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学位(博士)取得報告

印刷ページの表示 ページ番号:0000120661 更新日:2011年3月4日更新

研究の背景

微生物担当の成松浩志主幹研究員が、食中毒や感染症の迅速検査法開発につながる遺伝子研究で学位を取得した研究課題をお知らせします。

学位授与大学  大分大学(平成221222日)

学位請求研究課題「日本の下痢症患者及び健康者由来eae保有大腸菌におけるNon-LEE病原性アイランドの病原性関連遺伝子の分布

 

背景

大腸菌は、人の腸内にも普通にいる細菌で、ほとんどは無害であるが、一部の種類は食中毒や感染症の原因となり、病原大腸菌と称される。現在、病原大腸菌は、O157で有名な腸管出血性大腸菌など5種類に分類されている。通常の培養検査では、無害な大腸菌との鑑別に多大な時間と労力を要するので、迅速診断には病原因子(毒素など)を標的とする遺伝子検査法が有用であるが、病原因子の未解明な種類もある。その一つが腸管病原性大腸菌(EPEC)で、国内の下痢症でも主要な病原体であることから、迅速な食中毒検査を可能にするためにも病原因子の解明が急がれる。

近年、EPECの腸管粘膜への付着機構の研究が進み、インチミン遺伝子(eae)が関与することが判明したが、eaeは健康者からとれる大腸菌からも下痢症からとれるものと同頻度に検出されることから、迅速診断の決め手となる指標にはならないこともわかった。

 

今回評価された研究内容

本研究では、eaeが存在するLEE遺伝子座以外の病原性関連遺伝子座(病原性アイランド)にも着目し、国内の下痢症患者と健康者からとれたeae保有大腸菌について5種類の遺伝子の保有状況等を調査し統計解析したところ、efa1/lifA遺伝子でのみ下痢との関連性が示された。一方で、これらの遺伝子は相互に関連する傾向を示し、その保有パターンはeaeの遺伝子型に関連していた。さらにefa1/lifAespC遺伝子の保有パターンで、EPECは4グループに大別できることが判った。

本研究に基づき、EPECの全体像が明確となり、不明であったEPECの病原因子の解明が進展し、PCR法など遺伝子検査による迅速診断法の開発に繋がることが期待される。研究論文は、評価されアメリカ微生物学会の学術誌Journal of Clinical Microbiologyの2010年11月号に掲載された。

 

用語解説 [PDFファイル/1.16MB]

 

 

知事報告の様子

知事に説明している様子

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