vol.12 2000年9月発行
特集1 中小企業が輝く時代
県政フラッシュ
地域からのメッセージ

中小企業が輝く時代

 日本経済は今、規制緩和や情報化の波の中で大きく変わろうとしている。これまでは考えられなかったような大企業の倒産が現実に起こり、企業は規模の大小にかかわらず、企業努力を怠ると取り残されていくという厳しい環境におかれている。
 平成11年12月、36年ぶりに中小企業基本法が抜本的に見直された。これからは、創業・経営革新など前向きな事業活動を行う企業に対する資金、人材、技術、情報など経営資源を基本とした支援に重点を置き、中小企業の活力を生み出そうとしている。
 県内の元気な中小企業の活動を紹介し、今後の方向性やあり方を考えていく。
 

時代の流れの先を読むベンチャー企業    
   
デジタル
コンプレックス
株式会社
(大分市)
 平成6年に成重健二社長が創業。
東京のコンピューター関連企業で働いていたが、自然の少ない東京の生活に満足できずUターン。「生活の基盤は大分、仕事は全国レベル」を実現した。

情報化時代を生き抜く人材を育てる
 
主な業務は、コンピューターに関する「教育」と「開発」。パソコンスクール「デジタルワークス」を開設。コンピューターグラフィックスなど最先端の情報処理技術の教育など情報分野で即戦力となる専門家を育てている。
 開発部門はホームページの企画・開発・運営のほか、インターネットで買い物ができるオンライン・ショッピング・モールの開発などに取り組む。6月末からはASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)事業の開発に取り組んでいる。

 インターネットを通じて、経理、受発注、営業支援などのシステムを利用できるようするもので、中小企業でも低コストで情報化を進めることができるという点で注目されている。
 平成11年度には、中小企業創造活動促進法の認定を受け、(財)大分県産業創造機構を通じてベンチャー投資を受けた。
 売上げは8,300万円(平成11年)、1億4,500万円(平成12年)と順調に伸びており、来年は売上額3億円をめざしている。社長の成重健二さんは「これからは国内・海外のいろいろな会社と業務や資本の提携をしていきたい」と意気込んでいる。

ホームページ、ソフトウエアなどの企画・開発に取り組む開発部門

 
【会社概要】  
会社名 デジタルコンプレックス株式会社
所在地 大分市中央町1−5−25
新大分ビル3階
創業 平成6年
資本金 1,650万円
代表者 代表取締役
成重健二氏

インターネットで買い物が楽しめるオンライン・ショッピング・モール

従業員数 25名
  電話番号 097−573−7031


確かな技術力で黒字経営を続ける    
   
西日本精機
株式会社
(宇佐市)
1ミクロンの世界でものづくりに挑戦
 平成5年12月に、半導体製造装置関連の精密部品加工で操業を始め、6年からは、より付加価値の高い製品づくりをめざしてIC(集積回路)の金型部品事業に進出。リードフレームの型抜きに使用する金型部品は設計との誤差が1ミクロン(1,000分の1ミリ)以内という高い精度を要求されるが、持前の技術力で克服し、会社の主力事業に育て上げた。さらに昨年からはロボット事業部を立ち上げ、搬送用ロボットなど製品の多角化にも取り組んでいる。
 平成11年度には、中小企業創造活動促進法の認定を受けるとともに、地域活性化創造技術研究開発費補助金を受け、新しく加工用の機械を開発した。
基本を大切に
 社長の奈良百郎さんは、大学卒業後、大阪の大手機械メーカーにおよそ30年勤務、豊後高田市で精密機械メーカーの社長を20年間務め、定年。しかし、地元で親しくしていた技術者仲間から"ぜひ地場で企業を興して"という強い声に押され、60歳で創業した。
原材料(奥)を加工したIC金型部品(中)を製造。リードフレーム(手前)の型抜きに使われる。

