大分県庁のホームページ 『新時代おおいた』のバックナンバー
新時代おおいたVol.64 2009年 5月発行 新時代おおいたVol.64表紙
特集1 平成21年度予算
特集2 「中期行財政運営ビジョン」を策定しました
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特集1 平成21年度大分県予算 〜景気・雇用対策に力を注ぎながら、「中期行財政運営ビジョン」を着実に実行する積極的な予算〜


 昨年度、米国に端を発した金融危機の影響が日本にも押し寄せ、深刻な不景気の風が吹き荒れました。この景気後退から抜け出す道筋はまだ見えない状況が続き、生活に影を落としています。
 県では、未曾有の大不況への緊急措置として景気・雇用対策を最大のテーマと位置づけ、思い切った積極的な予算を組みました。
 また、少子高齢化社会への対応や産業の底力発揮のための支援など、県民のみなさんがいきいきと暮らすことのできる社会づくりのため、具体的な取り組みを盛り込みました。
 景気後退による税収の落ち込みなど厳しい環境の中でも、「夢と希望あふれる大分県づくり」を実現する挑戦を続けていきます。
 それでは、今年度予算の概要と事業をピックアップしてご紹介します。


財政運営の持続性確保
(1)一般財源総額の確保
県税の大幅な減収(↓218億円)を補うため、臨時財政対策債を発行 (+230億円)
(2)臨時財政対策債を除く、県債の発行抑制(↓44億円)
退職手当債(↓7億円)・通常事業債(↓37億円)の発行抑制
(3)財政調整用基金(財政調整基金・減債基金)からの繰入縮小
財政調整用2基金の21年度末見込み(約200億円)
土地開発基金を公共投資に見合う規模へ是正(146億円→48億円)
(4)義務的経費の抑制(↓18億円)
扶助費の増加(+23億円)に対し、人件費(↓32億円)、公債費(↓9億円)を抑制



雇用対策

 厚生労働省のまとめでは、平成21年3月時点での全国の有効求人倍率は0・52、大分県においては0・51です。これは、仕事を求める人の約半数にしか求人がないことを意味しています。雇用は人々の生活の基盤となるものであり、対策には一刻も早いアクションが求められています。
 県は、雇用創出を目的とした二つの基金を設置し、緊急の雇用対策として二本の柱を打ち出しました。

【緊急雇用創出事業】

 一つ目は、「緊急雇用創出事業」です。突然職を失ってしまった人の生活の安定を図るため、次の就労までの一時的・暫定的な就業機会の創出を図ります。
 失業者の雇用を生み出すために、県や市町村が臨時職員を直接雇用したり、さまざまな分野で民間に委託する事業を創出します。
 21年度は県と市町村あわせて計191事業を実施、約1,500人の雇用を見込んでいます。

〜緊急雇用創出事業の事業例〜
 ◇気候変動に伴う森林生態系の影響調査事業
植生や生態系の現地調査や調査結果のデータ作成を行います
 ◇緊急雇用職業訓練生就職支援事業
県立職業能力開発施設の訓練生の就職先の開拓等に従事します
 ◇緊急雇用創出中学校理科支援事業
理科教育において観察・実験等の活動を充実させるため、理科支援員を配置します


【ふるさと雇用再生特別基金事業】

 しかし、最終的には安定的な雇用、つまり正社員としての雇用創出につなげていくことが最も重要です。
 そこで二つ目の柱として「ふるさと雇用再生特別基金事業」を実施し、1年以上の継続的な雇用を創出するため、官・民連携のもと基金を活用したさまざまな事業に取り組みます。
 この事業は「ふるさと雇用」の名前どおり、地域のニーズに応え、かつ地域で今後も継続的に雇用が見込める事業を掘り起こし、その事業の新規雇い入れを支援するものです。
 今年度は県と市町村で87の事業を実施し、約400人弱の雇用を創出する予定です。


〜ふるさと雇用再生特別基金事業の事業例〜
 ◇不法投棄パトロール
夜間や休日の不法投棄防止対策として、不法投棄パトロールを行います
 ◇雇用再生畜産物商品開発・販路開拓事業
「おおいた冠地鶏」や「The・おおいた豊後牛」など県産の畜産物の銘柄確立・販路拡大を行います
 ◇中小企業等のIT活用サポート事業
小規模事業所を対象としてパソコン研修や戸別訪問業務を行い、IT活用を支援します

  県は市町村や民間企業・団体と一体となった一枚岩の取り組みで、急務である雇用の安定に力を尽くします。


子育て支援
家族のイラスト 近年、核家族化の進行や働き方の多様化など、社会が大きく変化してきています。しかし、職場環境や子育て支援などの社会基盤はその変化にまだ追いついていないのが現状です。
 母親の育児不安や、出産・子育てと仕事の両立の困難さが、少子化の一つの要因と考えられています。父親、母親ともに仕事と家庭生活を調和させ、子どもを産み育てることに喜びや楽しみを実感できる社会を実現することが必要です。
 そこで、県は21年度「男性の子育て参画日本一」を目標に掲げ「企業等子育て支援促進事業」を実施します。
 男性の子育て参画の実現には、企業の主体的な取り組みが欠かせません。個々の企業に合ったやり方で、柔軟な働き方や業務の見直しなどをすすめる企業を、応援していきます。具体的には、育児のための休暇制度など社内規定の整備や男性の子育てセミナーの開催など、育児参画を推進する取り組みを行う、モデルとなる企業に助成を行います。
 また、「パパの子育て後押しキャンペーン」として地域セミナーを県内各地で開催するなど、男性の子育て参画に対する社会的機運の醸成を図ります。

