
平成24年7月17日水害対策に係る知事記者会見
日時:平成24年7月17日(火)18時30分~
場所:第一応接室
司会 それでは、今回の豪雨被害に関係する対策関係の臨時記者会見を行います。初めに知事からお願いします。
広瀬知事 大変ご心配を頂いております。今日、大分県水害対策会議を開催いたしました。これは7月6日に続いて2度目になります。
各関係部長が集まって、一つは、当面の救援・支援対策を進めておりますけれども、引き続きせっせとやろうと、特にライフラインの問題だとか、あるいはボランティアによる支援といったようなところを中心に話したところです。
それから、農林業、商工業といった事業の再建についていろいろお話をしました。特に農業については、これから農地の回復をやらないといけないのですが、その前に、応急的に水をとにかく送り込んで、農作物がなんとか息を付けるようにする必要があります。水路の開設と応急的な対策についても話をしたところです。
もう一つは、農地がほとんど流されたとなると、共済の資金が出るというようなところもありますけれども、なかなか生活の再建の目途もつかないというようなところもあります。各振興局において、そのあたりを個別にしっかり応援をしていくことも打ち合わせたところです。
商工業につきましても、いろいろ被災をした所もあります。相談窓口をいろんな所に作っておりますけれども、ようやく相談に来始めたというようなところもありますので、きめ細かく対応していきたいと思っております。
社会インフラの整備、河川道路等の回復が大変に急がれるわけでございますけども、とにかく一つは、着実に前に進めることが大事だと考えています。全体をとにかく精査してということではなくて、優先順位を付けて、必要なものからどんどんやって行こうということにしたわけです。
例えば、日田市の有田川流域の岩美地区というところで、橋が無くなって住民の皆さんが迂回をしなければならないということがありましたけれども、そういうところについてはとにかく仮設の橋をつけるというようなことで、住民の皆さんが困っているところですけど、そういう状況も見ながら、とにかく優先順位を付けてやっていこうと話したところです。
それからもう一つ、河川がやられ、併せて農地がやられているいうところがありますから、河川と農地の連携というものを土木建築部と農林水産部の連携というのも非常に大事だと思っています。
それから、第3点目では、河川の改修にしましても、農地の復興にしましても、市町村がやらなければならないところがたくさんありますから、市町村に県から応援部隊をたくさん派遣しようということも決めたところです。既にもう派遣もされておりますけども、そういうことにも十分手を尽くしていこうとを決めました。
加えてお手元にお配りしていますけども、必要な予算措置も講じようということで、補正予算を専決で組もうということで、ただいま、この会議の後、専決処分をしたところです。簡単にご説明をいたしますと、補正予算額の総額が7億780万円です。ご承知のとおり、災害復旧費については、114億円あらかじめ確保しておりますけれども、これで足りない分がたくさんあります。それで当面必要なものを今回の補正予算で組ましてもらったということです。
対策と財源について申し上げますと、「2 補正事業の内訳」というのが3つあります。第1番目は救助対策費です。これは災害救助法を中津市、日田市、竹田市に適用したわけですけれども、この適用地域において法律に基づいて応急救助を実施するために必要なものです。財源的には歳入の内訳に書いてありますけれども、国庫支出金として国から半分の1億390万円。それから災害救助基金というのがあります。これも災害救助法を適用しますと、取り崩すことができることになっておりますから、これを取り崩して、1億390万円を充当し、この2つを合わせて、救助対策費の財源に充てています。
救助の内容についてはここに書いてありますが、まず、避難所の設置、食料品や飲用水や被服、寝具の供給ということが必要になってきます。併せて、学用品等の生活必需品の給与もこの中に含んでおります。それから災害にかかった住宅の応急修理ということで、住宅が半壊した場合に、市において応急修理をやるということがあると思います。そういうために必要な予算を手当しました。それから応急仮設住宅の設置は、住家の全壊が21戸、半壊が24戸ぐらいありますので、それに対応して応急仮設住宅が必要になるかもしれないということで予算化をしています。救助対策費2億780万円です。
それから第2番目が災害援護資金貸付金でして、国から2億円、それから県で1億円、合計3億円の原資を組んで貸付を行うものです。県が原資を市町村に無利子で貸付け、市町村が被災者に貸し付けるというものですので、申請の窓口は市町村ということになります。貸付限度はここに書いてあるとおりですが、法定の貸付利率は3%になっており、少し高い感じがします。国とで、この貸付のための財源を作り、無利子で市町村に貸し付けるということになっていますから、法律上の3%をそのまま被災者からもらう必要はありませんで、利子補給や還付という形でお返しするなど、どれだけこの3%を下げられるかということは、市や町の工夫次第ということになります。
それから、第3番目は土木関係災害復旧調査費です。これから復旧のための国の査定を受けて資金をもらうということになりますと、まず、どれだけの被害が出たかということの調査をして出さなければいけないということになります。その調査費を計上しまして、いろんなところに委託をしながら調査、測量、設計等を行って、給付されるということで調査費の計上をしています。この2億円は県の一般財源になります。
そういうことで、7億780万円の補正予算額、県の一般財源は3億円ということになります。こういう形で組んでいきたいと思っております。今日、会議の後、専決処分を行いました。私からは以上です。
配布資料 [PDFファイル/5.65MB]
司会 それでは質問等ございましたらお願いします。
記者 今回、7億円の補正を組んだということですけれども、被害額は114億円を超えたということですか。
広瀬知事 そうです。とてもこれでは足りませんけど、これは何かと言いますと、先ほど申し上げました救助対策費というのは、災害救助法に基づいて避難所を設置したり、そこに必要な物資を配ったり、当面の救援救助のためにいろいろ必要なものですから、災害復旧費とは別に必要となってくるので組んでいます。それから災害援護資金貸付金というのも、当面被災者が生活の立て直しに資金が必要になることからとにかく組んだというもので、まず、復旧・復興に向けて動き始めるために必要なものを措置したというふうに理解していただきたいと思います。
記者 今現在の被害総額はどうでしょう?