 社員の平均年齢は23.2歳。それだけに技術指導は実践的。「精密加工は測定が基本」という社長の考え方から、ものをつくった都度、必ず測定させ、出来具合を確かめさせながら、着実に技術力が身につくように指導している。また、24時間操業で取引先の緊急な発注に対応している。
 売り上げは2億6,000万円(平成11年)から3億1,000万円(平成12年)と伸びており、近く工場も拡張する。
 工場内に掲げられた「一生感動一生感謝一生仕事」というスローガンに、技術者出身の社長らしい企業の一面がうかがわれた。

【会社概要】  
会社名 西日本精機株式会社
所在地 宇佐市大字尾永井328番地
創業 平成5年
資本金 1,200万円
代表者 代表取締役
奈良 百郎氏
従業員数 32名
電話番号 0978−32−7707

細かなニーズをとらえて大企業に対抗    
   
株式会社
鳥繁産業
(津久見市)

 我が国屈指の石灰石資源を持つ津久見市。この自然の恵みをうまく活用しているのが、株式会社鳥繁産業だ。
 石灰石を1,000度で焼くと水分を吸う生石灰になる。これを砕いて袋に詰め乾燥剤にして販売することから始まった。取引先のニーズに応じて製品開発を進めた結果、現在は、酸素を取り除いてカビの繁殖を防ぐ「脱酸素剤」、ケーキなどの洋菓子や水産加工品に使う「保冷剤」、菓子、生麺などに使い、カビを防ぐだけでなくしっとり感も保てる「アルコール揮散剤」など取扱い製品も増えた。

ISO9002認証取得で品質を高める
 
平成9年に県の中小企業診断士などによる経営診断を受け経営を見直し、これをきっかけに国際標準化機構の品質管理システムISO9002の認証を取得(昨年11月)。「コストに対する社員の関心や意識が高まってきました。認証取得により会社のイメージがよくなり、新しい取引先も増えています」と社長の鳥越繁一さん(35)(以下同じ)。
乾燥剤(左上)、アルコール揮散剤(右上)、脱酸素剤(左下)、保冷剤(右下)
1分間に300個の速さで袋詰めされて乾燥剤ができあがる。

取引先のニーズに応える
 
袋の大きさや納入する商品の数の単位などを取引先の要望に合わせてきめ細かく変える。
 最近は、パソコンの普及につれてIC(集積回路)などを搬送する際にも乾燥剤が使われている。「当社の商品は品質保持のために使われるので、これからもいろいろな用途が考えられます」。若い社長の発想で将来が楽しみだ。

【会社概要】  
会社名 株式会社鳥繁産業
所在地 津久見市徳浦宮町3−28
創業 昭和39年
資本金 1,000万円
代表者 代表取締役
鳥越 繁一氏
従業員数 38名
電話番号 0972−82−8133


あなたのやる気を応援します
(財)大分県産業創造機構
 中小企業が抱える経営や技術などについての総合的な
相談のほか、経済情勢や景気動向の調査、経営・技術アドバイザーの派遣、設備の割賦・リース、人材育成のための研修などを行う。
[常設相談窓口]
相談時間
毎週月曜日〜金曜日(祝日はのぞく)
午前8時30分〜午後5時
主な相談内容
経営全般、新規創業・新技術や新製品の開発、設備導入の融資、情報化、省エネ、法律関係
[水曜・経営相談会]
外部の専門家を招いて、より専門的な相談を受け付けている。
相談時間
原則として毎週水曜日
主な相談内容
公的融資制度やインターネットの活用、人事・労務管理、税務・財務、国際規格ISO9000、14000の対応
 
ところ/
大分市東春日町17番20号
ソフトパークセンタービル内
Tel/
Fax/
097−533−0220
097−538−8407
地域中小企業支援センター
 気軽に相談できる身近な支援拠点として、県内3か所に開設。学生や主婦、ビジネスマンなど創業を予定している個人や、新しい分野への進出や事業の多角化などを進める企業の中小企業の相談を受け付けている。
大分中部地域中小企業支援センター
ところ/
大分市金池町3−1−64
大分県商工会連合会内
Tel/
Fax/
097−534−9507
097−537−0613
大分北部地域中小企業支援センター
ところ/
中津市殿町1383−1
中津商工会議所内
Tel/
Fax/
0979−27−1280
0979−22−1750
大分南部地域中小企業支援センター
ところ/
佐伯市向島1−10−1
佐伯商工会議所内
Tel/
Fax/
0972−22−1550
0972−24−1419
   
