vol.13 2000年11月発行
特集1 地球にいいことしてますか
県政フラッシュ
地域からのメッセージ

地球にいいことしてますか

 私たちの生活はとても便利になった。欲しいものは何でも手に入り、壊れれば新しいものに買い換えることもできる。資源やエネルギーを大量消費し続けてきた代償として、果てしないゴミ戦争、水や大気の汚染、地球温暖化など深刻な環境問題に直面することになった。
 一人ひとりが自らのライフスタイルを見直し、家庭から地域、事業所をあげて「環境にやさしい大分県」=「エコおおいた」の実現にむけて具体的に行動する必要がある。今回は家庭や事業所での環境改善への取り組みや21世紀を担う子どもたちへの環境教育を紹介する。

家庭のゴミをリサイクル
大分市横尾 平川貞子さん
 

「ぼかしを触ると手がつるつるします。」
と平川さん。


ぼかしづくりに取り組む「つぼみ学級」のみなさん
 平川貞子さんのお宅はご主人・昌一さんとの二人暮らし。10年前から、生ゴミや廃油から「ゴミのぼかしあえ」や「せっけん」をつくり、家庭のゴミを出さないように心がけてきた。
  ぼかしは、ぬか、もみがら、酵母菌などの微生物、糖蜜(砂糖の製造過程でできる)に水を混ぜて10日間発酵させてつくる。毎日出る生ゴミに乾燥させたぼかしをふりかけ、容器が一杯になると密閉し、10日間。堆肥ができる。顔を近づけてみると、ぬか漬けのような酸っぱいにおいがするが、悪臭ではない。これを果樹や野菜に使うと、「果実や野菜に甘みが出て味が濃くなります。野菜の日持ちがよくなり、評判がいいんです」と楽しそうに話してくれた。
 20年続けている生活学校運動の「つぼみ学級」(会員45人)でも、ぼかしや廃油せっけんづくりのほか、小学校に出向いての環境教育など子どもたちにものの大切さを教える活動もしている。
 「ゴミ処理にかかる税金は大分市だけでも年間72億円。ゴミが増えれば、もっと税金が必要になります。ゴミにもっと関心を持ってほしい。一人ひとりがゴミを出さない努力が大切です」と貞子さん。頼もしいお母さんだ。
平川さんおすすめ「生ゴミのぼかしあえ」作り方
〈材 料〉   
密封容器(容量1.0リットル程度) 1個
生ゴミ(紙、ビニールは入れない)
ぼかし
※生ゴミ1kgに対し、ぼかし10gの割合
 
〈作り方〉
1.生ゴミの水分を十分切る。
2.密封容器に穴の開いたビニール袋を敷く。(できたらビニールごと取り出すため)
3.生ゴミを入れてぼかしを均一にふりかけてフタをしっかりする。毎日、同じ容器一杯になるまで繰り返す。
4.直射日光の当たらない場所で、夏は1週間、冬は2週間程度置いておく。


それぞれのお店が
できることから
大分市府内五番街商店街
 

欧風のしゃれた町並みで若い人たちに
人気の府内五番街商店街


「五番街エコストア」
ステッカー

スリランカココヤシの果皮でできた
鉢を使う花屋さん
 


ハンガーをリサイクルするクリーニング店
 大分市中心部にある「府内五番街商店街」。石畳のしゃれた街並みが魅力で、居酒屋、映画館、洋服店など、85店舗が軒を連ね、若い人たちが集まる。
 この商店街が取り組んでいるのが「環境にやさしいまちづくり」。昨年は繰り返し使える布製の買物袋「エコバック」3000枚を買物客に無料で配布。また、環境商品の展示・販売を組み合わせた「エコマーケット」や「環境フォーラム」を開催して、環境を守るために商店街が何ができるかを模索した。
 商店街を歩いてみた。店先には「五番街エコストア」のステッカーが目立つ。聞くと、それぞれの店ができることから環境活動に取り組んでいるという。「ハンガーは消毒してリサイクル」(クリーニング店)、「鉢はできるだけ自然な素材のものを使用」(花屋)、「消費者の要望に応じて包装を簡素化」(菓子店)、「和服を洋服にリフォーム」(和服店)など。
 11月4日には商店街の中央にあった建物を改造して、環境と消費生活をテーマとした「エコ・エコプラザ」が完成する。大分市が施設を整備し、五番街の商店主や住民に運営を委託し、リサイクルショップ、環境に配慮した商品の展示・販売、エコクッキング教室などを行う予定。
 「環境をテーマに活動することで知名度があがり、PR効果に驚いています。不況で消費が伸びにくい環境の中で、大型店にはない商店街ならではの魅力を前面に出し、たくさんのお客さんに商店街にきてもらいたい」と府内五番街商店街振興組合理事長の田染一昭さん。環境への配慮が商店街の魅力につながる時代になってきた。