広瀬知事 今現在の被害総額はよくわからないのだけれども、さっきの会議では、例えば、農林水産関係の施設では、7月16日現在わかっているのが19億円くらいかなということで、これはわかっているだけですから、これから調査をしていけばさらに増えていくと思います。それから、道路や河川については、竹田市の分はまだわかっておりませんけれども、これまでの日田市、玖珠町、中津市で県の管理している分だけでも58億円ぐらいにはなるだろうということで、これから増えていくと思います。
記者 少なくとも77億円の被害額はあるだろうということでしょうか。
広瀬知事 今わかっているだけでもですね。その中では、農林水産については、まだ奥地に行ってない分があることが一つ。それから道路や河川については竹田市の分が入っていないし、これは県管理の分だけですから、その他にたくさん出てくると思います。
記者 知事として、7億円の補正予算の額と時期についてどのようにお考えでしょうか。
広瀬知事 とにかくすぐにいるものについては補正で組もうと言うことにしていますから、当面必要な分はこれでいいかなと思います。当面必要なものは何かというと、今申し上げましたように、救助対策費、これは避難所を設置し、運営していくために必要なものなどです。それから災害援護資金貸付金、それからそもそも被害を調査するための調査費と言うことですから、当面はとにかくこれでまずは組んでみるということです。これからどんどん必要になっていくと思います。その分はこれからまた補正予算という形で組んでいくということになると思います。とにかく今はスピーディーにことを動かすために必要なものを組んだというのがこの専決処分です。
記者 知事が災害現場とかを回られて見て、いまここには載せられてないですけど、明らかにここには力を入れていかなければいけないと思うことはありますか。
広瀬知事 たくさんあるのではないの。まず、道路河川の復旧のための資金というのは、これからドンと出てくると思いますから、その分をやらなければいけない。それから日田市、中津市は、2回被災したわけですから、避難所で必要な物資が足りなくなり、県から備蓄物資を急遽送ったんですけれども、そういうこともまたあれば対応する必要があります。必要最小限、必要なものはこれで組んだと言うことです。今後も、必要なものがあればどんどん組んでいきます。
記者 今、がれきがそれぞれ実際に発生していると思うのですけれど、この状況の中で東北のがれきを受け入れる余裕というのは、この辺はどのように考えているのでしょうか。
広瀬知事 それは市町村が広域的にやってくれるという話があれば、そうなんですけれども、今のところ、我々が考えている大平洋セメントで受け入れるということについては、余裕がまだあると思いますから、引き続きこっちの方はこっちの方で進めていきたいと思っています。こうやって災害になるとやっぱり互いに助け合い、支えあうと言うことは非常に大事だと思います。そんな意味でも、やはり、支えあいの真心はしっかり現わしていきたいと思っています。
記者 今までもお話しされているかもしれませんが、激甚災害の指定に向けてという点で県の方針は。
広瀬知事 方針としては、激甚災害の指定を受けようと言うことで、もうすでに国に対して要請をしております。国もいろいろと調査団が来て、実情を見てくれています。大変、甚大な被害だなという印象を持って帰ってくれていますから、その辺はよく理解をしてもらえるのではないかなと期待をしております。
記者 災害査定で今後、人がたくさん必要になると思うのですが、他県からの職員の派遣という形での支援というのは、今、相談されて既に決まっている部分というはありますか。
広瀬知事 今のところ、まだ、どういう手順でどういう作業をやっていくかという段階ですから県の職員でやってますけれども、お話のように、これは大分県もそうですし、大分県以外の九州各県も被害をこうむっていますから、そういうことも必要になってくると思います。九州・山口9県被災地支援対策本部も出来ておりますから、そういうところを中心に、九州山口管内で何とかなるのか、あるいは他の地域に広域的な支援をお願いするのか、それを含めてこれからその話は出てくるかと思います。
記者 先ほどのゴミの関連ですけれども、日田市なんかはかなりのゴミが出ているという状況で、県内の他の市町村に対して、そういう災害がれきの処理の要請とか、そういうのはどうされているのでしょうか。