   


広がるアジアのネットワーク
                       
 韓国大分県人会設立総会が、7月22日韓国ソウル市内のホテルで開かれた。会員は韓国各地で活躍する県出身者や大分にゆかりのある韓国人ら27名。総会には外山県出納長や古田県議会副議長らも出席。 会長に就任した仁川大学客員教授の二日市壮さんは「県の代表としての意識を持ち、韓国との交流の架け橋として、ふるさと発展のために精一杯頑張りたい」と力強くあいさつした。すでに、シンガポール、タイ、香港などでは県人会が設立されており、今回の韓国は8番目。県、県人会相互間の情報交換など、活発な地域間交流が期待される。

次世代の高度情報化社会に向けて始動
                       
 
 高速・大容量の光ファイバーによる幹線ネットワークの整備のあり方などを検討する「豊の国ハイパーネットワーク構想懇話会」が、7月7日県庁で開かれた。  県内の大学関係者、通信事業者などの委員が出席。行政のほか教育、福祉、医療、防災、企業活動などさまざまな分野でのネットワークの活用の方法や課題などが話し合われた。
 懇話会は今後2回開かれ、来年3月までにネットワーク利用についての基本構想がまとめられる。なお、基盤となる幹線ネットワークは、大分〜臼杵、大分〜佐伯の県南地域を皮切りに、県内12の県総合庁舎まで順次整備される。

2年連続、通算34回目の団体優勝!
                       
 
 7月15日、大分市で「2000年全国乾 しいたけ振興大会」が開かれた。大会では、市場価格の低迷、外国産しいたけの輸入の急増など国産しいたけをとりまく厳しい情勢の中、関係者が団結し、足腰の強い椎茸産業をめざすことが宣言された。 
 あわせて行われた「第48回全国乾椎茸品評会表彰式」では、大分県が、昨年に引き続き、通算34回目の団体優勝を勝ち取った。また、個人の部でも、最高賞の農林水産大臣賞に2名、林野庁長官賞に11名が入賞し、好成績を収めた。  
【農林水産大臣賞入賞者】
[茶花冬魔フ部]中村次男さん(玖珠町)
[香信の部]小野九州男さん(朝地町)

豊の国商い未来塾入塾式
                       
 
 熱意ある商業者に学習や交流の場を提供し、地域の特性にあった商業を担うリーダーを育てる「豊の国商い未来塾」の入塾式が7月14日県庁で行われた。名誉塾長の知事が「"継続""交流""実践"を守り、創意工夫により、地域商業に新たな息吹を吹き込んでほしい」とあいさつ。 塾生を代表して佐伯市の青柳一恵さんが「グローバルに考え、ローカルに行動する商人になります」と誓った。
  塾では昨年度から大野地域など4地域で69人が学んでいる。今回は、東国東地域など4地域の53人が入塾。経営の基礎研修などを通して研鑚を積む。

森と湖 豊の国2000年フェスタIN耶馬渓
                       
 「はぐくもう森と湖、つなげよう流域の輪」をテーマに、7月29日、30日、耶馬渓ダム周辺を会場に開かれた。森と湖に親しむことで森林やダムなどの重要性について理解を深めてもらうことを目的とした全国行事。各県持ち回りで、毎年、「森と湖に親しむ旬間(7/21〜31)」に行われている。
 記念式典では、帯刀副知事が「大分のすばらしい自然を一人ひとりが守り育て、21世紀に引き継がれることを期待します」とあいさつ。花とみどりの水源地コンテストでは、全国21団体の応募の中から、「耶馬の森林(もり)育成協議会」(耶馬渓町)が金賞を受賞。北九州市などの下流域と上流域の住民が植樹し森林を育てる活動が評価された。