佐藤さんの写真
佐藤新太郎さんと3人のお子さん

 
 過去2年間育児休業を取得した経験があり「大分こども子育て応援県民会議」の委員であった、佐藤新太郎さんにお話を伺いました。
 「妻からの強い要望で、育休を取得することになったんです。わかったことは、育児休業は決して”休業“ではないということですね。育児は24時間労働で自由な時間なんてありません。自分が全部やってみて初めて妻のつらさがわかりましたし、男性の『家事をやっている』という言葉がいかにアシスタント的な感覚だったかを実感しました」と振り返ります。
 佐藤さんは、育休を取ることのメリットについてこうおっしゃいます。
「得たものはとても大きいです。まずは妻や子どもとのきずなが深まりました。また、家事や育児で達成感を味わい、生きていく自信みたいなものを得ました。地域の集まりにも参加し、世界も視野もぐんと広がりましたね。育児休業のことを『育夫休業』なんて呼ぶ人もいます。私は『通過儀礼』と思っているくらいですが、うまい表現だと思います。仕事だけしていたら見えなかったものが見えてきて、価値観が大きく変わりました」
子どもルームの写真 男性の子育て参画には、長時間労働や職場風土の問題、キャリアロスへの不安など、課題も山積しているのが現状です。
 しかし、育児への参画は父親としての大きな喜びをもたらしてくれるものです。また、柔軟な働き方を提唱することで、優秀な人材の確保・定着や生産性の向上など、企業にとってのメリットも生まれます。
 個人がそのライフステージに応じて仕事も家庭生活も充実して営めるよう、行政や企業がそれぞれの役割を担い、支え合って子育てできる温かい社会を目指します。



  平成21年度予算のポイント
景気、雇用対策の充実
 ◎中小企業・景気対策
中小企業制度資金の新規融資を680億円に拡大
県立学校の耐震化
「生活道路改繕事業」の新設
 ◎雇用・就労支援対策
「ふるさと雇用再生特別基金」を活用し、県内における求職者の雇用機会を創出
「緊急雇用創出事業臨時特例基金」を活用し、非正規労働者等の一時的な雇用・就業機会を創出

暮らしの安心と子育て支援の充実
 ◎子育て対策
妊婦健康診査の公費負担回数を5回→14回に増加
総合周産期母子医療センターにコーディネーターを配置
 ◎暮らし対策
消費者相談窓口を全市町村に開設、弁護士相談をアイネスで週1回開催
DV被害者の相談体制を充実するため、民間シェルターの運営経費を支援
CO2削減の取り組みを支援する「新エコマネーめじろん」を創設。レジ袋削減への取り組みを支援。
 ◎高齢者対策
生涯を通じた学びを支援する各種講座を社会教育総合センターで開設
認知症高齢者とその家族の地域生活を支援するため、認知症疾患医療センターを開設
介護従事者の人材確保のため、介護福祉養成校が行う進路指導説明会等を支援
 ◎医療対策
新型インフルエンザ用タミフルを追加備蓄、拠点病院に人工呼吸器を配備
地域医療を担う医師確保のため、大分大学医学部の「特別選抜地域枠」の医学生等に対し修学資金を貸与
県立病院、大分大学医学部附属病院の救命救急センターにドクターカーを配備
救急医療を担う医師、産婦人科医に対する手当の支給・女性医師短時間勤務制度を支援

子どもたちの挑戦や自己実現の支援
 ◎教育再生
児童生徒の学力向上を目指し、18人の学力向上支援教員を配置し、学びの教室を実施する市町村を支援
子どもたちの理科離れを防ぐため、サイエンスファクトリー など科学実験教室を開催
 ◎夢の実現
県立文化・スポーツ施設等整備基金に積み立てをスタート

産業の底力発揮に向けた支援の充実
 ◎中小企業対策
中小企業に対するITの導入を円滑にするためITコーディネータによる経営診断やシステム導入を支援
空き店舗を活用したチャレンジショップの開設を支援
 ◎農林水産業対策
農業の企業参入支援策を拡充させるため、機械整備経費の助成
大規模リース団地造成拡大により、企業的農家を育成(こねぎ、キク等)
肉用牛大規模肥育施設の整備や、繁殖雌牛の分娩期間短縮による生産性向上を支援
県産乾燥材の関東圏への鉄道によるトライアル輸送と、中国などに対する海外販路拡大を支援
日本一の漁獲量を誇るタチウオを新たに「The・おおいた」ブランド魚種として育成するとともに、ブリとの複合経営に向けカワハギの養殖技術を確立
 ◎観光・地域づくり
名勝耶馬溪の景観を再生する取り組みを支援
県南地域の空港アクセス改善のため、佐伯市と大分空港を高速バスで結ぶ運行事業の実証実験の実施


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