎に新たな事業認定の告示があったものとされます。
 事業認定の告示があると、土地等の補償金の価格は固定され(価格固定)、以後権利取得裁決の時までの物価の変動に応じた修正がされます。

ボタン1
※事業の公益性等の判断は、事業認定庁の権限とされており、収用委員会には判断する権限がありません。そのため、収用委員会に対して事業計画の変更を求めても認められないことになります。

※事業認定の告示があった後においては、知事の許可を受けなければ、起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更をしてはならないことになっています。

裁決手続

(2)土地調書・物件調書の作成

 起業者は、裁決申請にあたっては土地調書を、明渡裁決の申立てにあたっては、物件調書を作成する必要があります。
 これらの調書は、収用しようとする土地や物件の状況、権利関係などを確認するもので、起業者は裁決申請書及び明渡裁決の申立書に添付します。
 調書作成にあたっては、起業者、土地所有者及び関係人の立会いと署名・押印が必要となっています。
 土地所有者及び関係人は、調書の記載事項に異議があれば、その内容を付記して署名・押印することができます。
 異議を付記した事項については、収用委員会においてその真否を争うことができます。
 ただし、異議を付記しなかった事項については、記載の内容が真実でないことの立証をしないかぎり異議を述べることはできません。
 なお、土地所有者及び関係人が署名を拒否した場合、または署名・押印ができない者がある場合は、市町村長(または長が委任した市町村職員)が立会いし、署名・押印することになります。

ボタン1
 適法に作成された調書には、記載事項は真実に合致しているとの推定力が与えられます。
 このため、異議を付記した事項については、収用委員会の審理等においてその真否を争うことができますが、異議を付記しなかった事項については、調書の記載内容が真実に反していることを立証しない限り、その真否について異議を述べることができなくなります。
 なお、土地調書・物件調書については、起業者が作成し、その際に、土地所有者及び関係人に立会いを依頼することになっています。
 お問い合わせ等は、起業者の方にお願いします。

(3)収用裁決申請及び明渡裁決の申立て

 起業者が行う収用裁決の申請には、土地の所有権を取得するための裁決申請と、収用しようとする土地にある建物などの物件を撤去して土地の明渡しを求めるための明渡裁決の申立てがあります。
 明渡裁決の申立ては、裁決申請と同じ時期かその後に行います。

(4)裁決申請等の受理と公告・縦覧

収用委員会は、裁決申請または明渡裁決の申立てがされると、内容が法令に適合しているかを審査して受理します。
 また、申請または申立てがあったことを土地所有者及び関係人に通知し、収用しようとする土地が所在する市町村長に裁決申請書または明渡裁決の申立書の写しを送付します。
 収用委員会から送付を受けた市町村長は、申請または申立てがあったこと、収用しようとする土地の所在などを市町村の掲示板に掲示(公告)します。
 また、土地所有者、関係人が自らの権利の内容などを確認するため、裁決申請書または明渡裁決の申立書の写しを見ることができるよう市町村で公告の日から2週間縦覧します。

(5)縦覧期間内の意見書の提出

 土地所有者及び関係人は、縦覧期間内に、収用委員会あてに、収用に係る権利者、収用の区域、損失の補償、権利取得の時期、明渡しの期限などについて、意見書を提出することができます。
 ただし、縦覧期間が経過した後に意見書が提出された場合でも、収用委員会が相当の理由があると認めるときは、受理されます。

◎意見書の様式は、特に定めはありませんが、意見書には作成の日付、提出者の住所・氏名の記載が必要です。 (⇒参考 意見書様式例)
◎複数の人を代表して一人が意見書を提出することができますが、その場合は、全員の委任状が必要です。 (⇒参考 委任状様式例)

ボタン1
 損失の補償に関する事項については、審理においても新たに意見書を提出したり、口頭で意見を述べることができます。  (⇒参照 「審理」)
 しかし、損失の補償に関する事項以外については、原則として、縦覧期間中に提出された意見書記載事項を説明する場合以外は、審理において意見書を提出したり、口頭で意見を述べることができません。
 なお、意見書の内容は、収用委員会の審理に関する事項に限られますので、事業計画反対など事業認定についての不服に関することは記載できません。

