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ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性的接触のある女性であれば50%以上が生涯で一度は感染するとされている一般的なウイルスです。子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっています。特に近年若い女性の子宮頸がんの罹患が増えています。
ヒトパピローマウイルスに感染すると、ウイルスが自然に排出されることが多いですが、そのままとどまることもあります。長い間排除されずに感染したままでいると一部に子宮頸がんが発生することもあります。子宮頸がんは、早期に発見されれば比較的治癒しやすいがんですが、進行した場合は治療が難しいとされています。
HPV感染症を防ぐワクチン(HPVワクチン)は、小学校6年~高校1年相当の女性を対象に、定期接種が行われています。
ヒトパピローマウイルス(HPV)の中に子宮頸がんをおこしやすい種類のものがあります。HPVワクチンは、このうち一部の感染を防ぐことができます。
そのことにより、子宮頸がんの原因の50~70%を防ぎます※1。また、HPVワクチンで、がんになる手前の状態(前がん病変)が減るとともに、がんそのものを予防する効果があることも分かってきています。
※1ワクチンで防げる種類のHPVが、子宮頸がんの原因の50~70%を占めます。
HPVワクチン接種後には、多くの方に接種部位の痛みや腫れ、赤みなどの症状が起こることが報告されています。これは、免疫反応のために起こる症状で、ほとんどが数日程度で治まります。また、まれですが、重い症状(重いアレルギー症状、神経系の症状)※2が起こることがあります。
※2 重いアレルギー症状:呼吸困難やじんましんなど(アナフィラキシー)、神経系の症状:手足の力が入りにくい(ギラン・バレー症候群)、頭痛・嘔吐・意識の低下(急性散在性脳脊髄炎(Adem))、外傷をきっかけとして生ずる慢性の痛み(複合性局所疼痛症候群(Crps))等
【接種対象者】
小学校6年生~高校1年生に相当する年齢の女性
対象者は公費により接種を受けることができます。
【標準的な接種スケジュール】
現在、国内では定期の予防接種が可能なHPVワクチンは2種類(サーバリックス、ガーダシル)あります。決められた間隔をあけて、同じワクチンを合計3回接種します(接種するワクチンによって接種のタイミングが異なります)。
具体的な実施方法、詳細については、お住まいの市町村の予防接種担当課へお問い合わせください。
なお、ワクチン接種の有無にかかわらず、20歳になったら2年に1回、必ず子宮頸がん検診を受けましょう。
HPVワクチンは、平成25年4月から予防接種法に基づき市町村が実施する定期予防接種となりましたが、接種後の広範な慢性の疼痛や運動障害などの多様な症状が見られたことから、国の専門会議での議論等を経て、同年6月14日に国から接種の積極的勧奨を差し控えるよう通知が出されました。その後、国の審議会において、HPVワクチン接種の積極的勧奨の再開が検討がなされ、令和3年11月26日、国から「積極的勧奨の差し控え」を終了することが通知されました。
HPVワクチンの積極的勧奨の差し控えにより、接種機会を逃した方に対して公平な接種機会を確保する観点から、時限的に定期接種の特例として、令和4年度から通常の接種対象年齢を超えて接種が可能となります。
期間:令和4年4月1日から令和7年3月31日までの3年間
対象者:平成9年度生まれから平成17年度生まれまでの女性
( 誕生日が平成9年4月2日~平成17年4月1日 )
対象者は公費により接種を受けることができます。
●接種後に、健康異常があるとき
○まずは接種を受けた医師・かかりつけの医師にご相談ください。
●定期接種、健康被害について補償(救済)に関する相談
○お住まいの市町村の予防接種担当課にご相談ください。
●HPVワクチンを含む予防接種、インフルエンザ、性感染症、その他の感染症全般についての相談
○厚生労働省 感染症・予防接種相談窓口(03-5276-9337)
受付日時:月曜日~金曜日 午前9時~午後5時(祝日、年末年始を除く)
●一般的な相談・学校生活に関することの相談
○大分県福祉保健部感染症対策課・教育庁体育保健課(097-536-1111)
受付日時:月曜日~金曜日 午前9時~午後5時(祝日、年末年始を除く)