人と木のかかわり

1.木材と健康
うるおいやあたたかさ、柔らかさを感じさせる素材、それが木材です。
(1)木材とこころ
中学生を対象に、自分の教室の印象を評価してもらったところ、木造校舎の生徒の方が鉄筋コンクリート造校舎の生徒よりも「あたたかみ」や「落ち着き」などのよい印象を感じ、より快適な印象を持っていることが分かりました。木造校舎は温度や湿度を調節したり衝撃を和らげるなど、すぐれた性質をたくさん持っていますから、木の教室で勉強すれば勉強だってはかどりそうですね。

(2)木材とからだ
ある老人ホームで、心身の不調やけがについて調べたところ、木材がたくさん使われている施設の方がインフルエンザやけが、不眠などの発生率が低いという調査結果が出ました。高齢化社会を迎えるこれからは、人にやさしい木の空間に暮らすことが、健康で長生きできる秘訣かもしれませんね。
(3)木材といのち
マウスを使った実験によると、木でできた飼育箱で飼ったマウスの方が、金属やコンクリートの飼育箱で飼ったマウスより長生きできるという結果がでています。体重の変化で見ても、木の飼育箱の方がよく成長することが分かります。木の家に住めば、人だって長生きできそうですね。
(4)木材と健康
木の住まいには、ダニを寄せつけない効果があります。ある集合住宅の床をカーペットから木のフローリングに改装したときの調査で、ダニが減少したという結果がでました。木材の調湿効果や木材に含まれる成分が有効に働くと同時に、ダニの生息に適したすきまが無くなったことが、その理由だと思われます。ダニはアレルギーの原因の一つとも言われるだけに、清潔で健康な暮らしにも木は大いに役立っているわけです。
2.木材の特性
木材が他の素材と大きく異なるのは、天然素材であるという点です。天然の素材であるために、他の素材にはない優れた特性を多くもっています。
(1)強さ
素材ごとに重さ当たりの強度を比較すると、木材は鉄やコンクリートと比べても十分な強度を持っています。木材は、細胞がパイプ状に複雑な構造をしているとともに、主成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンの結びつきによって、重量の割に強い素材となるのです。
(2)柔らかさ
木材には適度な柔らかさと弾力があり、衝撃を吸収する働きがあります。例えば、床を木製にすると、歩くときや運動するときに足にかかる負担をやわらげるとともに、転んだときにケガをしにくくなります。このため、幼稚園・保育園や、老人ホームなどで多く使われています。
(3)熱の通しにくさ(断熱性)
鉄やコンクリートは熱伝導率が高いため、触ると手から熱が奪われ冷たく感じます。木材は、熱伝導率が鉄の400分の1と大変小さく、熱を伝えにくい素材です。また、このことは断熱性能に優れていることも表します。
(4)燃えにくさ(耐火性)
木材、アルミニウム、鉄を同じ条件で加熱した場合の時間による強度の変化を見ると、アルミニウムや鉄はある温度に達すると急激に強度が低くなりますが、木材はゆっくり強度が低下します。また、木材は燃えやすいと言われていますが、柱など断面積が厚い木材は、表面が燃えても内部まで燃えるには時間がかかります。
(5)湿度の調整
木材には、湿度を調整する働きがあります。湿度の高い時は水蒸気を吸い、湿度の低い時は水蒸気を放出するのです。このため、室内に木材を利用することによって、湿度の変動幅を低く抑えることができ、過ごしやすい環境となります。
3.木材と地球環境
木材を生活の中で上手に使うことは、地球環境を守ることにつながります。
(1)木材は炭素の貯蔵庫
現在、地球の温暖化により様々な影響が起こりつつあり、われわれ人類にとって温暖化防止は重要なテーマとなっています。
地球温暖化の主な原因とされているのが、大気中の二酸化炭素の増加です。二酸化炭素は、動植物の呼吸などにより発生しますが、人類が石油や石炭などの化石燃料を利用するようになってから、莫大な量の二酸化炭素が排出されるようになりました。
植物は、呼吸により二酸化炭素を排出する一方、光合成をする過程で二酸化炭素を吸収します。特に若い木は活発に光合成を行い、二酸化炭素を炭素に変えて幹や枝などにたくわえます。このため、若い木は地球温暖化の防止に効果を発揮しているといえます。
また、木にたくわえられた炭素は、木を伐採して木材となっても、燃えたり腐ったりしないかぎり、木材の中にたくわえられています。この炭素の量は、乾いた木材の重さの約半分もあります。このため、木を伐採して、木材を生活の中で上手に利用し、また木を植えることは、大気中の二酸化炭素を減らすことにつながるといえます。
(2)再生産が可能な素材
木は、植えて、育てて、伐採して、使っても、また植えることにより数十年で再生し、繰り返し利用することができるようになる素材です。これに対し、石油や石炭などは、再生産されるまで数億年の時間が必要であるため、事実上は繰り返し生産できない、使いきりの素材といえます。
この「繰り返し生産される」という点でも、木材は優れた素材ということができます。