vol.10 2000 年5月発行
特集1 健全財政のもと積極的な施策展開
県政フラッシュ

地域からのメッセージ


積極・健全化予算
平成12年度一般会計当初予算 7,206億円
21世紀を目前に控え、生活者に優しく暮らしやすい"生活優県 おおいた"の創造をめざし、景気対策、福祉・環境対策、少子・過疎対策に重点を置き、県政を積極的に推進する。今年度は4月から地方分権一括法や介護保険制度が施行され、地方分権に向けて踏み出す。かたや、立命館アジア太平洋大学の開学などによる人材育成や交流の拡大、福祉、環境、産業 など各分野での取り組みが新しい時代に向けて大きく芽を出そうとしている。
 
2000年度一般会計当初予算額7,206億円
健全財政のもと積極的な施策展開

財政の健全化

  過疎化、少子・高齢化への対応をはじめとする財政需要が増大するなか、事務事業の徹底した見直しなどにより財源を捻出し、限られた財源の重点的、効率的配分に努めた。

◆県債発行額の抑制
 

県債の発行額は対前年度比で▲3.0%(地方財政計画▲1.4%)とし、4年連続(当初予算ベース)で削減した。

事務事業の徹底的な見直し  

153件の事業を廃止するとともに、197件を縮小・統合し、約114億円の歳出を削減し、財源を確保した。

景気対策

 地域経済緊急対策として県単独の道路整備、河川改修を前年度同額確保するとともに、道路、橋梁 の維持補修を拡充し、県全体の浮揚を図る。
 また、中小企業活性化資金の融資利率の引き下げや新規融資枠の拡大に加え、 中小企業の経営革新や創業を支援するとともに、 離転職者や高卒未就職者の職業訓練の実施のほか、 緊急雇用対策として若年林業従事者の養成や教員に対するインターネット研修などに取り組む。                                                                              


福祉対策

 介護保険制度の開始に伴い、介護給付などに要する県負担金を措置するほか、介護保険事務の広域 共同化を検討する。また、在宅高齢者対策として、生きがい対応型デイサービス、生活援助サービス、 家族介護への支援などを行う市町村に対し助成するほか、知的障害者福祉施設の整備に対し助成する。

環境対策

 環境保全への自発的な取り組みを推進するため、住宅用ミニ太陽光発電システムの貸与を行う市町村 に対し助成するほか、市町村、事業所のISO認証取得を支援する。また、ダイオキシン対策として大気 、水質などの実態調査、常時監視を行うほか、ガス化溶融炉によるごみ焼却施設整備に対して助成する。
 幼稚園や保育所における環境教育に対し助成する。                                                        

太陽光発電システムを導入している
産業科学技術センター



少子・過疎対策


 子どもを生み育てやすい環境をつくるため、現物給付方式による乳幼児医療費無料化、新おおいた子ども育成計画の策定、私立幼稚園の保育料減免に対する県単独の助成制 度の創設、市町村のチャイルドシート購入経費に対する助成を行う。
 市町村や広域連合が行う文化・スポーツ施設や交流拠点の整備に対し助成する。                                      
定住対策のモデル・ハイテクニュータウン向陽台 (武蔵町・安岐町)
また、住宅宅地造成や優良賃貸住宅建設の促進、上下水道の整備など生活環境の充実を図るほか 商業基盤施設の整備や中心市街地の空き店舗対策に対し助成し、個性ある地域づくりを推進する。
 合併・分権フォーラムの開催、市町村合併推進要綱の制定などにより、市町村の自主的な合併気運を盛 り上げるとともに、地方分権を推進する。


農業、林業、水産業の振興

 中山間地域などで生産活動を維持する農業者などへの直接支払いを行う市町村に助成するほか、野 菜、花き、果樹の高度生産団地に対する高率の補助などにより、園芸1,100億円プロジェクト達成を めざす。
 災害に強い森林づくりを進めるとともに、全国椎茸品評会を本県で開催するほか、椎茸ほだ木造成経費に対し助成する。
 
水産資源の維持増大のため、別府湾漁場保全事業のほか、種苗 放流への上乗せやブリ人工種苗実用化をめざした生産技術の開発を行う。                                                                                                                  

人材育成と文化スポーツの振興

 立命館アジア太平洋大学が4月に開学し、国際的な人材を育成するほか、新たに「21世紀大分農 業塾」を開設するなど各分野の人材育成に取り組む。学校教育においては、指導困難な学級の運営 改善、小学校高学年を対象とした共同生活体験活動を行うなど個性を生かした教育を進める。
 地域 文化の掘り起こしを行う市町村を支援するとともに、ワールドカップサッカーに向けた韓国とのスポーツ 交流、語学ボランティアの養成など文化スポーツの振興に取り組む。