禍を転じて福となす(玖珠町)
 町の中心部から国道387号を宇佐方面に走ると突然不思議な巨石群が現れる。平成3年の台風19号で山林の木が倒れ、一夜にして姿を現した「東奥山七福神石」。これを活用した交流拠点が7月23日にオープンした。農産物販売所「七福堂」では、朝採り野菜、手作りの味噌や漬け物を直売。参拝者の幸せを願う七福像、めだかの泳ぐ水路、七福神石の展望台もある。石清水の「招福の水」を汲みに訪れる観光客も多い。
 この施設を管理、運営する「東奥山七福神保勝会」。会長の山口孝史さんは「七福神を守りながら、多くの人が集まる場所にしたい」と語る。  
「七福堂」  
店休日: 毎週水曜日 
営業時間:8:00〜17:00  
問い合わせ:玖珠町役場商工観光課  電話09737−2−1111



ダムを生かして村おこし(豊後高田市)
 
市街地から両子山へむかっておよそ10q。東都甲地区で地域づくりに取り組むのが東都甲村おこし協議会「こっとん村」(会員40人)。昭和62年、並石ダムの完成をきっかけに青年団や林研グループが中心となって設立。ダムの公園化をめざし、周辺に500本の桜の植樹や草刈りやゴミ拾いを実施。春は花見、夏はバス釣り、盆踊り、秋は月見と季節ごとにダムを訪れる人を楽しませてくれる。
 バス釣りは今年で5回目。参加者には釣りだけでなく、ゴミ拾いなどマナーの呼びかけも忘れない。こうした地道な活動が認められ、7月に環境保全功労者表彰を受けた。 「お年寄り、婦人会など地域のみんなと一緒に新しいことにも挑戦したい」と会長の土谷直道さん。


心のこもった旅をどうぞ(国見町)
 
国東六郷満山文化を訪ねる旅の思い出づくりをお手伝いするのが「国見観光ボランティアの会」。町広報誌での呼びかけに14人が応募、平成11年6月に結成された。会員の職業は、観光業はもちろん、商業、農業などさまざま。毎月1回の勉強会のほか現地研修を行い、地域の歴史や文化などを学ぶ。「みんなとにかく研究熱心。勉強を重ねて自信がついたので、多くの人に国見のよいところを案内したい」と代表の土谷繁文さん。まちのよさを伝えたいという気持ちはみんな同じだ。
 仁王像が出迎える千灯寺跡、奥の院などの周辺は自然石を使った参道が整備されたため、ゆったりと閑かな森の中を散策できる。この秋おすすめのコースだ。(ガイド料無料)  
問い合わせ 国見町役場商工観光課  電話0978−82−1117


ぐんぐんのびる!グリーンアスパラガス(大野郡)  
 
グリーンアスパラガスを大野郡の新しい産品にしようと生産者が結束したのが「JAぶんご大野アスパラガス生産部会」(会員29人)。
 グリーンアスパラガスは、1度植え付けたら、およそ10年間は植え替えずに収穫でき、価格も良く高収入が期待できる作物。土から出る新芽を採る収穫作業なので、高齢者や女性でも取り組める。部会長の阿辺善秀さんは「高品質を保ちながら栽培面積を広げ、収量を増やしたい」と意欲満々。
 4年前は三重町の2haだけだったが、現在は郡内8町村で作付けされ、3.9haにまで拡大。今年度は1.5ha増やし、さらにJA佐伯豊南、くにさき西部と協力し、「大分グリーンアスパラ」に銘柄を統一して販売を始めた。


幻想的なまつりで賑わいを(臼杵市)
 今年で4回目を迎える「竹光芸まつり」。中心市街地に人を集め、活気を取り戻そうと平成9年から、中央通り商店街組合、商工会議所青年部などおよそ100人のメンバーが取り組んでいる。
 祭りのハイライトは、60pに切った竹にローソクの灯りをともした「竹ぼんぼり」6,000本を二王座の歴史の道などの通りに並べる。この幻想的な灯りが、多くの人を引きつける。第1回は1,500人だった観光客も昨年は37,000人を超えた。
   「大分を代表するまつりになるように続けていきたい」と実行委員長の高橋真佐夫さん。今年は11月3、4日に開かれる。
問い合わせ 竹光芸まつり実行委員会事務局
        (臼杵市役所文化振興課内) 電話0972−63−1111