(6)裁決手続開始の決定・登記

 市町村による裁決申請書の縦覧期間が終了すると、収用委員会は裁決手続の開始を決定して、その旨を「大分県報」で公告し、収用しようとする土地について裁決手続開始の登記手続を行います。
 一筆の土地の一部が収用の対象になっている場合、まず、起業者が土地を分筆した後に、収用委員会が、収用の対象となっている土地について、裁決手続開始の登記手続を行います。

ボタン1
 この登記後は、相続人などを除き、権利の移転があっても起業者に補償金を請求する権利を主張することができなくなります。
 収用委員会と起業者は、登記時点の権利者を当事者として手続きを進めます。

(7)現地調査

 収用委員会は、裁決手続開始の決定後、土地や物件を確認するために現地を調査します。

(8)審理

 収用委員会は、縦覧期間経過後、審理を開始します。審理は、収用委員会が起業者、土地所有者及び関係人から裁決事項についての意見を聴くもので、原則として公開で行います。
 起業者、土地所有者及び関係人には、審理の開始に当たり、収用委員会より、あらかじめ審理の日時及び場所を通知します。代理人を出席させる場合は、委任状が必要です。(⇒参考 委任状様式例)
 審理は、収用委員会の会長が指揮をして、おおむね次のことについて意見を聴き、意見の対立点を整理していきます。

 1.収用しようとする土地の区域
 2.損失の補償
 3.権利取得の時期
 4.明渡しの期限

 審理では、起業者、土地所有者及び関係人は、意見書を提出したり、意見を述べることができます。(⇒参考 意見書様式例)
 また、審理で、起業者、土地所有者及び関係人が述べた意見について、収用委員会から、新たに意見書や資料の提出を求められることもあります。
 補償金額に争いがある場合には、補償金額の算定の参考にするため、鑑定人に土地や物件を鑑定させることがあります。

ボタン1
 原則として審理が終了するまでの間に、次のような事項について意見書を提出し、または審理において意見を述べることができます。また、意見の内容を証明する資料などを提出することもできます。
   1.縦覧期間中に提出した意見書に記載した内容の説明
   2.損失補償に関する事項 (⇒参照 「損失補償の内容」)
   3.収用委員会から説明を求められたり、提出を命じられた事項
※事業計画への不満など事業認定に対する不服に関する事項等については、口頭または意見書により、意見を述べることができません。

(9)裁決

 収用委員会は、審理で明らかになった争点について必要な調査、検討を行い裁決します。
 裁決前に当事者間で合意が成立した場合は、任意契約をして裁決申請を取下げるか、収用委員会で和解調書を作成することができます。
 裁決には、権利取得裁決と明渡裁決があります。
 裁決後は、起業者、土地所有者及び関係人に裁決書正本が送付されます。

【権利取得裁決の主な裁決事項】  

  ・収用する土地の区域
  ・土地に関する権利(所有権、賃借権、地上権、抵当権など)に対する損失の補償

 権利取得裁決があると、起業者は権利取得の時期までに土地所有者や関係人に補償金を支払い、権利取得の時期に土地の完全な所有権を取得します。

【明渡裁決の主な裁決事項】  

  ・土地の明渡しに伴う補償(建物の移転料など)
  ・明渡しの期限

 明渡裁決があると、起業者は明渡しの期限までに補償金を支払い、土地所有者や関係人は物件を移転して土地を明け渡さなければなりません。
 明け渡さないときは、起業者の請求によって、知事が代執行することができます。


ボタン1

 補償金の受領を拒まれても、起業者が供託すると支払ったことになります。
 物件を移転して明け渡されないときは、起業者の請求によって、知事が物件移転を代執行することができます。

(注) 代執行とは、他人が代わって行うことができる公法上の義務について、義務者が履行しない場合、行政庁が自らまたは第三者をして義務者のなすべき行為をなし、要した費用を義務者から徴収することをいいます。