地域文化の担い手育成・地域文化道場

平成12年度予算の執行にあたって
 
 

                                        
大分県知事  平松守彦
  21世紀の大分県は、県民の皆さんが、真に豊かさを実感できる「生活優県 おおいた」の創造をめざし、若者に夢を、女性に魅力を、高齢者に安らぎを与える活力ある大分の創造に向け、全力で取り組んでまいります。
 平成12年度予算においては、景気の低迷などにより、主要な財源である県税収入が引き続き厳しい状況の中で、県債発行を抑制するとともに、事務事業の徹底した見直しなどにより、健全財政の枠組みを堅持しながら、景気対策、福祉・環境対策、少子・過疎対策に重点を置いた予算を編成しました。
 特に、景気対策については、道路や河川の整備などの地域経済緊急対策事業を実施するほか、「おおいたの家21」など住宅建設の促進や生活排水対策など県民生活に直結する公共投資を県内全域でバランスをとりながら積極的に実施します。
 継続と改革の精神で明るく夢のある県政の展望を切り開いてまいります。皆様方の一層のご理解とご協力をお願いいたします。

主な新規事業
(単位=百万円)
健やかで心やすらぐ社会の構築
介護保険給付費県負担
6,150
乳幼児医療費助成
1,131
大分県私立幼稚園保育料減免補助
   13
 
豊かな自然と共生し 安全な生活環境の創出
ダイオキシン総合対策推進
19
先端ごみ処理施設導入促進
26
交通弱者対策
200
   
連携と交流による 活力ある地域の創造
地域経済緊急対策道路改良
3,000
豊かな住環境整備
121
ハイパーネットワーク構想策定
20
競争と共生の時代を 生き抜く産業の振興
中山間地域等直接支払
3,019
椎茸生産基盤支援
64
栽培漁業定着支援
12
中小企業経営革新支援
10
 
新世紀を拓く 多彩な文化と人づくりの推進
21世紀大分農業塾推進
エコ教育推進
11
緊急雇用W杯ボランティア養成
29


 サッポロビール
 九州工場オープン

 
 3月15日、日田市高瀬にオープンした。 森のビールをコンセプトに環境問題にも対応した工場だ。
  工場見学や試飲ができるウェルカムホールに加え、 日田市内を一望できるレストラン"森のビール園"は、 バーベキューや北海の幸を堪能でき、年間50万人を超える入場者を見込む。 市街地を巡回するレトロ調バス"ひためぐり号"も運行を開始し、 日田地域の観光・交流に期待がかかる。

大分空港旅客

ターミナルビルの
増改築工事に着手

 3月21日、起工式がで行われた。2002年2月末までに完成し、ワールドカップ時には本県の空の玄関が一新される
 現在の2階建てを3階建てにし、1.5倍の広さになる。国内線の搭乗待合室や出発ロビー、売店を広げ、3階には展望レストランを設ける。国際線は現在のビル南側にターミナル施設を移転する。イベント広場も設けられ、飛行機を利用しない人も楽しめる。

 

エコおおいた
推進事業所の登録


 3月22日、県内の7事業所に登録証が交付された。県では、県民や事業者の自主的、積極的な環境保全活動を促進しており、広く協力事業者を募っていた。
 各事業所は引き続きごみの減量化や電力・燃料・紙使用量の削減、リサイクル活動、環境にやさしい商品の普及などに取り組む。 (登録証交付事業所)
社会福祉法人太陽の家、生活協同組合コープおおいたCO−OPふらいる、潟gキハインダストリー佐伯店、大分ワシントンホテルプラザ、くじゅう花公園、フンドーキン醤油潟hレッシング工場、汲ゥに船満


グリーンネットワーク
宣言
in フィリピン共和国


 3月18日、平松知事を団長とする訪問団がフィリピンのラグナ州サンタクルス市を訪れ、ホセ・リナ ラグナ州知事らカラバルソン地域6州の知事とグリーンネットワーク宣言に調印した。これまでも同地域とは一村一品運動などで活発に交流している。地元小中学生のブラスバンドが鳴り響くなか、これまで大分県が受け入れた林業研修生らと植樹した。マレーシアなどに続き4か所目。17日には、エストラーダ大統領を訪問し、地域づくり運動や地球環境保全などについて懇談した。


