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志手町遺跡発掘調査速報

印刷用ページを表示する掲載日:2018年9月26日更新

志手町遺跡発掘調査速報

事業名

国道217号道路改良事業に伴う埋蔵文化財発掘調査

所在地

津久見市志手町

調査期間

平成30年4月16日~平成30年5月22日

調査概要

志手町遺跡は青江川左岸の沖積平地上に立地します。青江川は遺跡の東約1kmで津久見港に流れ込みます。遺跡の南方約500m、青江川を挟んだ丘陵斜面上には中世寺院跡である門前遺跡が位置します。今回、平成29年度の事前調査で遺跡が確認された約1,000平方メートルを対象に本調査を実施しました。

検出遺構

 調査地では青江川の氾濫原である礫層と沖積層が交互に認められましたが、遺構は主に礫層部分に多く展開しています。調査で検出した遺構は掘立柱建物2棟、中世墓1基、井戸1基、土坑・柱穴約230基です。掘立柱建物はいずれも2×2間の総柱建物で、倉庫と考えられます。中世墓は長辺1m、短辺60cm程の土坑中に成人と思われる人骨が横臥屈葬の状態で出土しました。副葬品は伴わず、鉄釘も認められないことから、木棺ではなく土坑に直接埋葬したようです。また、柱穴のうち1基からは、土師器坏を2枚重ねて埋置した状態で出土しており、祭祀行為の跡と考えられます。

遺物の出土状況

 遺物は土師器坏や小皿が主体で、他に東播系須恵器や備前焼、青磁、砥石、鉄製品等が少量出土しています。遺物の年代は14~15世紀のものが中心で、上記遺構もこの頃のものと考えられます。

調査のまとめ

 発掘調査の結果、志手町遺跡は14~15世紀に形成された集落跡であることが分かりました。遺跡の東側には事前調査で湿地状の堆積層が確認されており、入江状の地形が広がっていたと想定されます。遺跡はこの入江に面した位置にあり、倉庫を中心とした集落であることから、青江川の河口部に形成された市や、物資集積に関する集落の可能性が考えられます。また、寺院跡である門前遺跡とほぼ同時期であることから、両遺跡の関係も注意されます。

写真

志手町遺跡全景(西から津久見港を望む)
志手町遺跡全景(西から津久見港を望む)
調査区遺構分布状態
志手町遺跡遺構分布状態
掘立柱建物跡
掘立柱建物跡
中世墓の人骨出土状況
中世墓の人骨出土状況
柱穴の土器祭祀
柱穴の土器祭祀