広瀬知事 今度の東北の災害がれきの処理についても、県内市町村にお願いしたら手一杯だと、余裕がないと言っていたので、あまりそれをお願いしてもどうかなと思いますけれども、仮にやってくれるところがあれば、この前の話とどういう関係になるのかわからないけれども、何でもいいからやってもらえばいいなと思っていますけどね。少なくともこれまで市町村に聞いたら、もう手一杯ですということだったので。
記者 今、被災市町村の方から処理をやってほしいというお話は。
広瀬知事 まだ来ていないですね。ただ、私の方は遠慮なくと、というのはやっぱり、災害のがれきというのは、ぱーっと積み上がっていると市民の皆さんの士気に関わると思いますから、できるだけ早く処理をした方がいいんのではないかいうことで、そのためのお手伝いは何でもしますという話はしてあります。
記者 防災対策として、避難勧告、避難指示を出すのは市町村ですけれども、今回の一連の豪雨での住民の避難のあり方についてどう思われたかという点と、今後避難についてどうするべきかというところをお聞きしたいのですが。
広瀬知事 そうですね。本当に、被災された皆さんには大変お気の毒だったのですが、その中で人的な被害が少なかったというのは、本当に一つの救いかなと思ってます。そういう意味では、市や町の皆さんが早めに避難の勧告や指示を出していただいたのかなと思います。或いはまた、それぞれの自主防災組織の自治会の皆さん等が、とっさの判断をして避難をして頂いたということもあるのかなと思っています。その点では、不幸なことですけれど、一つの救いかなと思っているところです。少々避難の指示や勧告が過剰になるということもあるかもしれないけれども、やはりこれは住民の皆さんの安全のためにですね、理解をいただくということではないかなと思っております。
記者 その上で、今後、考えられる必要なことがあれば。
広瀬知事 今回は何とか人的な被害が最小限で留まったということについてはですね、日頃の訓練をきちんとしていたとか、意識をみんなで共有していたとかいろんなことがあると思います。そういうことを活かしていくことが大事だと思います。
それにしても、まだまだ梅雨が明けたわけではありませんので、やっぱり我々も十分気をつけますけれども、住民の皆さんには十分に注意をしていただきたいと思いますし、決して危ないところに近づかないということも心がけて頂きたいと思います。
記者 災害の件なんですが、今回の当面の必要な分ということで最小限の補正額ですが、専決で、あと何回、総額で必要かと。
広瀬知事 わかりません。それは専決じゃなくて、もう少し多くなって、復旧対策ということであれば、議会が開けるということがあれば、また議会におはかりすればいいし。とにかく今はタイミングを失しないように急いでやろうと考えています。というのはですね、こういう形で市町村が窓口になってやってもらうことになるのですが、そうなりますと、市の方でもこれを受けて予算を組まなければということになるのですが、そう言った意味では、まず県が急いで動かないと市や町が動けない、という面があるので急いでやった次第です。
記者 竹田市で玉来川が氾濫しましたけれども、過去にも、昭和50年代と60年代に2回大きな水害があって、今回また水害があったわけですが、玉来川が救助対象になってしまったということと、今回、竹田のあの地域で被害が広がったという関係について、知事はどのようにお考えですか。
広瀬知事 今度の被害の状況を見ますと、平成2年の時には玉来川と稲葉川が両方氾濫して、竹田市の中心部にまで及ぶ被害が発生したわけです。今度の状況を見ますと、稲葉川はお陰様でダムができていたということがあって、ほとんど被害が沿線になかったなと。他方、玉来川はまだダムができていないということで、平成2年と同じような事態が生じたわけです。
今度の政権でダムに頼らない防災はできないかというような話があって、検証だという話になった時に、この玉来川については平成2年にこういう水害があったんだと、そういう経験があった後で必要だということでやっているんだから、一般の検証の中でやるのは止めてくれという話をしていたんだけれども、検証の対象になって、2年か3年遅れたんじゃないかなと思います。今回の水害に間に合ったかどうか別として、本当にそういう意味では防災についての現政権の覚悟というのが非常に十分じゃないなと思ったところです。今度の問題についても政府調査団が来ておりますけれども、ことあるごとに、玉来ダムについては話をしているところです。
司会 その他ないでしょうか。よろしいですか。では、これで臨時の記者会見を終了いたします。
広瀬知事 ありがとうございました。
※知事及び記者の発言内容については、単純ミスと思われる字句、重複した言葉づかい等を整理の上、作成しています。