自然とふれあいながら
環境教育
社会福祉法人 三重福祉会 「すがお保育園」

ブロッコリーの苗を植える園児たち


分かりやすく色分けされた
ゴミの分別回収箱
 「自然に恵まれているこの環境を子どもたちが大切に感じるようになってほしいと思っていました。また、保育園から出るゴミは、園内で焼却できないので困っていたこともあり、県のエコ保育所の指定で環境教育への取り組みに弾みがつきました」と園長の土谷修さん。
玄関を入ると、袋入りの堆肥が入った箱があり、園児の親たちが自由に持ち帰る。給食の生ゴミを堆肥化装置で堆肥にしたもので、園内の花壇や菜園でも使用する。子どもたちは、花や野菜の苗植え体験を通して、自分たちのご飯の残りが土に還ることを学んでいく。また、廊下には、黄、緑などのカラフルな分別回収箱が置かれ、箱の色でゴミの分別収集を教えている。このほか、園では、近くの大野川でのゴミ集めやゴミ処理場の見学などを計画している。
 「子どもにとっては遊びが増えたという感覚で楽しそうです。理解が難しいこともありますが、リサイクルやゴミの分別など、環境にやさしい活動が自然な形で子どもたちに入ってくれればいいなと思います」と園長の土谷さんは温かく見守る。


「エコおおいた」を一緒につくっていこう

 
県は、10年度に全国の都道府県に先駆けて環境管理システムの国際規格ISO14001を取得した。市町村でも日田市が取得しているほか、12年度中には佐伯市、大分郡4町が取得する。県内の事業所では、36か所がISO14001を取得、185か所がエコおおいた推進事業所に登録されるなど環境への負荷を減少させるための活動が広がっている。家庭でもゴミの分別収集や省エネなど環境に配慮した取り組みが進んでいる。環境問題の解決にむけてもっとも重要なことは、「地球規模で考え、足もとから行動すること」。一人ひとりがそれぞれの生活を見直すことが「環境にやさしい大分県」をつくり、地球環境を守ることになる。
問い合わせ 県生活環境課
Tel/097−536−1111
Fax/097−532−7671
URL http://www.pref.oita.jp/
●エコおおいた推進事業所の登録
 各事業所が自らの事業活動によって生じる環境負荷を減らすための取り組み目標を自主的に決め、県に登録し、実践している。県は、登録した事業者に「エコおおいた推進事業所登録証」とステッカーを交付し、 その取り組み目標を事業所の概要と併せて、インターネットなどを通じて広報している。
●豊の国エコライフ123万人の誓い
 日常生活の中で行うエコライフを実践していくため、節電や節水、リサイクルなどの14項目の中から実行できる取り組みを誓い、県に登録するもの。9月末現在、2万人を超える方が参加している。
●エコ幼稚園・エコ保育所の指定
 県では、将来を担う子どもたちの環境に対するやさ しい心を育むため、環境教育に積極的に取り組もうとする幼稚園や保育所の中からモデル施設として「エコ幼稚園」「エコ保育所」を指定し、活動経費を補助している。


21世紀へはばたけ!大分の文化
   「豊の国新たな出発(たびだち)2000」をテーマに、10月1日、「第2回大分県民芸術文化祭」が開幕した。オープニングステージでは、大分県出身の瀧廉太郎らの作品を中心とした唱歌や童謡に舞踊を織り交ぜた華やかな舞台のほか、応募総数848作品のフレーズから14作品を採用して創った新しい大分の歌「ふるさとの友」が発表された。県民芸術文化祭は、11月30日まで県内30市町村でさまざまな文化行事が行われる。

ますますお元気で
 敬老の日を前にした9月11日、平松知事が、12月に100歳を迎える吉武邦さん(別府市)ら4人を訪ね長寿を祝った。日常生活について尋ねられると「毎日、新聞を読み日記をつけています」と吉武さん。
 県内で今年度中に100歳以上となる高齢者は、221人。その内訳は、男性47人、女性174人。最高齢は、109歳の佐藤ムツヱさん(別府市)。県内の高齢化率は、12年4月1日現在で21.3%で、100歳以上の高齢者数は年々増えている。

北東アジアの活発な交流を期待
 日本、韓国、中国の港湾関係者およそ350人が参加して、コンテナ輸送、観光クルーズなどをテーマに「第1回北東アジア港湾シンポジウム」が9月15日、別府市のビーコンプラザで開かれた。
 コンテナ貨物の取扱量は、日本、韓国、中国で世界のおよそ4分の1を占めており、熱心な討議が行われた。今年3月から別府港に国際定期クルーズ船を寄港しているスタークルーズ社のコン・オン副社長が「北東アジアにおけるクルーズ船運行の今後の方向」と題して講演。「別府市は、ターミナルの収容能力次第で、旅客数は大きく伸びる」とコン副社長も期待を表明した。

