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牛および豚における簡便かつ安価な雌雄産み分け技術の開発に成功!

印刷用ページを表示する掲載日:2019年8月22日更新

 広島大学大学院統合生命科学研究科島田昌之教授および梅原崇助教と大分県農林水産研究指導センター畜産研究部との共同研究グループは、広島大学が発見した「マウスのX精子とY精子の機能差」(Umehara et al., PLOS Biology, DOI: 10.1371/journal.pbio.3000398)を利用した、牛および豚における簡便かつ安価な雌雄産み分け技術の開発に成功しました。 

   畜産業においては性別の差が経済性に大きく影響します。しかしながら、現在の雌雄産み分け技術は牛でしか実用化されておらず、セルソーターという高額な機器が必要であること、X精子とY精子の分離に長時間を要すること、その処理過程で受精能力が低下するといった問題点があります。また、多量の精子を人工授精に使用する豚では、雌雄産み分け技術は実用化されていませんでした。

   広島大学と大分県農林水産研究指導センター畜産研究部は、牛や豚において、X精子にのみ発現する受容体タンパク質TLR7とTLR8に結合するリガンドを用いてX精子とY精子を分離する技術を用い、牛では体外受精で、豚では人工授精により雌雄産み分けに成功しました。本技術は既に特許出願しており、現在、牛の体外受精卵作成と豚の人工授精技術における雌雄産み分けの実用化研究に取り組んでいます。 

   今回開発した技術は、既存のセルソーターによる手法の問題点を全て解決し、簡便かつ安価に雌雄の産み分けを可能とする画期的な技術で、我が国のみならず世界中で牛や豚の生産に利用されることが期待されます。

   広島大学のマウスをモデルとした研究成果は、「PLOS Biology」オンライン版に掲載されました。 

   2019年8月9日、本件について共同研究グループは広島大学東京オフィスで記者説明会を開催しました。

                        (記者説明会写真)

                             (記者説明会写真)

【論文情報】
・掲載雑誌: PLOS Biology
・論文題目: Activation of Toll-like receptor 7/8 encoded by the X chromosome alters sperm motility and provides a       novel simple technology for sexing sperm
・著者: 梅原 崇、辻田 菜摘、島田 昌之
  広島大学大学院統合生命科学研究科
・DOI: 10.1371/journal.pbio.3000398

 【特許出願】
・発明の名称
  哺乳動物精子の分離方法、人工授精方法及び体外受精方法
・発明者
  島田 昌之1、梅原 崇1、後藤 雅昭1、2、久々宮 萌果2
   
1広島大学大学院統合生命科学研究科、2大分県農林水産研究指導センター畜産研究部
・出願人
  国立大学法人広島大学、大分県
・出願番号
  特願2018-120260

<用語説明>
・セルソーター
  試料にレーザーを照射し、そこから発する蛍光や散乱光を分析して、大きさやDNA量の違いから細胞を選択し、回収する ことができる装置。牛では、X精子はY精子よりDNA量が約3.8%多いことから、このDNA量の違いに基づいて判別し、X・Y精子を分離できる。

・TLR(Toll様受容体)
 細胞膜表面あるいは細胞内の小胞体にある受容体タンパク質であり、種々の病原体を感知して自然免疫(生体に侵入した病原体をいち早く感知し、発動する第一線の生体防御機構)を作動させる機能を有する。哺乳類において、TLR1からTLR13まで13種の存在が報告されている。本研究で着眼したTLR7とTLR8は、RNAウイルスの感染を認識する受容体であり、1本鎖RNAや合成低分子化合物により活性化される。

・リガンド
  リガンドとは、特定の受容体に特異的に結合して、受容体を活性化する物質であり、TLR7とTLR8両者に作用するリガンドとして低分子化合物であるR848が、TLR7にのみ結合するリガンドとしてR837が知られている。

 報道発表資料 [PDFファイル/430KB]


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