県立工科短期大学校 の
第1期生卒業


 3月23日、第1期生82人が巣立った。高度な知識と技能を備えた実践的技術者を養成するため平成10年に開校。
 式では平松知事が「今後はひとつのテーマを持って挑戦してほしい」とエールを送り、卒業生代表の制御技術科の筒井理絵さんが「学んだ知識と技術を生かして努力していく」と答辞を述べた。進学者を除くほぼ100%の67人(うち県内企業58人)が就職した。

新"里の駅"「パピヨン」 (直川村)

 平成11年7月、村内の「憩いの森」に開設された。パピヨンは蝶の意味。木の香りが漂う建物は村産材を使っている。村婦人林研協議会が運営し、手作り木工品や軽食などを提供する。人気は注文により丁寧に仕上げる表札。希望者は木工製作も体験できる。  園内には、202mのローラーすべり台や世界の昆虫を展示する昆虫館、河川プール、13棟のバンガロー、テントサイトがある。また、鉱泉センター直川は疲れた体をいやすのに最適。
 「宿泊客も年間を通じて受け入れ、今夏にはウォーターシューターも完成する。新しい木工品の開発などにも取り組み、施設の魅力を高めたい」と簀戸沙代子会長は語る。 
(0972−58−2517)


消費社会に一石    (国東町)  

 黒津崎のリサイクルショップ「RIS(リス)べる」は、町内の主婦ら5人が「できることから取り組む」をモットーに、平成11年5月に開設。近隣の町村や大分市などからも多くの客が訪れる。現在93人の会員が、お皿やコップ、衣料品、バッグ、おもちゃ、ぬいぐるみ、CD、カメラなどを出品している。営業時間は午前10時から午後2時(土・日・祭日は午後6時)まで。
 循環型社会づくりの一端を担うもので、「各地のイベントへも出店します。声をかけて」と責任者の田吹鈴美さんと高橋澄江さんは意気込む。
(0978−72−2770)


読書でボランティア  (津久見市)

 津久見市のボランティア「たんぽぽ」(会員15名)は、毎月第2,4土曜日の午後、図書館を利用する児童に本を読み聞かせる「おとぎのひろば」を開設している。
 「現代っ子は読書不足。人間形成のためには子どもの頃からの読書が必要」と江口八重子会長が中心になって9年に発足した。11年は延べ600人を超える児童らが参加した。読み聞かせに加え、紙芝居、指人形劇、昔の遊び、ゲームなどで子どもたちとふれあう。指人形劇や最近はじめたブラックシアター(大きな紙芝居のようなもの)が大人気だ。
 さらに、津久見に伝わる民話を掘り起こし、紙芝居にする取り組みを行っており、すでに3作が完成した。
 「あと2作できれば、まとめて絵本にし、ふるさとのはなしとして伝えていきたい」と江口会長は子どもたちの未来を見つめる。


いま、河原内が元気!(大分市)  

 大分市の「河原内くすのき会・竹炭部会」(会員数8人)は竹炭の製作・販売で、地域の活性化に一役買っている。  
  地区は孟宗竹の産地。荒れていた竹林の育成と地域おこしを目的に、平成10年3月から製作を始めた。毎週日曜日、2基の炭焼き窯で窯出しした30kgの竹炭を丁寧に磨き、袋に詰める。水や空気の浄化作用があり、炊飯時や風呂に入れたりと用途は様々。JA大分市の戸次、河原内支所などで、ネット詰め150g300円などを販売している。県外からの注文も多い。
「夏休みには河原内河川プールにも売場を出す。焼き肉用の竹炭セットの貸し出しも考えている。遊びに来て!」と佐藤勝部会長は元気な河原内をアピールした。 (097−596−1477) 


地域の活気は我らの手で(宇佐市)  

 長洲アーバンデザイン会議(会員25人)は市の総合計画や都市計画への提言をはじめ、海岸清掃や朝市で地域の活性化に取り組む。
 春秋には地区民や小・中・高生ら300人が参加し、ビーチクリーンアップ作戦を行う。2tトラック2、3台分のゴミが集まる。最近では住民が自発的に流木などを片づける動きも出てきた。5月から9月までの第4土曜日の翌日曜日には"長洲朝市"を漁協青・婦人部と一緒に開く。ふるさと産品コーナーにはかちえびなどの特産品が並ぶ。鮮魚は8時の開始から30分で売り切れるほどの人気だ。
 10年には小冊子"わがまち長洲の歴史と未来"を作り、地区内の全世帯に配布した。
「長洲は豊前海の恵みのもと、漁業・加工業を中心に栄えてきた。市内外からの交流人口を増やし、活気を取り戻したい」と浜永繁彰議長は意欲を燃やす。