ごみの広域処理でスクラム
 ダイオキシン類削減のため、広域で最新のゴミ処理施設をつくる確認書の調印が、立会人の平松知事、関係市町村長の出席のもと、9月5日大分市コンパルホールで行われた。
 大分市、大分郡、臼杵市、佐賀関町、竹田直入広域連合の3市8町が共同で取り組む新処理施設「大分市佐野清掃センター清掃工場(仮称)」は、東部清掃センター(大分市佐野)を建て替えて建設。可燃ゴミを1日当たり387トン処理でき、焼却設備はシャフト炉式ガス化溶融炉を採用。可燃ゴミからのダイオキシン類の発生を最少限に抑え込む。平成15年4月業務開始予定。

47の国・地域から908人
 10月2日、別府市の立命館アジア太平洋大学で秋期の入学式が開かれた。新入生を代表して、ラオス人民民主共和国のシラペット・スーダリーさんは「母国の代表として他国の学生との架け橋となり、伝統や文化を交流することでお互いの理解を深めていきたい」とあいさつした。 4月に入学した26の国・地域の学生701人に、ハンガリー、ガーナなど新しく21の国・地域の学生が加わり、47の国・地域の学生908人(国際学生424人、日本人学生484人)がキャンパスに集うことになった。


      
元気いっぱい!おへまクラブ

 町内寺小路の国道10号沿い、ピンクの建物と看板が目印の手作りの店「おへま」は、地元の素材を使ったこだわりのお菓子で人気の店。
 平成9年に結成された農村女性グループ「おへまクラブ」(会員8人)が運営している。10年から吉四六ランド内の「おへまハウス」などでクッキーなどを販売。商品数も増え評判もよく、より多くの人に食べてもらいたいとメンバーが資金を出し合って今年3月に出店。毎朝7時に町内の加工所で作ったホカホカの酒まんじゅう、草もち、クッキー、シフォンケーキなどが店先に並ぶ。「一つずつ心をこめて作っていきたい」と同クラブの生田君代さん。
営業時間  10:00〜売り切れまで(14:00頃)
店休日    月曜日
問い合わせ 0974−32−7646


      
津江杉の香りに包まれて

 道の駅「せせらぎ郷(きょう)かみつえ」が上津江村川原の国道387号沿いにオープン。建物には津江杉がふんだんに使われ、川原小学校の廃校舎を改修した宿泊施設「川原いこいの館」のほか、農産物を販売する物産館、地鶏、エノハの料理が楽しめるレストラン、せせらぎ水路、遊歩道、トイレなどを備えている。
 運営は住民53人が出資した企業組合「せせらぎ郷かみつえ」が行う。組合長の壁村昭七郎さんは「住民と観光客との交流の場にしていきたい」とやる気いっぱい。年間10万人の利用者を見込んでいる。
定休日    水曜日
問い合わせ 0973−54−3514


      
香りの文化を発信!

 国道442号沿い、県立看護科学大学の入口に、情報発信・交流拠点「ミモザの館」がオープンした。ミモザは香りのよい黄色い花をつける木。文化観光交流協定を結んでいる香水産業のまち、フランスのグラース市に多く生息していることにちなんで命名された。
 「大分香りの森博物館」の香水など香りグッズのほか、町の産品、「みどりマザーランド」のソフトクリームなどが販売されている。レストランではだんご汁定食(700円)などおふくろの味がおすすめ。パンフレットなど観光情報も充実している。
営業時間  10:00〜19:00(年中無休)
問い合わせ 097−586−4288


      
花いっぱいの仕掛け人たち

 花で溢れる町にしようと「わが家の花コンテスト」(春・秋年2回)を実施しているのが、まちづくりグループ「フロムゼロ倶楽部」。ドイツでの研修をきっかけに平成6年に結成。会員14人で出発し、12回目となる今秋は町のおよそ1割に当たる55家庭9団体が参加するまでになった。コンテストは、花壇とプランターの2部門があり、会員は参加家庭をまわり、花の勢いや量感などを基準に審査。
 「訪れた人が花のまちだなあと感じるような町にしていきたい」と会長の穴井武彦さん。


      
昔ながらの手作りみそ

 日田市夜明・大鶴地区の共同営農グループ大肥郷(おおひごう)ふるさと農業振興会」の「ももは工房」が、今年の8月から「大肥の庄(しょう)みそ」を売り出した。地元で減農薬栽培した米、裸麦、大豆を原料に麹づくりから手掛け、添加物を一切使用しないため、甘みが深く懐かしい味わい。仕込みから4ヶ月じっくり寝かせた「熟成みそ」と自分の好みで熟成させる「仕込みみそ」がある。「おいしい・安全・安心を家庭に届けていきたい」と代表の森山豊子さん。年間18トンを製造、販売額1,000万円を目指す。
 市内のサッポロビール新九州工場物産館などで販売するほか、宅配も受け付けている。  
「ももは工房」 Tel.0973−27−7211